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古本屋日誌
2025-07-13 13:36:00
古本屋の店主は友人も少なく、趣味もなく、話題にも乏しく、生真面目な感じの人が多いのではないか。
買取でお客さんのところへ行っても、あまり会話が弾むというようなことはなく、ダンボールから本を取り出しては査定に励む沈思黙考の仕事だ。
店売りをしている場合は、お客さんと話をするケースもあるが、この業界は客の方が圧倒的に本の知識を持っているから、教えてもらうことになる。
知りたがりの店主ならいいが、そもそも聞き上手な人は少ないから、イライラしてきてちゃんと聞かない。
買取の依頼が来るが、大半は自分の店向きではない本なので、とにかくうまく断る方に手一杯になってしまうから、客と上手く関係を作ることなど出来はしない。
これまでの古本屋はほとんどが街の古本屋だった。通販なんかはやっていない。
だからその地域のお客さんから買い取った本を、チャチャっと値付けして店に並べてこうてもらう。
今高騰している西村賢太の稀覯本とかでも、相場は知っていても(もちろん知らないこともあるし、そもそも関心がないこともある)300円で買い取って700円で売る。
文庫本ならほとんど70円で買い取って250円、300円で店に出す。だから値付けも楽だし、相場の勉強なんかは必要なかった。商売としてはこれでよかった。
変に勉強して相場の値段をつけて店に出すと、売り上げが落ちるし、店に本を売ってくれるお客さんが「なんや、このところ俺が安う売ってやったのを、えらい高こ売っとるな」と次から売ってくれなくなって、いいことが一つもない。
でもそういう値付けをしていると緊張感が薄れてしまうのも確かなのだ。
また年齢を重ねて、子どもに店を任せることになれば、自分はもうやることも無くなってしまって、虚脱感に苛まれる。