Welcome

古本屋日誌

2019-01-11 12:59:00

今朝はえろうぬくうて風もぬるんでいて、まるで春になったかのようです。

有村架純の写真集「CLEAR」が入荷しました、ぜひお求めください。auのCMに出ていて珍しくセリフと表情の使い方がうまい俳優だと思いました。その後行定勲が監督をした「ナラタージュ」に出ていて、この映画は先ごろ直木賞を受賞した島本理生原作のもので、島本はむしろ芥川賞がふさわしい文体の持ち主で、映画も面白かろうと期待して見ましたがつまらなかった。これはそもそも原作がくだらないからで、高校の先生が好きでいつまでもズルズル引きずっているよくある女を描いた、品のないメロドラマに過ぎず、なんとかならないものかと思いました。

有村架純はさすがにうまいんですがこの映画もそうですがテレビドラマの「中学聖日記」もそうなんですが、脇が甘くていくらでもつけ込まれそうな女をハマり役にしてしまったのではないかと感じた。まあ表情からして押しに弱そうな、真面目な感じがあるから、本人がやりやすい配役を選んでいるとも言えるけど、幸彦さん役から変な役ばかりになってしまった佐野史郎や、異常者役がうまい藤原竜也みたいになるおそれもあるな。

この写真集「CLEAR」にはインタビューが収めてあって役者デビューして2年ほどは詳しくノートをつけて芝居を研究したことや、それにもかかわらずつまらない演技をしてしまい「こんな芝居しかできないなら役者やめなさい」と叱られたことや、ドラマの撮影でアップアップになってしまい楽屋で1時間も泣いてしまったとか真面目な性格がよくわかるエピソードが書いてあるけど、まあどんな仕事にも苦労なんかあるに決まってるし、俳優なんかそもそも浮き草稼業の非常識な仕事なんだから、分かりきったことを言わないでほしいところだ。この本の中で行定勲は「悪役に挑戦してほしい、その天分が彼女にはある」と期待を表しているのだが、正しくそれができたらいいんだけどね。まあ無理でしょうな。

先ごろ勝新太郎の対談集「泥水のみのみ浮き沈み」が文春文庫で出たが、何と言ってもビートたけしとの対談が面白い。勝新太郎は役者というものはそもそも非常識な日常を生きるんだから、高みに達するにはクスリをやらないといけない、「お前もやってるだろ?」と真顔でたけしに聞いてくるがたけしは「やりません、役のためにヤクをしないといけないという理屈がわからない」てな感じの噛み合わないやりとりが続くんだが、そりゃあヤクでもクスリでもやってすごい芝居を見せてほしいとしか思わないな。


2019-01-10 15:26:00

今朝はやはり寒さが厳しかったんですが、次第に和らいで日差しも出てきました。

雄猫が郵便局に出荷に行くときに外に出て斜向かいのお家の庭に走り込み、姿は見えるのですが呼んでもいやいやをして出てきません。例の「ちゅうちゅう」で釣ろうと思いましたが、近くを人が通りがかったのが気になったようで餌には目もくれずに家の中に飛び込みました。

時々お客さんの注文の本がなぜか見つからないとかがあります。うちでは仕入れた順番に本を並べていて、文庫と新書、単行本の三種類に分類しています。ところがどういう具合が見つからないことがたまにあります。仕方ないので仕入れの伝票やデータを確認して「仕入れた時期からしてこの辺にあるはずだ」と探すんですがうまくいかない。

「読者の世界」で名高い外山滋比古にセレンディピティに関する本があってアメリカ海軍が潜水艦のソナーを探知する研究をしていて、たまたまイルカの交信音を見つけたことがあり、作業中にまるで関係ない別の発見をすることを「セレンディピティ」というのだそうだ。

外山滋比古はこれを敷衍して万年筆を探していてどうしても見つからない、その後ある手紙が見つからなくて探していたら前回探し当てられなかった万年筆を見つけることができたことがあり、「これもセレンディピティの一種」だという。

まあそういうことがあるのかもしれないが、万年筆も見つからないし、手紙も見つからないようでは整理整頓が全くできてないわけで、それを本当は問題にしないといけない。彼は研究者としては一流で日本人の親族呼称の特徴を明らかにしたり、「読者の世界」でそれまでは集団で音読していた読書が黙読となり、癒しを与えてくれるものとなって大量の読者を獲得していく様を描いたりした。しかし根は図太い、ナルシストに見受けられる。テコでも動かない自己肯定が小気味好いくらい。

