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古本屋日誌
古本屋の仕入れは春の移動期に集中して、6月ともなるとあまりお呼びもかからないのが普通だった。
ところが最近はそうでもなく遺品整理とか、終活で本の引き取りを依頼してくるお客さんがいて、年中忙しいという話を友人の古本屋から聞いた。
それどころか店に電話がかかってきて「もうな、しんどいんや、それでな来週にでも本見に来てもらいたいんや。頼むわ。」と一人暮らしの馴染みのお客さん(80代)からの頼りない声の依頼があった。
「どないしましたんや。えらい力ない感じやね。」「とにかくな、任せるさかい」。
その日に、ご自宅まで出向いたら、施錠されたままで、応答がない。
携帯も空しく呼び出し音が鳴るだけ。勝手にガラス窓を割って入るわけにもいかず、でも確か裏庭のガラス戸は施錠してなかったことを思い出して、そこへ回ると果たして鍵はかかってない。
バタバタ書斎へ回ってみたら、やはりご老人は八畳間の真ん中に倒れている。
「119呼んだんやけどな、もう死んでもうてるんや。」
「そらえらい騒動でしたな。事情聴取とかも邪魔くさかったんちゃう❓」
「そないなことゆうたかて、馴染みの客やし、かわいそうやろ。でもな、結局どの本を売りたいのかわからなんだよって、往生したんよ」
なるほど、亡くなってしもたら、本も立派な遺産やさかい、相続人の同意なしに勝手に売ることもでけへんわけだ。
晋遊舎から2015年にムック本で『Amazonせどり完全ガイド』というのが出た。
ブックオフとかドンキホーテとかそういう量販店でせどりをしてAmazonやヤフオクで売って儲けましょうという本だ。
ブックオフについては、なんでも2万点に及ぶ店で売られている商品の値段とAmazonの価格を比較してみたとある。
安く仕入れてAmazonで売るとしたら86万くらい儲かるのだそうだ。
本当に20000点も調べたのかどうかもわからないし、やってることがくだらないな。そんな都合よく売れないからだ。
また、2015年段階で、ブックオフでは見切りになったゲームソフトが一番よく儲かるとか、月曜の朝に行くと、土日にたくさん売りに来た本やソフトが並べられるので効率よく仕入れられるとか、せどりを効率良くするためにこういうアプリを使えばいいとか書いてある。
バカバカしい話だな。
いい品物が入ってくるかどうかなんか、その時にならないとわからない。機械的に月曜だとか午後何時とか言えるはずがないからだ。
しかしこの程度のことは誰でもわかりそうなことでしかなく、面白みにかける。
すでに30年くらい前から三才ムックからは『裏物の本』と題した突撃ものの雑誌が出ている。
ここには、借金返済でマグロ船に乗せられるとか、スナックの客のつかないバカホステスが出会い系に登録して、モテない男を騙しているとかいろんな噂の真偽を実際にライターが体験して確かめるという企画が載っていた。
このAmazonせどり本では、あの機械を使ったビームせどりをブックオフやドンキホーテその他の量販店でやってみて、店員から注意されるかどうかを調べていた。
結果は、ブックオフでレジ横に並べてあった赤いラックの本をビームで調べていると、「やめてくれ」と注意を受けただけで、そのほかの店では何も言われなかったとある。
これもくだらないな。
店としてはビームであろうが、なんであろうがたくさんこうてくれる客はありがたいわけで、基本的には文句は言わないからだ。
山下清の画集『東海道五十三次』というのがある。
昭和40年代初めに、毎日新聞社から出たもので、箱入りの大判だ。
昔の東海道の、気に入った風景を写生したもので、絵には山下清自らのキャプションが添えてある。
モータリゼーションで、どこもかしこも車だらけで、てくてく歩いていた山下には不快だったようだ。
藁葺き屋根の家屋が、車の巻き上げる土煙のせいで埃だらけになってしまっているのに同情する言葉を書いている。
それはさておきキャプションで、食事は見ず知らずの家家に乞食して調達していたことが書いてあるのだ。
横浜のくだりには、横浜は洋館が多いので食べ物をくれるように頼みにくいとある。
