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古本屋日誌
今朝は昨日の晩の激しい雨も上がり爽快な天気です。
集英社文庫からさくらももこの「ひとりずもう」が出ています。清水で過ごした中学から高校を経て「リボン」でデビューするまでの自伝風のマンガです。ある日自転車で家の前を通りかかった男の子に一目惚れしてその子のことばかり考えたり、生理が来てほしくないとうつ伏せに寝て神様にお願いしたりとたわいないビルドウィングロマンスのようなところもあるのだが、底流にはしっかりした頑固さが隠れているのがこの作品の魅力だ。高校では物理部に入るのだが、夏休みの部活には一切参加せず、たまに9月に部員と顔を合わせた時はあからさまに重苦しい雰囲気が流れて重苦しい時間が過ぎていくのだが、帰宅途中でさくらももこは「まあ休み中登校などせずにノンビリ過ごせることを思ったら、あの程度のしんどさは大したことないな」と言ってのける。このテコでも動かない揺るぎない自信のようなものが彼女の原点なんだろう。
今朝は小雨まじりで曇ってましたが、やがて雲間から日の光が差して天気です。
昨日の晩NHKが「夏祭浪花鑑」をやっていて中村吉右衛門が子どもと出ていた。本人も言う通り大阪弁は義太夫で練習しているとはいえあんまり達者とはいえないが、歌舞伎特有の歪んだ魅力に溢れた面白い芝居だった。
団七の嫁のお辰が磯之氶を引き取ろうとするが「お前には色気があるから磯之氶とややこしなるやもしれん」と言われて思い余ったお辰は焼火ばしを取り上げて己の顔に押し当ててひどい火傷を負い、色気を消して一件落着となる。器量よしだから男に毒だと言うのもよくわからない話ですが、確かに六月の酷暑の中都合よく焼火ばしがスタンバッテいるのも面白い御都合主義でまるで「ガラスの仮面」のような楽しさです。さいごの長町裏の段では団七が義父に雪駄で顔面を破られてたらりと血が垂れるシーンで「男の顔を潰した」と辛抱たまらんようになって義父を切り殺してしまうくだりが延々と続いていき、いつもながら悪趣味だなと感心します。近松の女殺油地獄も同様の展開が長々続き、まあ刺激の少ない徳川時代の大衆にはいいガス抜きにはなったのだろうが、我々からしたら、くだらないのひとことにつきる。額から血が出たくらいで体面がどうだとか、男の一分がすたるとかいう価値観には全く共感のしようもなく、バカバカしいというほかない。
しかしこういう露悪趣味や途中で引き返してきてハッピーエンドには決してならない芝居は現代では稀ですから、新鮮味はありますね。ボケとツッコミでいえば、一方的にボケまくって、一切ツッコミが入らない漫才のようなもので、最後はどこまで行くんやろ〜てな楽しみがあります。
今朝もえらいええ天気で、薄雲が山際にたなびいている他は誠にええおてらしさんです。
モノの本によるとハムスターはもともと乾燥地帯の生き物で、ごく短期間降る雨に伴って大量に出現する草の実を効果的に地下に掘った巣に運ぶため頰袋があり、たくさんの草の実を一気に運べるのだそうだ。少しずつ運んでいようものなら、蛇やら猛禽類に襲われてしまう。草の実は巣の寝室の奥にさらに穴を掘って蓄えるのだがその量は10キロとか15キロにも及ぶ、ハムスターが体重わずか100グラムくらいであるのに比してあまりにも膨大で驚かされる。
ところが人が飼うようになっても、つまり餌が定期的に与えられるから貯蔵する必要もないのにこれまでの生活パターンにとらわれていくらでもため込もうとするが、人間が用意するスペースは砂漠と違い限られているので、いくらも深く穴を掘ることはできす、ために自分寝室に貯めることとなり、防寒のグッズを持ち込むことができなくなって、ひどい場合は凍死してしまうことがあるという。
