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古本屋日誌

2019-03-06 13:01:00

今朝はやはり花曇りで霞がたなびき、気温も高うなって春たけなわです。

このところ「新明解国語辞典第4版」がないか?と聞いて来られるお客さんが多くて、「そうですね、あんまり見ませんね、見つけたらご連絡しますわ」と型どおりのお答えを返しています。4版は7刷までが「動物園」の語釈がかなり個性的で、さる筋からのクレームで変更されてしまった経緯があります。

このところ4版はえらい高騰してます、お持ちの方はぜひお売り下さいませ〜

 

さて4版の動物園の説明は次のようになっています。

「生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀無くし、飼い殺しにする,人間中心の施設。」というやつなんですが、確かに飼い殺しにするなどといういささか穏当ではないけれど、世間の皆様が心のどこかで抱いている動物園への思いを活字にしてみせたとも言えますね。

旭山動物園の園長だった小菅正夫はクマの縄張りを論じた文章をものしていて、その主張をまとめてみます。

クマの縄張りはその生き物が最低限継続して生きていけるだけの広さのことで、北海道のヒグマは道内に針葉樹が多くて食料の確保がままならないために広大なエリアを縄張りとしている。ところがアラスカのクマは食料資源が潤沢なために狭いエリアで事足れりとなっている。

ひるがえって動物園のクマも実は檻の中を縄張りだと認識しているのだ。それが証拠に必ず檻でマーキングをして「ここは俺のエリアだから入ってくるな‼️」と主張する。

つまり動物園の檻というのは決して動物を監禁するものなんかではなく北海道の広大な原野やアラスカの大地同様の位置付けができるんだということです。

なーるほどね、小菅正夫としては新明解国語辞典のような主張は我慢ならんのでしょう。それはわかります。

ただ小菅正夫は旭山動物園でその動物の自然の姿を客に見てもらいたいということでペンギンの生態展示をしていますね。大きな水槽の中にペンギンが入っていて、水の中を融通無碍に四方八方自由にまるで空を駆け抜けるように自由に泳ぎ回るペンギンをわれわれ人間は水中の透明の通路から拝見する仕組みで、確かに楽しそうに泳ぐペンギンを拝めます。確かにペンギンは住んでいる南氷洋に近い展示なんでしょうがクマは北海道でもアラスカでも原野でも荒野でもなく檻の中というのは不公平に思えるなあ。


2019-03-05 12:45:00

今朝は春霞がたなびく陽気で気温もたこなって風も穏やかです。

中島らもがかつて朝日新聞に人生相談相談を連載していてなかなか面白く、その後を継いだ車谷長吉のやつもためになるお話がいっぱい載っていて素晴らしかった。中島らもやつで相談者が「昨日三回もババをしてしまいました、どないしたらええねやろ?」というのがあってらもは「ご先祖様に謝れ‼︎」と答えていた。

そうなのかあ、1日に3回してしまうのは親不孝、それもご先祖様に謝らなあかんくらいの重大な規律違反なのかとびっくりしました。翻って私が結核に罹患して寝屋川市にある「大阪病院」に隔離された時に毎朝看護婦から「あのなあ、昨日のお通じは何回あったんや?」と聞かれて相部屋で6人の相憐れむのメンツがいたんですが「3回や」「4回や」てな答えが多かったので、看護婦に「あのなあ3回て多ないか?そないにせなあかんもんなんか?」と聞いてみたら「ご飯の後にじきにやんのは下品やで」とか言うので回数は問題なく時間帯が問題だと知らされました。


2019-03-04 14:23:00

昨日仕事で三宮に出向くことがあり、久しぶりに「ブックオフ三宮店」に行きました。列島全体が大移動の今日この頃なかなか魅力的な品揃えで驚かされました。
専門書やきっちりした本は昔からの古本屋に売り、文庫や雑誌ムック本などをブックオフに売るなどということはなく、さすがに古文書はないものの、ほとんどオールラウンドであらゆる本が集まっていました。
興味深かったのは岩波文庫の棚で、量はそこそこあるんですが、魅力的な品揃えにはなっていない。ルソーの「エミール」「ほら男爵」「松翁道話」みたいな感じで「玉勝間」とか「英雄崇拝論」ルソーだったら「新エロイーズ」「告白」なんかは集められていない。
ところが講談社学術文庫は素晴らしい品揃えで最近人気の「昭和の精神史」や「第二次大戦に勝者なし」「ライフスタイルの心理学」なんかがあるのにはびっくりしました。
岩波文庫だけは読まない読者がたくさんいるわけはないので、やはり岩波文庫は人気が落ちてるのかなあ。岩波文庫は人文系の基本書が多くて例えばオットーの「聖なるもの」は人間特有の宗教的なメンタリティを分析した本で、非合理な心性を説いています。合理性を欠く帰依心の話は宗教の根源を論じているわけでかなり大風呂敷を広げているわけで、今のように、インテリに共有される「教養」なるものが崩壊したご時世では大方の支持は受けられないのだろうなあ。

