Welcome
古本屋日誌
月刊『HANADA』の2月号に西村賢太の愛人が独占手記の第二弾、12ページを書いている。
西村は、しばらくの間、月の半分は愛人の住まう岡山で生活していて、そこで原稿用紙に執筆したり(彼は全て手書きだった)、出版社に連絡のファックスを送ったりしていた。
今回の手記では、岡山の愛人宅に、何者かが侵入して不審なモノを残していったり(音叉だというのだが)、西村が東京から送ってきた段ボールを開封して、再びテープで密封した痕跡があるのだという。
また西村は、手元に携帯電話と預金通帳を置いていたが、それを彼女はこっそり覗き見しようとした。
携帯はパスワードがわからず、開かなかったが、通帳の方はしっかり残高を見たという。
その残高をはっきり書いてほしいが「そんなものか」程度でしかなかったとある。
これが残念だよな。とにかく、1億とか10億とかそういう金の高ではなかったということだろう。
その当時西村は、大して仕事の依頼もない時期で、月に短編小説を1つ書く程度だったのだが、その収入は「わたしがOLしていた頃のと大して変わらない額」でしかないと書いている。
というわけで、今回の手記は取り立てていうほどのものではなかったなあ。
それにしても西村賢太の本では、青い箱に入った『羅針盤は壊れても』が高騰している。
ヤフオクでは10万を越える金額で落札されていて、びっくりした。亡くなった頃はせいぜい5.6千円だったのに。
ブックオフは日本最高の古本屋であることは間違いない。
都心部に巨大な店舗を構えて交通至便、店舗は広く、明るく、清潔で、整理整頓されていて本が探しやすい。
幅広いジャンルの雑誌、文庫本、文学書、ノンフィクション、図録、美術書、人文系、実用書、レコード、CD、DVDなど、どの古本屋をも凌駕する品揃えで、普通の古本屋に飽き足りないお客さんを惹きつけている。
それなのに京都の三条駅ビル店や大阪の心斎橋店の現状は不思議だ。
三条の店で驚いたのは、同じ本がずらりと並んでいることで、講談社学術文庫の『日本書紀』(上、下全2巻)なんか17冊もずらりと並んでいる。
『続日本紀』(上、中、下)は8冊あるし、岩波文庫の『ブッダのことば』は7冊並んでいる。
また中公文庫の『フロイス日本史』が700円くらいの値段で7.8冊、数年前からずっと動かない。ちくま文庫の『大菩薩峠』も岩波文庫の『南総里見八犬伝』もずらりと並んだまま。
『日本書紀』や『続日本紀』は大学の教材になっていて、単位を取得したらもう不要だから、一斉にブックオフに売ったんだろう。
店側がいずれ売れると判断して買い取るのは、問題無いのだが、古本屋としてそれをずらりと棚に並べるのは理解できない。
また売れない本をいつまでも置いておくのも、場所代がかかっているわけで不思議な現象だと思う。
現状の三条駅ビル店は「いい本を買い取ることが出来なくて、何もならべる本がないので、とりあえず場ふさぎに並べておくかな」ということなんだろうか。
年末は古本屋の繁忙期であり、大掃除などで邪魔になった本の引き取りを希望されるお客さんは数多い。それにもかかわらず本を集められないというのが不思議なのだ。
新潮新書から奥窪優木の『転売ヤー闇の経済学』が出た。丹念な取材が行われていて、初めて知ることが多かった。
ディズニーランドやシーで新しく発売されたグッズの買い占めの話では、入場者1人あたり何個までと買える品数が決まっているのだが、バイヤーは入場ゲートで一度に4回入場券を示して、4人分の購入権利を獲得していた。(現在はできないようだが)
俺はディズニーにもUSJにも何の関心もないから、どうでもいい話だったが、驚いたのは自治体が発行している、二割引であれこれ買える商品券のネタだ。
去年は大阪市発行のやつがあって、本屋でも使えるし、魅力的なんだが、大阪市民限定で、門真市民の俺は手に入れられなかった。
