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古本屋日誌
昨日は西宮のお客さんのところに出向いて、あれこれお話。長らくのお付き合いで、高校生の息子さんを交えて焼き鳥屋で飲んだ。
息子さんがいうには「英語の〇〇先生の授業は気に入ってるんですけど、唾が飛んでくるんです、ぼくはまんの悪いことに1番前の席なんで嫌なんです」
「それやったら、あんたが気ぃ弱おーてよーゆわへんのやったら、その先生に気安うしてる子にゆうてもうたらええやろ」
「そうですね」
「それもあかんねやったら、他の先生に伝えてゆうてもうたら、波風立たへんやん、それでもなんで、その、ややこしい先生がええねや❓」
「始めに雑談みたいなことするんですけど、それがうまい具合に授業の内容に絡んでくるんです」
確かに生徒の注意を引くためにうまいこと雑談から誘導する人はよくいるよね。
でもその程度の話が面白いとか言ってるようでは、ダメだと思う。
教科の勉強に手一杯な感じだし、世の中にはもっと興味深い話がいっぱいあるからだ。
「天皇とか、どない思う❓あれて、身分制度だよね、尊い人間がいてるゆう話なんやから民主主義の平等原則な反するよね。さっさと廃止すべきだとおもわん❓それに天皇本人も自由に買い物とかも行かれへんし、人権を抑圧されているよね」
「うーん、でも、海外からVIPが来られた時に、接待なんかでああいう人たちは必要なんじゃないですかね」てなことを言ってくる。
これはよくない返事だな。俺は天皇は身分制度であり、民主主義に反する存在だと述べているのに、論点をすり替えて返事している。
こんなことではちゃんとした大学では評価はされないだろう。
今日は出荷してから、神戸のお客さんのところに出向いた。昭和30年に文藝春秋新社から出た『谷内六郎画集』を見せてもらった。
谷内六郎は長らく『週刊新潮』の表紙を描いてきた人で、歳時記のように季節折々の風物を取り上げて絵にしてあるのだが、その視点は非常に細かくて、日常の見過ごしてしまうようなモノやある瞬間にフォーカスした独特のものだ。
新潮文庫から出ていた全6巻の『谷内六郎展覧会』は人気が衰えない作品集だ。
この昭和30年の画集は谷内が自分の絵の解説を一つ一つ書いているのが面白い。
その後5時半に甲子園。友人が取ってくれたチケットでジャイアンツ戦を観た。大山がホームランを放って逆転して、愉快な試合ではあったが、結局追いつかれて、8回裏のノーアウト満塁のチャンスで打てず。
延長11回まで試合は延びて、終わったのは10時過ぎで、長すぎる。
メジャーがやっているようなピッチャーの投球にかける時間の制限も必要だし、牽制球も回数を制限するべきだ。
それから球場の近くのバー「GLOVE」に出向いた。
ここは福本豊が経営する店で、マスターと厨房担当の2人で回している。テキパキしたマスターの仕事ぶりが素晴らしくて試合の後はいつも来ている。
しかし今日は帰りの電車の時間が迫ってきていてすぐ帰らなければならない。
延長になったらノーアウト2塁から始めるとか、7.8.9番のような役に立たないバッターは打席に立てないことにするとか、さっさと試合を終わらせるようにしてもらいたい。
この数日暑くなって汗だくで仕事に励んでいる。
ズボンも薄手の風通しの良いものに変えたし、クーラーをかけたくなるくらいだ。
天王寺公園の大阪市立美術館ではしばらく改装中で休館していたが、このほど竣工して記念の特別展『日本国宝』が開催中だ。(奈良と京都の国立博物館でも同様の博覧会をやっている)
嫁が昨日出向いて図録(3000円)もこうてきた。
出品目録の小冊子を見ていたら、2ヶ月くらいの会期中、展示替えが6回もあって、一週しか展示されないものもある。
例えば、例の志賀島から出土した金印がそうなんだが、ちょっと残念だな。(金印の形で、ミャクミャクのハンコが押せるグッズもあるのだが、売り切れていたそうだ)