「朝飯前」の語釈に関しても辞書でいう「簡単な仕事だ」は正確ではなく「本来は難しい仕事だが朝飯を食べる前にやるので簡単だ」という意味なんだという。つまり勝手に朝ごはんを食べる前に作業なり、仕事をしたら頭の働きが活性化されるのでいつもより能率よくできると主張したいわけだ。

そんなのは外山滋比古の思い込みで、なんの根拠もないたわ言なのだが、本人は信じきっていて、朝起きてもずっとご飯は食べずに仕事をして昼ごはんと合わしてブランチを食べ、「これは非常に能率よくできる」と悦に入りまた眠たくなって昼寝をしてもう夕方近くに起き上がって外は暮色ご漂うが「今起きたんだから朝なんだ、朝ごはんを食べずに仕事をしたら大丈夫」と言って無理から夕方を朝だと思い込もうとしてそれが仕事の能率を上げるというのだから大したものだ。


2019-01-09 12:12:00

今朝は珍しく風が強うて気温はそこそこあるものの、体感温度は厳しい。おかげで洗濯物はすぐに乾きます。

以前ちくま文庫から「田中小実昌エッセイコレクション」全6巻ご出ていて、昨今これのダイジェスト版が刊行となりましたが、やはり人気のあるのは映画評論のやつと6巻目の自伝です。非常に挑発的なものことをさらりと書く、あとは分かれよとでも言いたげなフレーズはかっこいい。

映画編では例の松本清張原作、野村芳太郎の「砂の器」を評して「くだらない映画だ、とにかく仕方がない」と突き放した書き方をした上で「ああいうものが人気が高いのを見ると大衆というのはバカだとしか言いようがない」とまで言う。田中小実昌はその上で松本清張の映画でこれは‼️というものを挙げているのだがそれについてはご自分でお読みいただくとして、確かに映画の砂の器も文学のそれも面白いものではないですね。

らい病になっていた自分の過去を消し去りたいためにそれを知る人間を次々消していくなどというのは下手くそな探偵小説そのもので、そんなことしたら殺さないといけない人間が何万人ではきかなくなるでしょう。それを3人で済ますというのは御都合主義でしかありません。

映画の方は犯人がピアノを弾くのに合わせて延々と過去のいじめの歴史がフラッシュバックされて映像化されてますが、いじめられて大変だったとか、本当の親子だと名乗りたいが名声を失うのを怖れてそれができないとかが画面からはうかがえますが、だからどうなんだとしか言えません。病気による差別はいわば公認された差別で、それが許されないことは世間一般の常識となり、差別するものを叩くことも正当化されています、これがつまらないわけです。お涙頂戴が十分に期待できるフィールドで、それを十二分に計算しつつ映像化することがくさいだろうと思うわけです。

翻って大阪への不当な差別は差別することが公認されていて、東京や横浜、千葉に行くたびに「さあ待ってました‼️ゼニの話をお願いします」やら「大阪の人のわりには全然面白ないね」やら「さあなんか言え」だの不当な扱いを散々受けてきて、腹も立ちそれをその場で言ったり、いろんな場で聞いてもらったりしてきましたが、残念ながらみんな笑うだけで相手にもしてもらえません。みなさん、あれですね地方差別には寛容なお方ばかりですね。

 

 


2019-01-08 11:54:00

今朝は穏やかな天気で薄日が差していて気温も高めで過ごしやすい。

先日青土社から小谷野敦の小説集「とちおとめのババロア」が出た。文学界の初出の際には編集部の指示で数行の削除を余儀なくされたとのことだが単行本では元どおりになっていてそれは25ページの6、7行目であるようだ。「在日とか部落とかいうのも、あながち大きく外れてはいなかったかな、と純次は思った。国籍がない、特殊な身分ということなわけだから…。」とある。

この小説は主人公の大学教授がネットのサイトで女と出会って寝たのだが女が実は皇族なんだと身分を明かすという展開になっていて、告白を聞いた主人公の純次の感想がそれだ。女から実はあなたに隠していることがあると言われて最初純次は在日か部落の出なのかなと思ったわけだがよもやの皇族なんですという告白だった。

皇族は確かに何をするのも不自由だし、勝手に出歩けないし、プライバシーもあってないようなものだし、儀式や祭典に体調がすぐれなくても臨まないといけないなど人間としての権利がないがしろにされていることは間違いない。これは戦後間も無く中野重治が「五勺の酒」で書いていたことでもある。

今月号の「朝日新聞」の月刊付録「globe」は世界の君主制の特集でコメントを求められた原武史は「天皇制は民主主義と相反する疑念がある」「天皇への批判は今なおタブーになっている」と述べて現在も天皇制が戦前と変わらぬ役割を果たしていると指摘していた。