ところがこの本によれば、適当な住所、偽名で登録しても、はねられることはなく簡単に商品券を手に入れられたというのだ。
確かに住民票と照らし合わせれば、記入された住所や氏名がデタラメだとすぐ判明するだろうが、人件費などの手間を考えると自治体側はやらなかったのだろう。
ほかにも1人1回しか申し込めない限定品でも、アドレスチェックが行われているのに、1人で何人分もの購入権を手に入れているのだ。
何でも同じアドレスだが、ドットを入れる位置を変えれば、問題なく申し込める上に、購入権獲得のメールは1つのアドレス宛に全部送られてくる、というのだから驚くほかはない。
今月の16日と19日、いずれも朝息苦しくて目が覚めて、動悸もおさまらないので、布団を出て2階から下に降りたのだが、息苦しさはおさまらない。
少しの間ではあるものの、呼吸ができない感じになり立っていられなくなった。四つん這いになっているとすぐ楽になったが、1年前にもあった息苦しさがひどくなった感じだ。
その時は萱島駅前の和田内科を受診してレントゲン、血液検査などを受けたが「睡眠時無呼吸症候群ではないかな、検査キットを渡すから今日から寝るときに装着して調べましょう」ということになって、3日間調べてデータを取って封筒に入れて調査機関に送り返した。(その結果は和田内科にしばらくして伝えられるのだ)
その後息苦しさはなくなったので、継続して受診することはしなかったのだ。
今回それがぶり返した感じで、早速ネットであれこれ調べてみたら気管支喘息の症状によく似ている。
晩や早朝息苦しくなり、寝ている姿勢から上半身を起こすと楽になることがある。また発作が起こると、急に息ができない感じになるが、しばらくすると治るというあたりがそっくりだ。
今日10時前に、今度は萱島駅近くの内田内科を受診してみた。ホームページを見ると気管支喘息の治療の話が詳しく書いてあったからなのだ。
1時間くらい待って(寒い時期でもあり、患者が多かった)レントゲン、問診、血圧、酸素濃度などを受け「結核の跡が右肺にあるね、また胸水が両肺に溜まっていた痕跡もある。血圧が150とちょっと高めやね。それで気管支を広げる薬を1か月分出しとくわ、痰が取れたら持ってきてくれ」とのことだったな。
今日から谷町の古書会館で古本市。
朝は冷え込んでいたが、前日は出荷以外何の仕事もせずに家でくつろいで、早寝したので、問題なく朝から行ってみた。
今回は、文学書専門の矢野書房や洋書を揃える寸心堂が参加していなかった。
真木書店はちくま学芸文庫の『ニーチェ全集』をたくさん売っているほか、集英社文庫の森瑤子の本をたくさん並べていた。
古書ディックはきれいな新書、文庫本。ここの本はいつもとりわけ状態がいい。
アジア号は一枚刷りのほかに『南方熊楠全集』が目を引いた。
12月は正月休みを控えて、大掃除に精を出す人もかなりいるようで、初旬までは古本屋に引き取りを頼んでくるお客さんが多い。
だからたくさんいい本が集まっていて、今月はこれからも京都、大阪で古本市がある。
『本の雑誌』1月号、ライターの岡崎武志の連載で、古本業界は供給過剰なので、買取価格も伸び悩んでいる旨の話が書いてある。
東京の古本屋で岡崎が見聞きした話として、『接木の台』で有名な和田芳恵の全集を100円均一でこうたとある。
店舗を構えて古本を売るのは、東京ではなかなか難しい。(大阪、京都も同様だな)何せ土地が高すぎる。
何代か続いてビルを構えているのならまだしも、高い家賃に人件費まで支払ってペイするのは困難だろう。
でも通販での売り上げは店舗のそれを遥かに上回っているのは間違いないわけで(だから店を続けられるのだ)、岡崎の話は一面的すぎる。
店舗であれ、通販であれ、売れたらいいわけだからトータル的には本は昔と変わらず売れ続けている。