たぶんレンタル料や配送にかかる費用が相当な額にのぼるので、長期にわたって展示し続けるのは不可能なんだろう。
しかし入館料が2400円と高いし、不満に思う人もいるのではなかろうか。
美術館は、資金を調達するために所蔵品をオークションにかけて高く評価させ売却するものだ。
京橋の藤田美術館はその手法でシナ絵画を売って、新しい美術館の建設費用を調達していた。大阪市立美術館はどうなんだろうか。
今日は朝から夏の日差しが照りつける中、出荷してから、再び姫路に出向いた。
姫路文学館に行こうと思うのだ。
大阪駅に10時45分に着いたのだが、新快速は30分遅れとなっていて、10時15発のが4番乗り場にやってきた。
発車以降は順調に推移したが、加古川、姫路停車直前に信号待ちで待たされて、結局着いたのは12時15分くらい。
すぐに18番乗り場から神姫バスに乗る、平日ということで高校生がたくさん並んでいる。
4つ目の停留所で降りて、北向きに300メートル進んだ山際に安藤忠雄プロデュースの文学館はあって、入り口から長い石畳の、左手に砂利を敷き詰めた人工の川を見ながらスロープを上り、途中左手に折れる道があって、そこを進むと南館に出る。
構わず上り続けるとまもなく車谷長吉展の会場である北館に到着する。
今日は展覧会はさておきショップで、いろんな車谷の本を見にきたのだ。
まずやはり目につくのが直筆の色紙だ。彼の吟じた俳句がサイン、落款とともに記されていて25000円、10枚くらい並んでいる。
俳句関係では『車谷長吉句集』(沖積舎)が平積みになっている、改訂版だ。
ただ俳句は使われる言葉の大半が日常では見受けられないジャーゴンみたいなものです、そんな暗号みたいなものを振りかざして、いいとか悪いとか評されても、しらけるばかり、一種の神学みたいな感じがする。
文庫本では朝日文庫の『人生の救い』が置いてある。この本は車谷が答えた人生相談が載っているもので、人気があって今でも手に入る。
日曜日に来た時朝方は数冊積んであったが、昼ごはんを済ませて戻った時には全て売れていた。今日はまた数冊積んである。
他には去年中公文庫から出た『漂流物 武蔵丸』が数冊。
これはもと新潮文庫から出ていたのだが、今は品切れでなぜかこのところ探している人が多い本だ。
それ以外には文庫本は置いてない。品切れになっているのだ。
単行本は『業柱抱き』の初版、帯が一冊、ただかなり小口に焼けがある。なんでも高橋順子さんが展覧会に合わせて単行本を何点か出品されたそうで、その一冊だろうと思う。
『白痴群』『人生の四苦八苦』『癲狂院日乗』『阿呆者』などがある。嫁の高橋順子が著した思い出話の本もある。
珍しいところでは『隠国』と題された歴史小説、箱入り、サイン、シリアルナンバー入りで9900円、3冊積んである。
もちろん『車谷長吉全集』も最新刊の第4巻を含めて全部並んでいる。
小一時間いたが、今日は訪れる人も少ない。車谷の著作は翻訳されて海外でも出版されているが、姫路城観光のついでに訪ねようという外国人はまだ少ないようだ。
一通りチェックして、スロープを下って南館に行き、喫茶店で名物のナポリタン(飲み物、サラダ付きで1300円)をいただいた。
昨日観た、姫路文学館の車谷長吉展には彼の書斎にあった本の一部が展示してあった。
野坂昭如の文庫本が30冊くらい、内田百閒のも同じくらいあった他、幸田文もかなり多い。その他には永井龍男、木山捷平、そしていしいひさいちの本も数冊置いてあったな。
私小説作家である西村賢太、嘉村礒多、葛西善蔵、田村花袋、藤澤清造らの本は見当たらなかった。西村の本はこのところ高騰していて、品切れになっている文庫本もなかなか見当たらない状態だ。
サイン本などは特にそうだし、見たことはないが色紙なんかがあったら、すごく高い値段で取引されそうだ。
それに比べると車谷の方は、だ 今のところはさほど高くないし、何より挿絵まで添えてある色紙が25000円で手に入るわけだから。