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古本屋日誌
今日は非常に清々しい秋晴れです。先日東京のお客さんから雑誌あまカラの全200冊揃いとその後継の甘辛春秋をお譲り頂きました。甘辛春秋が68.69年の分が少し足りないですが、新聞タイプの付録もほとんど完備していてびっくりしました。小島政二郎の「くいしん坊」は巻頭随筆ですが思ったことをそのみ書き綴り変な魅力がありました。永井荷風か死んだ時にその偉大な業績をたたえ、検閲で伏字にされた小説を再録して検閲官吏のバカなセンスを嘲笑う一方で荷風はとにかく講演があまりにも下手くそで驚いたとも記す。まあどれも小島の率直な感想なんでしょうな敵を作りやすい人なんだろうなあとはおもいます。
それにしても大阪で出た雑誌はなぜかセンスのいいものが多いです、あまカラ、演劇映画、苦楽、女性、文学雑誌、宝塚のやつ、上方、ヨシモト、滑稽新聞てな感じですね。まああまり意味のないことに金を使うのは好まないので、長続きしないというのはあります。それを批判することはできますが、じゃあどんな意味があるのか?となったらほとんどはゴミ以下なわけですから、大阪の厳しい見方は実は意味のあることなのです。
昨日は再び雨でびっくりしました。堺のお客さんのところに伺い雑誌洋酒天国をたくさんお譲り頂きました。昭和30年代の初頭でカラーのピンナップを備えた雑誌はお洒落で魅力的です。双葉十三郎の映画評論もあり開高健や山口瞳のセンスのよさがよくわかります。同じ時期に大阪では鶴屋八幡が雑誌あまカラを出していました。こちらは面白いエッセーがたくさんあり、グラビアページも豊富だし、表紙は特に初期の頃は和紙の様な質感の上にホッとするデザインで魅力的です。谷沢永一は「大阪は少し野暮ったいものでないとうけない、ただし雑誌は違う」とゆうてましたが、まさにその通りだと思います。
先日の台風は夜中はなかなか風が強かったです、嫁は丸亀製麺で仕事をしてますが帰りしな頑丈な傘がムンクの叫びになり壊れました。
三ノ宮のお客さんから大量のプレイガイドジャーナルをお譲り頂きました。私はあまり愛読した覚えがないのですがこのところお客さんからよくないか?尋ねられます。大阪青春街図とかのシリーズは手書きの地図とか古い映画館の資料とかはなかなかベタでいいなあと思います。でもそういう繁華街の地図やお店の案内は網羅的では全くなく、当然ながら見落としもあるわけで、「当時はまだそういうものしかなかったんだ」と言って擁護する人もいますが、実際はウォーキングマップの大阪のやつとかがありましたし、こちらも手書き風だし正確だし、ツボはきちんと押さえていて私はなぜもっと評価しないのか疑問に思います。
先日小谷野敦先生の「文豪の女遍歴」を購入し、一読相変わらず面白くて為にはならないがあれこれ野次馬のように覗き見る楽しみを満喫しました。樋口一葉が最初に弟子としてついた半井桃水に関して当初は大阪の方が新聞小説は盛んだったからだとあって、そうなのかじゃあ半井は大阪の新聞社に人脈とかがありそれに繋がる可能性を考えて師匠を選んだということかなと、あまり説明はなかったんだが推理しました。
なんか短い説明なんだけど気になることがありますよね。三善貞司先生の「大阪史蹟事典」の安居の天神のくだりに例の真田幸村の戦死の話がありその地で毎年慰霊祭が催されて、なぜか大丸が必ず参加しているとの記述があった。なんで大丸なんやろ?と気になりました。
天才山上たつひこの「かんにんどすえ」という京都の老舗のおたな同士の恋愛ギャグ漫画があり、ロミオとジュリエットのもじりではあるんでしょうが、おおだなのとうさんがかなり可愛いんですが巨大な亀をペットにこうていて、このほだしゆえに男と駆け落ちするのをためらっているわけです。普通はここで「そんな可愛い娘が巨大なスッポンこうてるてなんでやねん!」てなツッコミが入って世の中の秩序は保たれるんですがこの作品に限って全くツッコミはなく、ボケの暴走が開始されて、まあ最後は二人で新幹線で駆け落ちするんですが、巨大なスッポンが檻を破って暴れ出し京都タワーは破壊され二人の乗る新幹線もバラバラになるんですが、二人からは何のツッコミもなければ嘘やろーの一言もない。まあ一切ツッコミをせずにボケが暴走したらどうなるかという実験マンガなんでしょうけど未だにおぼえています、脳がしびれました。
今日は台風が接近するということで静養です。先日三ノ宮のお客さんのところに伺い谷岡ヤスジのマンガなどをお譲り頂きました。KCの「ガキ道講座」は保存状態がよければなかなかいい値段になると思いますが、私はこの中のガリ勉ガリラーという妖怪というか幻想的なバケモノがたいそう気に入っています。ガリ勉ママの依頼を受けてガリラーが家に侵入しガキ夫を自らの腹にぶち込み更に国語や算数や理科や何やらのテキストも入れてコンクリートミキサーよろしくグルグル回転させてガキ夫をいたぶるのですが…
谷岡は56で死んでしまい一種の過労死みたいなもんだと思いました。えらいたくさん仕事を引き受けまあそれはプロとしてまあいいとおもいますけど、例の「のんびり物語」の帯で自らの健康を誇示して腹筋をものすごい回数してるとか、泳いでるとか、ジープも乗ってるとかとにかくやりすぎなわけです。
今評判の「〆切本2」に林芙美子の原稿を取りに行った編集者の話が載っていて、彼女は遅筆で有名で居留守も使うから玄関からは入らずいきなり庭から回ってお手伝いに「先生はおられますか?」と尋ねたら「先生は亡くなられました」と涙ながらにいうのだが、そんな手にはならないと上がり込んだら先生は寝ていて顔の上に白いきれがのせてあって、本当に息絶えていたのだった。これも過労死なんですね。それにしてもそんな手には乗らないと上がり込んだり、白いきれががあっても「先生役者ですなー」てな感じだったりと編集者も変人ですね。