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古本屋日誌
NHKの連続テレビ小説は『虎に翼』という作品で、女性で初めて弁護士になった三淵嘉子の伝記だ。
つい先ごろ、毎日ムックからこの三淵が扱った原爆投下の裁判の本『原爆裁判』(山我浩)が出た。
アメリカが当時の国際法も無視し、広島と長崎に原爆を投下したことは許されることではない。
だいたいナチスがユダヤ人を抹殺したことを問題視するなら、広島、長崎の全市民を殺害しようとしたアメリカの蛮行はナチスと何ら変わらないわけだから、当然裁かれなければならない。
それなのに、単に戦勝者だからと居直るアメリカ人の言動は見苦しいだけだ。
井上章一が所長を務める人文研の磯田道史は楽しい本をたくさん書いている。
なんでも磯田は古文書のたぐいを、まるで普通に新聞を読むスピードで読み進めることができるそうで、超人だな。
その中でも文春文庫の『江戸の備忘録』には本能寺の変の際の光秀の行動が買いてある。
夜中に洛中に入った光秀は、本能寺に向かう時、通行人は全て斬り殺すように命じたそうだ。
もちろん通報されてことが破れるのを慮ってのことだ。
さて本能寺に到着すると、なんと門は開けっぱなしで、門衛は一人しかいない。難なく切り殺して中に入ったのだ。
今年は古本屋の閉店がかなりある。
昨日梅田のマンガ専門店、もっきりやが閉店。
ここは第3ビルの地下二階。専門のマンガもかなり安く、例えば今も人気の『嗚呼花の応援団』(双葉社、全15巻)を6000円で売っていたりした。
また専門外の本は適当に値段を付けていたのでとてもやすく、10000円くらいする『江戸情報地図』も2500円だった。文庫本なんかもいい本がたくさんあった。
仕入れは客からの買取はほとんどしてないと言っていたなあ。
マンガをこうでほしいという客が来ても「一応主人にゆうてみますけど、よっぽどの本やないと買わないですよ」と応対していた。
他にも寝屋川の金箔書房が秋にも閉店することも前にも書いた。
奈良では今月末でキトラ文庫が閉店することも書いた。
京都では河原町通にあった大学堂が閉店したし、その斜向かいの京阪書房も今は更地になっている。
神戸でも元町の荒野と平野の片岡が閉店した。
店を閉める理由はなんといっても店主の高齢化だな。80近くになると、ただでさえ重たい本がずっしり腰に来て、もう見るのも嫌になってしまう。
それにほとんどの古本屋は前から通販を手がけていて、かなり売れることはわかっている。
「ほしたら、家でAmazonやらヤフオクやらに本出して売ったらええわ。別にしんどい思いまでして、店あけんなんことないよなあ」となっていくわけだ。
昨日の奈良の古本市は、日曜ということもあって、なかなか盛況だった。
個人で本を並べている人がたくさんいて、自分の前のテーブルに思い入れのある本を工夫して展示して、同好の士を待つ感じなので、趣味趣向を同じうするお客さんとあれこれ話が盛り上がるのだろう。
日頃は学校にせよ、職場にせよ、半ば強制的に放り込まれているので、気の合わない同僚や嫌いなやつはたくさんいる。
しかし、だからといって無視したり、関わり合いを断つことはできないから、それなりにストレスが生じている。
ここがネット社会の素晴らしいところで、SNSで自分と同じ趣味を持つ人と、容易に知り合えるし、気が合えば直接おうて、楽しく話もできるのだ。
これまでの社会では、自分と同じ趣味を持つ人を見つけるのはなかなか大変だった。
昨日は、ある古本屋に若い女の客が「前にお店に伺ったことがあって、その時は催し物には出たことないゆうてらしたですよね」
「あーあそうですわ。これが初めてなんです」で話が終わってしまうということがあった。
その女が手にしていたのは横溝正史の角川文庫で、話を膨らませていくことは、いくらでもできる(杉本の絵がいいとか、悪いとか、そもそも横溝は探偵小説になってないとか、角川映画がどうとかとか)のだが、店主はめんどくさかったのか、そっけない一言で終えてしまった。
そういうことも含めて楽しい古本市だった。
昨日から新大宮の奈良図書情報館で小規模な古本市が開催されている。
この図書館は近鉄の駅から一キロくらいの住宅街にあって、70万冊程度の本を収蔵していて割合大きなものだ。
さて、どんなものだろうと京阪、JR、近鉄と乗り継いで11時半くらいに新大宮駅に到着。
ここからは歩くか、タクシーで行くか、奈良交通のバスを待つかとなる。
バスは1時間に2本で、次のまでは25分くらいある。
タクシーで乗り付けたいところだが、新大宮駅北口のタクシー乗り場には一台も止まっていない。
近所にはブックオフの法華寺店があるが、歩くと10分くらいはかかるので、時間潰しには使えない。結局セブンイレブンでスムージーをいただいてバスでいく。
バスは5分程度で図書情報館西口に到着。周囲は基本的に正方形に区切られて、一区画が30坪以上はある一戸建てが整然と並んでいる。
そこから歩いて5分で図書館に到着。
内容だが、個人が持ち寄った一箱古本市みたいな感じで、古本屋も出店している。生駒にあるキトラ文庫や奈良の柘榴の國などだ。
各ブースは机一台とその、周りに小さな本棚を置くスタイルで、数は30以上あるが、冊数としては大したことはない。また自分で書いて簡易製本した日記を並べて売ってる人もいた。
ただ、エントランス前にはキッチンカーが出ていて簡易の机、椅子もあって台湾料理、ホットドッグ、カレー、れいこーなんかを楽しめる。
さて、キトラ文庫が今月一杯で店を閉める、今後は通販に絞るとのことで、閉店までは全点半額だというので、帰りに寄ってみた。
この古本屋は近鉄の生駒駅の北側に30年くらい前からある。
マスター夫婦はかなりの高齢で、古本屋の仕事は重たい本と格闘することになるので、肉体的につらい。そのあたりが閉店のきっかけになったのではなかろうか。
生駒市は大阪のベッドタウンで、それなりに収入のある世帯が多い。だから面白い本を集められる場所なんだが、いくら仕入れが容易だといっても、身体がゆうことをきかなくなるとどうしょうもない。
キトラ文庫はマンガや文庫本、絶版文庫本、絵本、実用書、辞書のほかたくさんの歴史書、小説を置いている。
その他に帳場の奥にたくさんの詩集を並べている。生駒の大衆が詩集に血道を上げているとは思えないから、これはマスターの趣味なんだろう。