頼みにくいというのは、もちろん、頼んでも断られてしまうということではなく、どこが家の入り口なのか、山下にはすぐには判別できず困ったということなのだ。
昭和40年代まではそういう見ず知らずの浮浪者風の人に施す習慣があったんだろうかね。
あるいは山下清の知名度が高く、「あーあの裸の大将やね。ほんまにそっくりやね‼️」てな感じで特別扱いされていたということなんだろうか。
店舗を構える古本屋で、客がたくさん来ているのにはどういう特徴があるのか。
ブックオフは日本一の古本屋だが、大きい、なんでも売っている(古文書、紙もの、古地図、古い本はない。しかし大半の人はそういうものに興味も関心もない)、繁華街にある、安い、もっと安売りしていた歴史がある、など人気があるのも頷ける。
大阪では天牛書店は、本店は二階建てで大きく、10万からの本を並べていて、しかも安い。
そういう突き抜けた本屋は当面考えないことにする。
普通に考えてみれば大学が集まっている所や出版社、マスコミがある所、金持ちが住んでいる所なんかが古本屋としては経営しやすいと考えられる。
例えば京都はまともな大学がかたまっていて、学生も多いから本の量も質も高い。しかし古本屋は専門店化されていて、各々顧客が決まっている。
しかしそういう場所は地代も高いし、すでに何軒も古本屋があって、お客さんも京都みたいに、取引する店を前々から決めていることが多い。
だから後発で新たに古本屋を開いても、なかなかいい本を集めづらい。
勢い、場末や、田舎、古本屋が他にないところなんかで店を構えざるを得なくなるわけだ。
そうなると、店主の営業力が問われてくるだろう。どんなサービスを客に提供するかだ。まず安いこと、店の前には50均や100均を並べるだけでなく、店内の本も均一本を多くする。時代小説やエロ、漫画、レディースもそれなりに置く必要がある。
さらに、例えばちょっとした本、文庫本にまで透明なカバーをつけて清潔感をアピールする手間も必要になろう。
ゆっくり座って本を吟味できるように店内にソファーやテーブルを用意する。
そして気さくに客に話しかけて、探している本を聞き出したり、話し相手になってあげるなどの営業努力が必要だろう。
もう閉店してしまった上本町の一色文庫の店主が「あのな、寝屋川の金箔書房でな、若い女が入ってきてあれこれいじくってるだけで、買う気配もないねん。えらい経ってから、また男が入ってきて『あんた、遅いやん、待ったで。ここ読みたい本もあれへんし』ゆうてなんも買わんと出ていこうとするところに、金箔さんは『ありがとうございました‼️』ゆうたて聞いたで‼️俺はそんなん、そんなもんでけへんわ」と色をなして捲し立てていたことがあったな。
彼は繊細な人で、バカな客の一つ一つの言動を気にしすぎるところがあった。
俺が思うにはいくら温厚な金箔さんでも、内心はむかついていただろうし、低い声で「ありがとう」を言うのは嫌味だと思うけどね。
先週の木曜日、仕事の後、甲子園に出向いて、ファイターズ戦を見た。
友人に頼んで7200円するグリーンシートを取ってもらい、3人で観戦した。
木曜日、しかも北海道がフランチャイズのファイターズとの試合で、甲子園はチケットソールドアウト、去年のリーグ優勝と日本一さまさまだな。
タイガースの先発は西で、このところいいピッチングが続いていて、期待はもてるが、ファイターズの方も先発は山﨑で、こいつは去年までバファローズにいて、タイガースも苦しめられていたのは記憶にある。
試合前の予想としては、両先発が踏ん張って、我慢のしあいみたいになって、耐えられなくなった方が負けるかなというものだった。
しかし、試合はお粗末なもので、先発の西が4回に連打をくい、4点を奪われてしまう。
新庄はどういう意図かわからないが、ピッチャーの山﨑を6番に起用していたのだが、そいつが先制のタイムリーヒットを放つというバカバカしさ。
これは別に新庄に先見の明があったということではない。
西がミスをしてやけに高めの球を投げてしまったのがヒットを打たれた原因だと思う。
ヒットを打たれる前に投げていたストレートには山﨑は振り遅れて、全然ダメだったからなあ。
対して、タイガースは振りが鈍く、森下が三塁線を破るツーベースを放ったのが見せ場くらいで、結局0ー6となって、8回で、球場から出て、近くにある福本豊が経営する『GROVE』というバーで飲んだ。