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古本屋日誌
今朝は薄曇りで次第に冬空の様相を呈してきてます。これをよしとするか憂鬱だとするかは気の持ちようです。
以前勤めていた会社は建築関係で、社長は創業者で初めは正社員で入ったんですが、あまりにも忙しいので嫌気がさしてさっさと辞めることにして社長に伝えると、即座に「今はえろうこまるねん、助ける思て、今年一年はバイトでもかまへんよって続けてやってもらわれへんやろかな」と言うのでまあええかなと思いました。またその仕事はなかなか面白いので一年といわずしばらくはやりたいと思ってもいました。するとその表情をすかさず社長は読み取って「あのな、今年一年でもええし、少なくとも今年はな」と言い直したのには、さすがに人の上に立つ人は俺とはちごて、こういう機敏なことができるんやなと思いました。私なんか人の顔色を読むことなんか考えたこともありませんからね。
しかし老いは誰にも降りかかるもので、次第に反応が鈍るようになり随分前に広島カープが優勝した時に、社長が「広島の街はえらい景気ええで、もうかってたまらんゆう感じやわ、新しいビルもぎょうさん立っとるしなあ、犬が客よんどるスナックもあってよかったわ」とかいうのですかさず「社長、あれですな広島では優勝以来昼のランチオーダーしたら自動的にビール付いてくるゆうこってすなあ、えらい景気よろしなあ。」とゆうてみたら「そうなんや」とかいうので「ウソウソウソ、そんなことおまっかいな」と混ぜっ返してもそれには何の反応もなく「大阪はあかんなあ、さびれてきて、繁盛を東京とか神戸に持っていかれとるわ」ですからね。
山上たつひこの「かんにんどすえ」はとにかくボケとツッコミの構図を破壊しようという漫画で大家のとうさんが実家で何メートルもある巨大な亀を檻に入れて飼育しているとか、その亀がとうさんを愛しているとかわけのわからないボケが満載で、一切ツッコミは入りません。最後はとうさんは男と新幹線に乗って駆け落ちするんですが、怒り狂ったペットの亀が超巨大化してガメラのようになり、口から火を吐いて京都の街を焼き払います。果てはとうさんの乗る新幹線を持ち上げて叩きつけようとしますが、ここでも「ちょう待ちぃーな、それはあんたはんの愛するとうさんでっせ、やめんかいな」ては野暮な話は一切出ず、持ち上げられた新幹線の中で2人は焼け落ちる街並みを眺めて「きれーおすなあ」で幕となります。