早川書房から出ている「今なぜ仏教か」に人は長く続いたジャングルでも生活に今なおとらわれていて、少しのことでエキサイトして、警察沙汰を引き起こして後悔したり、好きな食べ物を延々と食べ続けて、肥満体に陥ったりするとある。確かにジャングルのような相手との距離が近く、喧嘩に負けない姿勢を常に保持していることが群れの中の己の地位に直結するようなところでは有効な戦略も気遣いが第一とされる変に優しい現代社会ではかえって不利だ。好きな食べ物を好んでいくらでも食べてしまうのも、常に飢餓と隣り合わせの伝統的な社会では有効でも、今日の飽食世界では単に成人病のリスクを増やすだけだ。ハムスターのみならず、我々も自分の趣味趣向が実は遺伝子の生き残り戦略におどらされているだけかもしれず、ここは瞑想によって欲望を鎮める必要があるという感じでブッダの教えにつながっていきます。
夜前はかなりおしめりがあり、しっとり潤っています。1960年代に100冊以上刊行された「建築写真文庫」の再建版を入手しました。戦後間もない東京、大阪に出現したホテル、喫茶店、バー、料亭、キャバレーなど商業施設の写真を集めたもので、元版自体は割と目にするものですが、その中でバーやキャバレーを扱うた本はなかなかの稀覯本で、私は一度も見たことがありません。それが簡単に見れるわけですから、ぜひお買い求めください。
道頓堀の「くいだおれ」の古い建物があり内部の写真とともに掲載してあります。二階建ての和風の建築で正面は昔の風呂屋の唐破風があり、正面にはうだつが上がっていて、例のくいだおれ太郎は向うに右手のガラス窓の奥にいることがわかります。一階の内部は真ん中に薦だるが積み上げてありそれを囲む形でビールだるような椅子がぐるりと囲んでいます。手前には黒電話、奥には厨房が見えて主なメニューが貼ってあるんですが「グリルチキン、チキンカツ」などが読み取れます。まあ私は何度か利用したことがありますが、特にうまい店だとは思いませんでした。うだつはそもそも袖壁で防火のために隣の家との間に建てるものなんですが、「うだつが上がらない」の慣用句となっているように、ステイタスシンボルとしても機能していました。くいだおれはそれを露悪的に利用していてそこは面白い。
横浜にあった美空ひばりの経営する寿司屋「美之寿司」の内部の写真もあって例のの小さな提灯が並んでいるんですが田岡一雄のやつが目立つところに飾ってあって、まあ時代ですね。
今朝もええ天気で雲ひとつない快晴です。テレビの天気予報ではこういう時にはよう「放射冷却で朝は冷えますから、ご注意ください」といっているのだが、先日それに加えて「地上の熱が宇宙に放出されます」とも付け加えていた。そうなのか、晴れた日には地球から熱が宇宙に放出されるのか、それなら人工的に晴れの日を増やしてコントロールしてやれば温暖化にもブレーキをかけられるのではなかろうか?そんなことはないのかなあ。
なかなかお目にかかれない文庫本に松本常男の講談社文庫「ビートルズ海賊盤事典」があります。私も一度しか扱うたことがありません。世界中からいろんなバージョンで出されているのを網羅した事典で、天下のビートルズだから当然需要もあるんですが、なぜか絶版で入手できない。ビートルズはこの頃ではどの工場で何回目にプレスしたかもコレクターの重要なポイントになっていて、まあ中身は何にも変わらないと思うんですが、いささか過熱気味です。講談社としても重版をかければ儲かるとおもうんですが、「海賊版」というネーミングや内容が大手の出版社にそぐわないというおかしな判断が働いているのではなかろうか。だいたいこの事典は出版と同時といっていいくらいのタイミングで品切れになり以降重版をかけてないわけで不思議だ。
ソフトバンクも以前パソコンの面白い雑誌を出していて、たくさんのウィルスを並べて好きな人には無料で提供するとうたっているサイトの情報とか、まあアングラなやつをたくさん載せていて面白かったが、会社が巨大化するにつれてやはり体面を気にするようになったか、これも廃刊となりました。