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古本屋日誌

2024-02-07 13:54:00

リタイアしてから、趣味で集めていた本を売って楽しく老後を過ごそうという人たちがいる。

 

 

せっせ、せっせと何十年もかけて集めてきた本を、自慢の店に並べて売っているわけだ。

 

 

そういう、しもたやみたいな古本屋の一つが京大の近くにある「喜多の園」だ。

 

 

店主は長野で茶を商っている老舗の六代目だそうで、家業に精を出して、老後の今、憧れの京都で好きな本を売っているのだという。

 

 

その店は東一条の交差点を少し西に行ったあたりにある小道を南に入ったところで10坪はない大きさだ。

 

 

社長の道楽なんだから、もっと気合の入った大きな店を想像していたが、そうではない。

 

 

話では蔵書は15000冊くらいとのことだが、大した量ではないな。

 

塾の先生をしていた貧乏時代の俺でも5000以上は持っていたからな。

 

 

太宰治の『津軽』の初版もあるそうなんだが、「まだ、売らない、手放すと寂しいから」と商売人とは思えない不思議なことを言う。

 

 

俺が見るところ、店内にさほどの稀覯本は、見当たらないな。

 

辻邦生、森有正、福永武彦、村上春樹、大江健三郎、子母澤寛、亀井勝一郎、後藤明生、古井由吉、柏原兵三などがある。

 

また『海』『文學界』など文芸雑誌の古いものが積んである。

 

 

しかし、例えば『海』ならかつて村上春樹がアメリカ文学の評論を連載していたことがあって、それはなぜだかわからないがいまだに単行本化されていないのだ。そのあたりを揃えていれば大したものだが、そんなこともない。

 

 

 

大江健三郎の本もいろいろ並んでいるが、『万延元年のフットボール』は初版ではないし、コンディションも悪い。

 

『洪水はわが魂に及び』もあるが、外パラがないコンディションで、珍しいものではない。

 

文庫本では新潮文庫の『人生劇場』全11巻揃が置いてあるけど、コンディションは悪いし、そもそも珍しい本ではない。

 

 

全共闘の本もあったが、稀覯本の関西学院大学とか早稲田大学のやつはない。山本義隆の『知性の叛乱』なんかがあるのだ。

 

 

会社の社長をしていて、大学は早稲田というし、金はいくらでもあるだろうに、いいコンディションの本が少ないのは不思議だな。

 

 

おそらく時間をかけていろんな古本屋を巡り、安価で手に入れていたのだろう。

 

金のない学生なら、理解できる行動だけど、その反対の立場の人が同じ行動を取る場合があるわけだ。