原武史の言うことはもっともで天皇制は身分制度なんだからその辺のおっさんやおばはんより尊い人がいるということであって、民主主義と相入れないことは明白だ。  

それにしても天皇はかわいそうだ。孝明天皇は薩長に毒殺されたわけだし、昭和天皇だって2・26事件の際はクーデターで葬り去られようとしていたし、満州事変にせよ盧溝橋にせよ陸軍は全然言うことを聞かず、勝手に戦争を拡大してしまう。まあこれは実は民主主義が浸透した証拠でもあって、誰であろうと平等に発言権はあるし、やりたいことをしていいという民主主義的な雰囲気が陸軍に蔓延していたことがよくわかる。同時に命は一回限りしかない大切なものだとかいう「人命は地球より重い」を先取りするヒューマニズムも蔓延したため、「陸軍は命がけで戦っている英雄だ‼️」というおかしな思想も広まっていた。 

だいたい大衆の人命を重んじる思想などはもともとどこにもなかった。第一次大戦での三年半にも及ぶ塹壕戦にせよ日露戦争の203高地にせよ機関銃のトーチカの攻撃にさらされる中将兵はひたすら突撃を繰り返していたずらに倒れていったが、問題にはならなかった。まただいぶ遡るが大坂夏の陣など当時の人口からしても大変な数の人命が失われたが何の問題にもなっていない。ところが満州事変以来の戦闘で死傷者が20万人に達していることがなぜか問題視され「あれだけ死んだんだから簡単にはひき返せるわけがない」「英霊に顔向けできない」などという意味のよくわからない人命を重んじる思想が蔓延してしまい、当然ながら天皇の意向などは一顧だにされず延々と戦争を続ける結果となったのはみなさまのよくご存知のところです。

 


2019-01-07 11:59:00

今朝は晴れていて冷え込みがきつかった。郵便局にお客さんの注文をお願いしに出向き、来月から送料の値上げが決まっていました、これを機に送料を値上げするしかないなと思っています。先日ゆうパックでお送りしたところ、10日くらい経って郵便局からお電話をいただき「お客さんの出したゆうパックですが、不在票を入れたんですが期限内にご返事がいただけなくて今保管してますがどないしましょ?」とのことでした。

これまでもゆうパックでお客さんが受け取らなかったことは少しあって、いずれも何も連絡はないまま返送されてきてましたから、今回は初めてのケースでしたが、これは送った品物が全30巻くらいはあるセットものでこれをまた送り返すのは大変だからという事情があったためでしょう。郵便局にはこちらから「もっぺん不在票を入れたもうてとりあえず1週間様子見てもらえますか?それであかなんだら連絡もらえますか?」とお願いして了承してもらい、その後無事受け取ってもらえました。お客さんも何か急な用事で留守にせざるをえないことはあるでしょうから、こういうことは仕方ありません。

福本伸行の「1日外出券ハンチョウ」の4巻が発売となり、期待せずに読んで見たらこれが非常に面白い。3巻目は大阪や名古屋の不思議を探るというネタであったが、くだらない思いつきを未整理のまま書きなぐっただけでがっかりしていました。ところがこの巻は原作の萩原天晴が気合を入れたせいか、たとえが面白い上に、日常のちょっとしたことにまつわる話を敷衍してうまいことまとめていて感心した。

うまい飲食店の後継問題を取り上げ、社会人時代にかよていた天丼やに地の獄から1日外出券で訪れたら娘が婿をとって店を切り盛りしていて、幸いなことに味は昔のままで胸を撫で下ろした。しかしふと棚の置物を見ると昔は親父の趣味で大きな王将のコマの彫像がでんと据えられていたが、今はその王将に可愛らしいクマのぬいぐるみがマウンティングしていて、王将は息も絶え絶えだし、天丼を食べた後に後味を帳消しにしてしまうチーズケーキが出てきて、ハンチョウは沈黙してしまう。

てなぐあいだがまた比喩が楽しくて、行列ができる親子丼専門店がメニューに「ふわとろ玉子丼」と「ふわとろ」を冠していたり、オーダーの時「玉子丼くれ」と言ったら店主が「ふわとろ玉子丼ですね」とわざわざ言い直したりして、どんどん失望の予感が高まることを走り高跳びにたとえて巨大なハードルが目の前に立ちふさがっている絵で示す。以前「SPA」の「ダメンズウォーカー」で倉田真由美がやってたようなもんだがなかなか面白い。

、


1 2 3 4 5 6 7