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古本屋日誌
うちのパソコンとプリンターは今年2月にジャパネットたかたで買い替えたものだ。ちょうど設定、下取り付きのキャンペーン期間で14万くらいでこうた。
その前のは10年以上使用していて、パソコンはともかくプリンターに著しい不具合が起こって、スムーズに印刷できるときが少なかった。
問題なのは印刷できたと喜んで、郵便局に持ち込み、バーコードを読み取ってもらおうとしたら、一部が欠けていて読み取れない郵便物がしばしばあることだった。再び家にとってかえして印刷しなければならない。
いざ買い換えるとなって、ジャパネットに注文すると、なぜか急に普通に印刷できるようになり情が移りそうになった。
しかし新しいプリンターもまだ半年も経過していないのにもかかわらず、パソコンを立ち上げて最初の印刷にかなり時間がかかるかかる時がある。2、3分何にも起こらず、しびれをきらして再印字指令を出すと動き出して、同じアドレスが2枚出てくる。
それが、今日は最初の一枚はスムーズに刷れたが、そのあとはうんとも、すんともプリンターは言わずに、エラーコードも出ないで沈黙が続く。
パソコンからプリンターとの接続をチェックしてみると、上手く繋げていないことがわかった。
代わりにスマホから印刷指示を出してみると問題なく刷り上がってくる。
となれば、プリンターとパソコンを繋ぐコードに問題がありそうだ。
ジャパネットのお客さまダイヤルに連絡してみると、092で始まるお客さまサポートに案内されて、状況を話すと「明日午前中にこちらからお電話差し上げます」とのことだった。
接続は線でなくても出来るはずなので、暇な時にやってみようかとも思っている。
中川右介がNHK出版新書で『昭和20年8月15日』を出した。
著名人が敗戦の日、天皇の放送を聞いて抱いた感慨を集めた異色の本だ。
大体が虚脱感を抱き、喜んだりもし、敗戦を受け入れられずに抗ったりという感じだ。
ただ面白かったのは、『仁義なき戦い』の深作欣二だ。
「馬鹿にしやがって、こんなざまでなにが聖戦だよ、英霊だよ、靖国神社だよ。天皇、政治家、軍人、役人、学者、教師たち、今までおまえたちが言ったりしてきたことは、何から何まで嘘っぱちじやねえか」とある。
まあ、その通りだな。天皇に対して至極真っ当な批判をしているのは、当たり前のことなんだが、ちょっと面白かった。
通販サイトでは、コンディションの点でお客さんからお叱りをいただくことがある。
本の良し悪しはある程度個人差があるので、一概にお客さんの言うことがもっともだとは思わない。
しかし店舗なんかとは異なり、手にとって本をしっかりチェックできないわけだから、業者としてはクレームは重く受け止める必要があるだろう。
他によくお客さんから問い合わせが来るのは、ゆうメールで発送している本がまだ届かない、追跡番号を教えてほしいいうものだ。
土日祝日はゆうメールの配達はないし、追跡番号もないから、その旨をご案内して「すいませんがもうしばらくお待ちください」と申し上げることになる。
古本屋によっては全ての本をクリックポストやゆうゆうメルカリ便などの追跡番号を備えた手段で発送するところもあるので、お客さんもその感じでお聞きになるのだろう。
これはコロナ禍以降、通販サイトで本を買う人が増加した影響で、今まで通販で買い物をした経験のない人が、たくさん買い物するようになった影響だと思う。
お金をカードなどで先払いしたのに、手元に本がないという状況に慣れていないわけだ。
古本屋の店主は友人も少なく、趣味もなく、話題にも乏しく、生真面目な感じの人が多いのではないか。
買取でお客さんのところへ行っても、あまり会話が弾むというようなことはなく、ダンボールから本を取り出しては査定に励む沈思黙考の仕事だ。
店売りをしている場合は、お客さんと話をするケースもあるが、この業界は客の方が圧倒的に本の知識を持っているから、教えてもらうことになる。
知りたがりの店主ならいいが、そもそも聞き上手な人は少ないから、イライラしてきてちゃんと聞かない。
買取の依頼が来るが、大半は自分の店向きではない本なので、とにかくうまく断る方に手一杯になってしまうから、客と上手く関係を作ることなど出来はしない。
これまでの古本屋はほとんどが街の古本屋だった。通販なんかはやっていない。
だからその地域のお客さんから買い取った本を、チャチャっと値付けして店に並べてこうてもらう。
今高騰している西村賢太の稀覯本とかでも、相場は知っていても(もちろん知らないこともあるし、そもそも関心がないこともある)300円で買い取って700円で売る。
文庫本ならほとんど70円で買い取って250円、300円で店に出す。だから値付けも楽だし、相場の勉強なんかは必要なかった。商売としてはこれでよかった。
変に勉強して相場の値段をつけて店に出すと、売り上げが落ちるし、店に本を売ってくれるお客さんが「なんや、このところ俺が安う売ってやったのを、えらい高こ売っとるな」と次から売ってくれなくなって、いいことが一つもない。
でもそういう値付けをしていると緊張感が薄れてしまうのも確かなのだ。
また年齢を重ねて、子どもに店を任せることになれば、自分はもうやることも無くなってしまって、虚脱感に苛まれる。
いま花隈の神戸古書会館で開催中の古本市には、尼崎の古本屋「図研」が参加している。
この店はタイガース関連の雑誌やタイガースロゴの入ったいろんな帽子なんかも、これまでの古本市では出品していた。店主は気合いの入ったタイガースファンで知られている。
ところが、昨日の展示品にはタイガース関連のものは見当たらない。店主に聞いてみたら「朝はあったんやけどな、またこんど用意しとくわ。今年は記録ずくめになるからな」という話。
過去の優勝時の「number」や「月刊タイガース」「SPA」なんかはうちも通販で出しているが、まったく売れていない。それでちょっと不思議な感じがしたな。
今売れるのは最新の「月刊タイガース」や「YEAR BOOK」で、これは全国にタイガースファンがいるため、回転が早い。
書籍では井上章一の本や玉木正之のタイガース本は一貫して人気がない。こういう人たちの書く本はプロ野球ファンには受けないわけだ。
蓮實重彦の書くプロ野球本やジャイアンツ本はずっと人気があるのと好対照だ。
蓮實は『プロ野球批評宣言』などで、実際に球場に出向いて野球を観戦することで、テレビ観戦なんかでは得られない、エキサイティングな楽しみを得られると主張して、例としてスリーベースヒットをあげる。
そりゃ確かに球場のすごくいい席にいたら、一瞬で打球が外野を転転とする様や、あたふたする外野手、連携に動くセカンドやキャッチャーの細かい動きを目の当たりにできるだろうけど、そんなものはごく一部の人しかなしえない。蓮實の主張はバカバカしい。
今読んで楽しめるのはなんといっても、中川右介のタイガース本だな。
とりわけ、ちくま新書の『阪神タイガース 1985〜2003』はいい。暗黒時代を丁寧に振り返っていて、今なら楽しく読める。