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古本屋日誌
でもやってることはあんまりプロらしくはなかったわけです。本の値段が相場とかけ離れていてものすごく安かったことは前にも書きました。
単行本、文庫本に限らず客からこうてきた本には帯が付いているものも多いし、カバーも当然付いています。お客さんによっては本屋でつけてもらったカバーをつけっぱなしの方もおられます。プロの古本屋は本屋のカバーは外すのはもちろんのこと、本のカバーや帯は大切にあつかって、これがきれいだったり、破れていないものは付加価値を付けて売ることもあります。
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今朝は冬らしくないぬくい陽気で、風も冷たくない。
土本典昭が監督の「パルチザン前史」はなかなか魅力的なノンフィクション映画で、京大経済学部の助手だった滝田修の日常を丹念に描いた作品で、滝田がいろいろ困るシーンばかり印象に残る。
バリケードを築いて立てこもり、ヘルメットをかぶり、角材を手にして「武装」したはものの、その中で何が起こるわけでもないし、機動隊が解除にくるわけでもない、まったりした日常が流れ、勤勉な学生は自主講座を開いて勉強したり、体を鍛えるためにランニングをしたりしているが大半の学生は怠惰であり、頭も悪く、単なる落ちこぼれである、ために朝寝をしていぎたなく、1日なすことも無い。「小人閑居して不善をなす」そのもの、滝田は「なーお前らあれや、もっとちゃんとしなあかんやろー計画立ててあれするとか、これするとか」と盛んに説教しているのだが、ダラけた学生の反応はない。
滝田は学生を連れて予備校に教えに行くことがあり、「大学闘争」の話をするんだが予備校生から「そないに問題ばかりで解体した方がええゆうてる大学になんでおるのん❓」と至極当然の質問を大勢の生徒の前で言われて滝田は「うーん、あのなあ、この質問はほんまにつらい、つらいねん」とうなるシーンなど笑ってしまう。
しかしこの作品は1969年に公開となっていて政治運動の危うさや胡散臭さをよく描いてもいるし、どこの世界にもバカはたくさんいて、どう扱っていいのかわからないこともきちんと描いている。その水準の高さには驚くばかりだ。
今朝は雨で11時くらいまで降り続いて猫は元気ありません。雨の日はいつもそうで外に出たがりもせず、丸まって寝ています。
1978年公開の「プリティベビー」、主演はブルックシールズなんですが、深沢七郎の「楢山節考」を読んでいたらよう似た作品やなあとふと思い出しました。ニューオーリンズの娼婦の娘に生まれたブルックシールズ扮するバイオレットはまだ十歳くらいなのに男女の秘め事はよく心得ていて水揚げの日も、意気揚々としていて周りの者が「おかわいそうに」と同情の目で見るのに終わってから「あなたでよかったーだってとっても頼もしそうなんだもん」と流し目を使っていうのだから大した玉ですな。
70年代はブルックシールズは人気ありましたが、今から思うと大した演技は上手くないし、顔も日本人離れしていて(当たり前やけど)フランス人形のような感じでリアルなイメージも持てない。この作品でも12歳という設定だがとうていそうは見えないし、まあさすがに水揚げのシーンに本物の小学生を使うわけにもいかないということだったのか、いずれにせよ映画て大したことないなあと思ってしまいました。
今朝は春めいてポカポカ陽気です、晴天でそよ風、春霞もたなびいて生駒の山並みもかすんでいます。
小学館のビッグコミックスの「その女 ジルバ」の第5巻が出て完結しました。著者の有馬しのぶは力のある漫画家で秋月りすを思わせるOLものの漫画を長らく連載していたが、秋月は編集部との取り決めでもあるのかセックスがらみのネタは全て封印して上司とのいざこざや性格の悪い部下の話やあれこれで面白くはあった。しかしセックスネタが全くないのは「サザエさん」じゃああるまいし、不自然だしリアルでもない。有馬しのぶはそのような制約にとらわれることなく自然な女の会社員の姿を書き連ねていて好感が持てた。
今回の「その女 ジルバ」は四十路の未婚で、スーパーの倉庫係の女がひょんなことでババ専門のスナックで働くことになった話で、ホステスが全員高齢者という設定だ。だから老人ホームでヘルパーが入居者とかわすようなネタはもちろん満載だ。80にはなってそうなママが客から「ダンスの相手をしてよね〜」と誘われるんだがママは「今日は少し腰が痛うてね~」とかわしたら客は「そういう色っぽい方面もお手柔らかにね」と言ってママを喜ばすみたいな話だ。
しかしこの作品の魅力はママを初めとするスナックの従業員の過去を思い出話として紡いでいくところだ。このママからしてヤクザに引っかかって田舎から東京の花売り娘として連れてこられ、やがて成金に身上げされるが、やがてこの男は破産して首吊り自殺してしまう。ママは驚愕してブルブル震えているところに、お手伝いからの知らせでやってきたヤクザにまた連れ戻されてしまう。成金の下にいてせっせと食事を作ったり掃除をしてくれたりと尽くしてくれているように思えた仲居はヤクザが派遣した監視役だったわけだ。さて………。
今日は雨も上がり気温が急上昇、生暖かい風が吹いている上におてらしさんもあって冬が終わったかのようです。
天牛堺書店の破産は残念だが、みなさんはいつぐらいからこの古本屋のことをご存知なんだろうか?ずーっと前から店頭に均一台をたくさん並べて、台の両端にもうず高く本を積んで下の本が見えないようにして客に掘り出し物を期待させる手法はとっていました。
しかし現在と大きく違うところはプレミア扱いの本が基本的になかったところです。今は例えば船場店など均一台とは別にサンリオSF文庫、講談社学術文庫、岩波文庫、ちくま学芸文庫などの棚を設けてきちんとした値段で売っています。
前はそんなことはなく文庫本、雑誌は全て均一価格で非常に安かった。例えばサントリーが開高健らに出させていた雑誌「洋酒天国」や講談社学術文庫の「百魔」は100円でいくらでもありました。従って今をはるかに超える客が詰めかけていたし、私同様毎日通ってる人もたくさんいました。これは天牛堺の経営者が相場を知らないとかそういうことではなく、敢えてやってるわけです。
「俺んとこに流れてくる本はいくらでも手に入る程度のものなんだから、一々プレミア価格などつけずにさっさと客に売ってしまうべきなんだ、一つ一つの本にこだわるべきではない」という見識だったわけで、これはこれで正しいし安く売ることで、リピーターを飛躍的に増やし、またその客に本を売ってもらう循環もできるわけだから一石二鳥なわけです。当時はネットもSNSも何にもない時代でしたが口コミや噂は厳然とありその良否は店の浮沈に関わっていたことは今と何も変わらない。
ところが2003年に高島屋堺東店に新店舗がオープンした頃から講談社学術文庫などはプレミア扱いとなり、相場を踏まえた値付けがなされて、これらは特別扱いで均一台には出なくなりました。それはそれで経営哲学としてはありだろうけれど、方針転換したなあと思い知らされたことも確かでした。船場店では10月の「船場祭り」に合わせてマンガのセットが1000円均一で提供されたり、その他のセットも安い値段で売っていましたがそのキャッチフレーズが「どこよりも安い!アマゾン値段と比べてみてください❗️」だったのには驚いたなあ。そんな通販の価格と店頭価格が同じであるわけがないじゃないですか。店頭に客が来るのは品揃えと安い値段でしょう、当たり前のことなのに天牛堺様はどないしはったんやろーと話題にもなりました。