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古本屋日誌
1月から4月半ばまでは、転勤や進学などで宿替シーズンで、古本屋としてはありがたい時期だ。
買取の依頼が増えて、しかもお客さんの依頼は「もうここらへんの本は荷物なんや。持ってはいかれへんさかい、なんぼでもええから引き取ったってや」ということなので、査定の金額に不満を述べられることはない。
古本屋としてはありがたい限りだ。
それで古本屋の在庫は積み上がるのだが、店の棚も既にたくさんの本で満杯になっているから、新しく買い入れた本を出そうとすれば、売れ残りを引きずり出して入れ替えないといけない。
しかし店の中は寒いし、正月気分が抜けないし、そもそも人手不足だからなかなか思うにまかせない。
手っ取り早く店の本を入れ替える、しかも労力を使わずにやる方法はある。
それは、バーゲンをすればいいのだ。
この本棚からここまでは全て100円‼️とか、もっとインパクトを追求するなら、大きめのレジ袋を用意して「詰め放題で500円‼️‼️」てなことをすれば、かなりはけるだろう。
もちろんバーゲンの前にチラシを大量に作って、近所一帯にポスティングする必要はあるけどね。
現に、日本一の古本屋であるブックオフは土日なんかに合わせて、定期的にバーゲンをやっている。
伊澤理江の『黒い海』は大宅賞に加えて講談社ノンフィクション賞、エッセイストクラブ賞も受賞している。
2008年に太平洋上で突然沈没した漁船の話だ。
公式には三角波によるとされたが、伊澤は潜水艦がぶつかって、そのまま逃走したのではないかと疑って、あれこれ調べてみるのだ。
可能性があるのは海上自衛隊、米軍、ロシア、中国、韓国あたりだ。
もし海自だとしたら、潜水艦の修理が必要になって、たくさんの人の目に損傷した部位が晒されることになり、とてものことに隠しおおせるものではないようだ。
では米軍はどうか❓
17人も死んでいるし、それがアメリカの原子力潜水艦の当て逃げによるものだと公になったとしたら、もちろん仮定での話なんだが、日米関係はぎくしゃくしてしまうだろう。
伊澤は損傷した潜水艦はドックで修理となるだろうと考えて、あれこれ資料を博捜するのだが、結局結論は出ないまま。
よく調べてはいるけど、初めから軍事機密に関することに触れるのはわかっているはずだよな。
それを適当な軍人へのインタビューや公文書の公開請求程度で明らかにしようと考えるのは、どうかしてるよなあ。
そんなもん無理に決まっている。
池田にある小林一三記念館は、元の屋敷を利用したもので、阪急電車の創始者である小林一三のコレクションを展示しているようだ。(俺はまだ行ったことがない)
展覧会の図録や書籍の販売もしていて、中でも、1991年に出た全3巻の『小林一三日記』は古本屋では2万くらいで売られている。
その本が最近バーゲンで、2900円で販売されている。
しかもその他の図録やボールペン(220円)などと抱き合わせにして合計3000円を超えたら、送料は無料になるというのだからありがたい。
早速取り寄せて、第二巻を読んでいる。この巻は昭和20年の正月から始まるのだ。
例によって大本営のデタラメな戦果報告を新聞記事から切り抜いて貼り付けて日記に書いているのだが、例えば神戸空襲の話では来襲したB-29は70機、そのうち20機を撃墜し、50機に損害を与えたという。
さすがにこの記事に関しては小林も「それでは全機に損害を与えたことになる」と懐疑的ともいえる感想を漏らしている。
沖縄戦では特攻攻撃などで、敵艦船を400隻以上、空母は12隻沈めたと発表していて、小林も一応信じてはいるようだ。
しかしそれだけの赫赫たる戦果をあげているにもかかわらず、依然として沖縄近海には何百隻という米艦隊が遊弋して、地上戦でも追い詰められているわけで、普通ならガセではないのか❓大本営発表て嘘しかないと思うところだ。
しかし小林の思いはそうではないのだ。「これだけやられてもなお、航空部隊を繰り出してくる敵の精神力は侮れない」
つまり、これまで我が国だけが大和魂、精神力で圧倒的な優位に立っていると思っていて、アメリカ兵などいざとなれば身がすくんで臆病風に吹かれて何ほどのことがあろうかとバカにしていたが、それはあまりにもアメリカを甘く見ていたと反省しているわけだ。
さらに加えてアメリカは、兵站も優れているし、武器、弾薬ときたら質量共に我が国を圧倒している。物質的にも精神的にも敵わない相手だということになる。
大本営のウソ発表のオンパレードは、士気を鼓舞するどころか、敗北感を印象付けることになってしまっているのだ。
カラオケ屋はコロナ騒ぎでは、客足も途絶えて大変な打撃を受けた。
しかしようやく元の繁栄を取り戻している。
中でも業界大手のジャンカラは「コンセプトルーム」なる特別室を提供している。
20人くらいは収容できるスペースの大きな部屋で、真ん中にバーカウンターがある部屋、特別巨大なスクリーンを備えている部屋、会議ができそうなテーブルを備えている部屋など工夫が凝らされている。
近所の寝屋川駅前の店など、受付も支払いも全て機械化されていて、店員と顔を合わすことなく部屋に入っていけるシステムだ。
曲目にしても、本人画像があるのは昔からだが、本人歌唱もたくさん入っているのは素晴らしい。
カラオケはメロディだけが流れて、それに乗っかってお客さんが歌うシステムなのに、その歌手本人が歌ってしまっているのでは、YouTubeとかミュージックビデオと変わらない。
しかし、大画面で流れるテロップを見ながら、ビールを飲みながら、歌いたい時にはマイクで歌えてというのは、なかなか経験できないことなのだ。
俺の好きな中島みゆきは、これまで本人歌唱は入っていなかったが、昨日京都の河原町三条店に行ってみたら、たくさん入っていた。
(店員さんに聞いてみたら、部屋によって導入しているカラオケの種類が違っていて、本人歌唱があるタイプの部屋は限られているが、かなり前からあることはあったとのことだった)
『時代』『世情』『地上の星』『旅人の歌』『糸』『銀の龍の背に乗って』『麦の歌』なとなどコンサートで中島みゆきが歌っている映像がいくらでも流れるのだ。
これだけの曲目があって、しかも大きな画面に容易に映し出せるとなると、これはこれで、値打ちがあると思えた。
もちろんそれに合わせて歌うこともできるが、そんな無粋なことは慎んで、ただもう聞き惚れるだけのひとが多いのではなかろうか。