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古本屋日誌

2019-03-02 11:25:00

今朝もいい陽気で、風もなくおてらしさんも柔らかで春本番のような感じですな。

鶴橋駅の中にあって自動改札機から直接店内に入れる「ブックオフ鶴橋店」が今月末で閉店し、現在セールが行われています。1月の「天牛堺書店」の破産と合わせて古本業界は転機を迎えているという意見も聞きます。世間では心斎橋に本を読みながら寝られる、図書館にベッドをつけたようなホテルや店長がオススメの本をセレクトし抜いた個性的な品揃えを売りにしている本屋、著者を呼んでイベントも行う店、さらにはブックカフェなど本をメインにしながらも付加価値をつけた商売が盛んです。

本の価値以外に頼らなければならないとはバカではないのか?とかそこまでしないと売れへんのん?とかの意見はまあわからないでもないですが、娯楽が多岐にわたり、しかもそれなりの魅力を持っている現在、昔のようにとっつきにくいままのスタイルで本が売れていくほど甘くはありません。お客さんと色々な関係を結んで社会に貢献したいし、自分も成長したいという気合も感じられるし、今後ともこのトレンドは盛んになるでしょう。

ネットで古本を扱う我々のような世界でも一冊一冊の本の価値をきちんと発信していく作業は大切です。

そこで吉田満の「戦艦大和の最期」と阪本誠一の「あゝ戦艦大和」はいかがでしょうか。

吉田満の作品は救命ボートに乗り込んでいる兵隊がボートのヘリに乗せてくれとすがりついてくる兵隊たちを、このままではボートが沈んでしまうと怖れて軍刀で船べりにかけた手を切り落としていく描写があって、「そんなことまでしなかった、あれはフィクションだ」とか論争にもなっていました。ニューギニアでは食うに困って戦友を殺して肉を食べていたわけですから、その程度のことは追い込まれた人間はしてしまうのではないでしょうかね。別に当たり前のことですけどね。

大和は燃料はちゃんと往復分積んではいましたが、制空権のない中沖縄まで行き着けるわけがなく、乗組員の中でも出向前日の晩「いくらなんでも無謀な出撃であまりにも無意味」だとか「このような作戦しか出せないとは呆れる」のような意見が噴出していたことが書いてあってそれでも結局「俺たちが頑張って捨て石になって本土の人間を助けたい」という理屈でみんな黙ってしまったとある、そんな悲壮な、そして命知らずの人間でも大和が沈んで生き残るチャンスが生まれたら戦友を犠牲にすることをいとわない。それが人間なわけだから、そういう状態に追い込まないような世界にしないといけませんね。

また阪本誠一の「あゝ戦艦大和」は漫画なんですが、異様な迫力に満ちた作品で、注目すべきは米軍の雷撃機が大和を横倒しにしようとして左舷ばかりに魚雷を集中させたために艦は大きく左に傾き、戦闘能力も削がれてしまうので、右舷の注水してバランスを保つ話なんです。艦内アナウンスで作業員は直ちに退避せよとの命令が下るのだが、なぜか注水は全員退避する前に始まっていて、水面はどんどん上がってきていて、上の甲板のハッチまで迫ってきていて上官から「もう退避はまたなくていいからハッチを閉めろ❗️」と言われてハッチの外まで腕が伸びてまさに上がろうとしているのを無理やり閉めるシーンとなります。

阪本は何を根拠に描いたのわからないんですが、吉田満の描写は問題視されたのに、よく似たこっちはお咎めなしで不思議な感じがしました。