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古本屋日誌
今日から高倉の京都古書会館の三階で小さな古本市。早速朝から出かけてみた。
場所は丸太町高倉下ル、周りには喫茶店があんまりないな。
パン屋はあるから、京都の人はそこで美味しいパンをこうて、家で楽しむのだろう。
さすがは京都‼️と認めざるをえない素晴らしい品揃えで、感服いたしました。
ちょっと面白かったのは目録だ。
300円で販売していて、50ページにわたって、カラーで魅力的な本や錦絵、直筆、地図などが並んでいる。
錦絵では徳力富吉郎のが多かった。徳力は京都や大阪の風景画をたくさん残している。
その中で『創作版画 京洛三十題』という昭和11年の版画集が出ているのだが、赤尾照文堂のものは「木函、帙入」で176000円となっており、インディゴブックスのは同じ版画集だが、90000円となっている。
しかし木函や帙のことはキャプションに書いてないから、ついてないのだろう。
中身はおんなじなのに、そういう外の装飾の有無で、かなり値段の差が出るのだなあ。
まあ俺はこういう骨董品には何の興味もないけどな。
また玉城文庫が、江戸後期の「皇都四条河原の納涼図」という絵を198000円で出している。この絵のタイトルで京都は「皇都」となっている。
それに対して同じ玉城文庫が出している「大坂西京間鉄道線平面概略図」は明治10年だということなんだが(値段は88000円)、京都は「西京」となっている。
明治に江戸が東京となって、遠慮したような表記だよな。
「皇都」とかいうのもアホらしいけど、少なくとも江戸への遠慮や配慮はないな。
それが明治10年にはえらくへりくだってるけど、いつもお高くとまっている京都の人たちらしくないな。
今日は嫁と信貴山に詣でた。JR王寺駅から、タクシーで1800円くらいで信貴大橋に到着。
王寺の駅からのバスは1時間に一本しかなく、逃してしまうと大変。
タクシーの運転手さんによれば「寅の日とか祭礼の時はお参りの方も増えるので、バスは1時間に2本になるんですが、30分ごとにくるんやのうて、やはり1時間に1本で、バス2台来るんですわ。ようわからん話ですな」
リタイアしてから、趣味で集めていた本を売って楽しく老後を過ごそうという人たちがいる。
せっせ、せっせと何十年もかけて集めてきた本を、自慢の店に並べて売っているわけだ。
そういう、しもたやみたいな古本屋の一つが京大の近くにある「喜多の園」だ。
店主は長野で茶を商っている老舗の六代目だそうで、家業に精を出して、老後の今、憧れの京都で好きな本を売っているのだという。
その店は東一条の交差点を少し西に行ったあたりにある小道を南に入ったところで10坪はない大きさだ。
社長の道楽なんだから、もっと気合の入った大きな店を想像していたが、そうではない。
話では蔵書は15000冊くらいとのことだが、大した量ではないな。
塾の先生をしていた貧乏時代の俺でも5000以上は持っていたからな。
太宰治の『津軽』の初版もあるそうなんだが、「まだ、売らない、手放すと寂しいから」と商売人とは思えない不思議なことを言う。
俺が見るところ、店内にさほどの稀覯本は、見当たらないな。
辻邦生、森有正、福永武彦、村上春樹、大江健三郎、子母澤寛、亀井勝一郎、後藤明生、古井由吉、柏原兵三などがある。
また『海』『文學界』など文芸雑誌の古いものが積んである。
しかし、例えば『海』ならかつて村上春樹がアメリカ文学の評論を連載していたことがあって、それはなぜだかわからないがいまだに単行本化されていないのだ。そのあたりを揃えていれば大したものだが、そんなこともない。
大江健三郎の本もいろいろ並んでいるが、『万延元年のフットボール』は初版ではないし、コンディションも悪い。
『洪水はわが魂に及び』もあるが、外パラがないコンディションで、珍しいものではない。
文庫本では新潮文庫の『人生劇場』全11巻揃が置いてあるけど、コンディションは悪いし、そもそも珍しい本ではない。
全共闘の本もあったが、稀覯本の関西学院大学とか早稲田大学のやつはない。山本義隆の『知性の叛乱』なんかがあるのだ。
会社の社長をしていて、大学は早稲田というし、金はいくらでもあるだろうに、いいコンディションの本が少ないのは不思議だな。
おそらく時間をかけていろんな古本屋を巡り、安価で手に入れていたのだろう。
金のない学生なら、理解できる行動だけど、その反対の立場の人が同じ行動を取る場合があるわけだ。
スカイAでは、連日、タイガースのキャンプ中継を宜野湾市から続けている。
センターにチャンピオンフラッグが翻り感激もひとしおだ。
しかし、とりわけ野手の面々はまだまだ打率にしても、ホームランにしても上げてもらわないといけないので、見ていて楽しい。
3日目の解説者は矢野だ。開幕前にシーズン限りで監督を辞める宣言をして、開幕9連敗を喫した前監督だ。優勝特番や日本一の際にもテレビに登場しなかったので、解説者も引退するのかと持っていたが、そうではなかったようだ。
矢野は「やはり、ファンも叩き上げのクリンナップを、見たいんじゃないですか」という。
俺はそうは思わない。
優勝できるのなら、日本人であろうが、韓国人であろうが、ひょっと火星人であっても全然気にならないけどな。
矢野みたいなことを言っていると、例の村山実監督みたいなおかしなことをやりかねない。
キーオーという素晴らしい先発ピッチャーがいるのに、開幕投手に仲田のような全然力のないやつを指名していたなあ。
また「外国人で3Aから取ってきても、日本のピッチャーはいいから、活躍した選手て、ほとんどいないでしょ、だから外国人は6番、7番あたりで考えておく方がいいです」
これはその通りだろう。
去年亡くなった大江健三郎が長らく、岩波書店の『図書』に連載していた「親密な手紙」がようやく刊行された。(去年の10月)
その中に大江が『ガンガンチュア物語』の挿絵本をわざわざスペインの古本屋まで買いに行く話がある。
なんでも渡辺一夫が書いたスペインのドレドでの古本屋のエッセーに添えられた写真にその『ガルガンチュア物語』がたまたま写っていたのだそうだ。
それでどうしても手に入れたくなって、海外で使えるカードと「そこそこのドル貨の入った財布」を手に、とるものもとりあえず、スペインのドレドにでむき、くだんの古本屋に行ってみた。
折り悪しく、ちょうどシェスタの時間で、店は閉まっていたが、大江は店があくまで2時間半の間、外で待っていたんだそうだ。
ひょっと本が売れてしまったら大変だと思ったわけだ。
店が開くと同時に入って、『ガルガンチュア物語』が欲しいというと、店主はすごく警戒している。
『ガルガンチュア』をフランスでもイタリアでもなく、スペインで求めようとするのはなぜだ❓とか、ラブレーの特製本を東京から飛行便で買いに来るとは‼️とか言われる。
大江がカードを出すと、店主は急いで銀行に電話をかけ、挙句「1週間後に現金で持ってくるように」と言われてしまうのだ。
大江はそれなりに現金も持っていたようなのに、カードで支払おうとしたのは、かなり高額だったからなんだろう。
店主にしてみたら、高い本をこうていただける上客なのではないのかな、それなのに「あんたには売らんわ‼️」と言わんばかりの対応は不思議だな。
トレドのこの古本屋は、京都の店みたいな感じなのかもそれない。自分だけのルールがあって、それに合わないやつらは客ではないというスタンスなのかもしれない。