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2019-03-03 10:58:00

今朝はどんより曇っていて、予報では雨だという。気温は低うはないので湿り気もあってちょうど頃合だ。

京阪電車の萱島駅は1980年に高架の複々線工事が完了して、現在見られるような御神木を構内に取り込んだ形になった。高架のホームから下の改札口に降りる階段が、京都方面、大阪方面ともに三カ所設けてあるが、なぜか一番西側の階段だけは内側にも白いタイルが敷き詰めてあって外側の深緑のタイルとコントラストも利いて良いのだが、残りの2カ所は内側は白く塗った板が貼り付けてあるだけだ。

守口市駅から萱島駅までは1980年に高架となったのだが守口市駅、西三荘駅をはじめ萱島駅以外は全て内も外も華麗な色とりどりのタイル張りなのに、どういうことなんだろうか。タイルの数が足らんようになってしまったのか、それとも板張りの方が見栄えがするとの判断が下されたのか謎だなあ。


2019-03-02 11:25:00

今朝もいい陽気で、風もなくおてらしさんも柔らかで春本番のような感じですな。

鶴橋駅の中にあって自動改札機から直接店内に入れる「ブックオフ鶴橋店」が今月末で閉店し、現在セールが行われています。1月の「天牛堺書店」の破産と合わせて古本業界は転機を迎えているという意見も聞きます。世間では心斎橋に本を読みながら寝られる、図書館にベッドをつけたようなホテルや店長がオススメの本をセレクトし抜いた個性的な品揃えを売りにしている本屋、著者を呼んでイベントも行う店、さらにはブックカフェなど本をメインにしながらも付加価値をつけた商売が盛んです。

本の価値以外に頼らなければならないとはバカではないのか?とかそこまでしないと売れへんのん?とかの意見はまあわからないでもないですが、娯楽が多岐にわたり、しかもそれなりの魅力を持っている現在、昔のようにとっつきにくいままのスタイルで本が売れていくほど甘くはありません。お客さんと色々な関係を結んで社会に貢献したいし、自分も成長したいという気合も感じられるし、今後ともこのトレンドは盛んになるでしょう。

ネットで古本を扱う我々のような世界でも一冊一冊の本の価値をきちんと発信していく作業は大切です。

そこで吉田満の「戦艦大和の最期」と阪本誠一の「あゝ戦艦大和」はいかがでしょうか。

吉田満の作品は救命ボートに乗り込んでいる兵隊がボートのヘリに乗せてくれとすがりついてくる兵隊たちを、このままではボートが沈んでしまうと怖れて軍刀で船べりにかけた手を切り落としていく描写があって、「そんなことまでしなかった、あれはフィクションだ」とか論争にもなっていました。ニューギニアでは食うに困って戦友を殺して肉を食べていたわけですから、その程度のことは追い込まれた人間はしてしまうのではないでしょうかね。別に当たり前のことですけどね。

大和は燃料はちゃんと往復分積んではいましたが、制空権のない中沖縄まで行き着けるわけがなく、乗組員の中でも出向前日の晩「いくらなんでも無謀な出撃であまりにも無意味」だとか「このような作戦しか出せないとは呆れる」のような意見が噴出していたことが書いてあってそれでも結局「俺たちが頑張って捨て石になって本土の人間を助けたい」という理屈でみんな黙ってしまったとある、そんな悲壮な、そして命知らずの人間でも大和が沈んで生き残るチャンスが生まれたら戦友を犠牲にすることをいとわない。それが人間なわけだから、そういう状態に追い込まないような世界にしないといけませんね。

また阪本誠一の「あゝ戦艦大和」は漫画なんですが、異様な迫力に満ちた作品で、注目すべきは米軍の雷撃機が大和を横倒しにしようとして左舷ばかりに魚雷を集中させたために艦は大きく左に傾き、戦闘能力も削がれてしまうので、右舷の注水してバランスを保つ話なんです。艦内アナウンスで作業員は直ちに退避せよとの命令が下るのだが、なぜか注水は全員退避する前に始まっていて、水面はどんどん上がってきていて、上の甲板のハッチまで迫ってきていて上官から「もう退避はまたなくていいからハッチを閉めろ❗️」と言われてハッチの外まで腕が伸びてまさに上がろうとしているのを無理やり閉めるシーンとなります。

阪本は何を根拠に描いたのわからないんですが、吉田満の描写は問題視されたのに、よく似たこっちはお咎めなしで不思議な感じがしました。

 


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