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古本屋日誌
昨日は下鴨のお客さんのところに買取で伺いました。
例の豆大福で有名な「ふたば」はお客もまばらでそれでも店の前に係員を配置して並ぶ位置を指定してという感じでした。
お客さんが言うには「あれやな、京大前の吉岡書店も明日から店閉めるゆうとるし、善行堂とか中京のはんのきとか、河原町の京阪書房とかも閉めとってな、本を売るとこがあれへんねん。しゃーあなくオーパのブックオフに電話したらそこも閉めとんねん」とのことで、面倒だから紙ゴミの日に要らない本も出そうかと思っているとも言ってました。
まあそれはこちらとしてはもったいないわけで今日のように呼んでもらいたいところなんです。
京都は観光都市で、中京などは街中のかなりの人たちが旅行者をターゲットに生業を立てているので、今回の自粛騒動はこたえている感じもする。
ただ料亭や有名な塔頭は客は減ってないようだ。普通の客は来ないがいわゆるビップが人のいないゆったり観光できるチャンスということでものすごい金額を落としてくれている。
でもどうなんですかね、
ハラリも「サピエンス全史」て縷々語っていましたが休みに旅行する、観光するというのは本当は無駄な行為です。
京都の寺院や庭や風景がいいといってもそれはマスコミやらが作り上げた虚像であって、実際見てみたらどうということもない。
ただ行く方が「これだけのお金をつかって、時間もかかったんだからいいものに違いない」てな感じで自分を納得させようとしてますからね。
食事なんか京都は最低ですね。これはさすがに上げ底は効かないから観光客も「高いのに全然美味しくない」とみんな言います。
しかしこれも「まあ観光地やからしゃーあないな」てな感じで納得させてしまいます。
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大阪の郷土雑誌「大阪春秋」の最新号は四條畷特集だ。
四條畷の話は掘り下げ方も中途半端で物足りない出来だが、後半に作家の藤澤桓夫が長沖一の息子に戦前の左翼かぶれだった時代のことを赤裸々に語ったインタビューが載っていて、これは実に面白い。
民社党の春日一幸が共産党の宮本顕治を中傷しようとして戦前のいわゆるスパイ査問事件を国会でわざわざ取り上げて、宮本を人殺し呼ばわりしたことがあった。
警察のスパイを宮本が尋問して、結果的に死んでしまった事件のことだ。
藤澤はこういう。
「やっぱり警察の送り込んだスパイちゅうのは、殴り、あの、実際虐殺、あの処刑したかて、あの、まあそういうの、僕ら青年たちはな、むしろ正しいみたいな感じ持っとったからね。」
まあこれは当たり前の話で当時の共産党は非合法なんだから大日本帝国の法秩序になど従う義務などないわけですから、それを殺人だとかいうのはバカバカしい。
藤澤の小説は物足りないんだけど、何でもかんでも今の価値観で判断しようとする歴史主義みたいなものにはとらわれていないことがわかって少し安心した。
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その後出向いたセンター街のジュンク堂は時間短縮で営業していて床には1メートルおきに印が付いていてレジ待ちの列を調整してましたが、列は梅田ほどではなくものの2、3分もしないうちにレジに到着できました。
どの書店もレジ前の目立つ平台に「感染症コーナー」を設けて新潮文庫のカミュの「ペスト」角川文庫の小松左京の「復活の日」中公文庫のデフォーの「ペスト」やらを並べてますが、新潮の「ペスト」は冊数も多くて平積みとなっているのだが、中公のはあっても1、2冊で気合が入ってない。
中央公論から出ている「日本の歴史」の第5巻は土田直鎮によるもので「王朝の貴族」と題されているが九州から侵入してきたマラリアが猖獗を極め大変なことになっていく様がリアルに書いてあって面白い。
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MARUZEN-ジュンク堂の梅田店は11時から19時まで、土日は休みだが一応営業している。梅田ではジュンク堂の本店や紀伊国屋梅田本店、規模は小さいが旭屋書店も休んでいるので、ほぼこの店が唯一本を手にとって読める本屋だ。
昨日お客さんからある本を探してくれと頼まれて3時半くらいに出向いたら、レジ待ちの列がものすごいことになっていて、一階レジ前から店の東側の壁、南側壁面、西側とぐるり巡ってそれでも足りず階段を降りて地下一階の東、北、西の三壁面をめぐって列が続いている。
結局レジにたどり着くのに30分以上を要し、注文品と一緒に買おうと思っていた「関西文学散歩」と題された雑誌は読み終えてしまいましたよ。
仕事でどうしても資料がいる場合もあるし、毎月読んでいる雑誌を入手したいというのもあるだろうが、本屋に出向いてレジに30分以上もかかるとなると「もういいや、めんどくさい」となりますよね。だから通販サイトはどこも注文が増えて大変だろうと思います。
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肺炎騒動で緊急事態宣言やらが出て、30坪以上の古本屋にも休業要請が出ている。
もっと小規模な店でも要請に応じて休業したら国と大阪府から支援金が受けられることになった。当初東京都だけが休業の支援金を払う、大阪は金がないから無理という話だったが、いくらなんでもということで金を出すことになり、国が半分、市町村が半分負担するということに落ち着いた。ただ市町村が無理な場合は国からの半分だけになるようだ。
大阪府では個人商店は50万まで、小規模事業者は100万までとなっていて、考えてみたらかなりの古本屋はこんなに儲からないからある意味「喜んで休業要請に答えよう思うわ」となる。
もともと古本屋は合理性を欠く商売だ。お客さんのところに伺って本を買い付けるのだが売れない本が圧倒的だ。ベストセラーやよくある文学書、ハウツー本、雑誌などで「もうあれなんよ、引越ししてまうから弱ったんのよ、人助けや思て引き取ってもらわれへんやろか」と頭を下げられたら持って帰らないわけにはいかない。
これらの本は国道沿いの古紙処分場に直行するのだが「まあお客さんも喜んではったから」とわけのわからない理屈で自分を納得させます。
古本屋はみなこだわりの本やそのジャンルがあって、状態のいい、初版で帯も付いていてという完全な本を手に入れたいと願っています。なかなか入手できないが、たまたまうまくいったらそれで満足して「この仕事しといてよかったわ〜〜」となってしまう。
でもそれまでに50軒以上のお客さんの家を訪まわり、車も4000キロくらい走り、20キロを越えるダンボールを抱えて何百回と階段の上り下りを繰り返している。
やってることに合理性がありませんね。だから古本屋の顔はみな一様にジャンキー風ですよね。素直なところ来なくて、変な理屈で自己を正当化しているので顔にまでヘンコぶりが出てしまってます。