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古本屋日誌

2026-09-06 22:37:00

小説家の山田稔は今年96なんだが、元気そうでなによりだ。

 

このところ大阪の編集工房ノアという全国的にはあまりメジャーではない出版社からたくさん本を出してあるのが不思議だった。以前は講談社や河出書房、平凡社などといったところから本が出ていた。

 

そのあたりについて、2024年にやはりノアから出した『もういいか』の中にヒントとなる話がある。

 

 

山田によれば、メジャーな文芸雑誌の編集長が交代して、縁が切れてしまったり、「山田さんはエッセイのほうがいいのではないか」との評価を得たりしていたというのだ。それで、2003年に『新潮』に載ってからご無沙汰となっている。

 

 

この本の巻末には『夜の声』という小説が巻末に掲載されているが、一読、感心しない。

 

 

レッドパージ後の、京都な共産党シンパの学生の、揺れる心理を描いたものだが、今とは違う世相も感じられないし、就職や院試をためらい、作家になりたいと悶々とする日常もどこかよくある話だ。

 

 

しかし、この本の大半を占めるエッセイのような、小説のような日記のような作品は味わい深く感心した。とりわけ亡くなった坪内祐三のことを書いたものはよくできている。

 

 

坪内は書評でよくヤマダの著作を取り上げていたのだが、ある時、一乗寺の恵文社でのイベントで山田と会い、その後の二次会ではさしむかいです酌み交わした。

 

 

しかし、話は何故か弾むことはなく、山田が「坪内さん、「ぽかん」(山田がつながりのある雑誌だ)に書いてくれませんか」と言ったら、坪内祐三は顔を曇らせた。

 

 

山田はその話のあと、彼が若くして亡くなってしまったことを書き、さらに最後に、坪内が山田の『こないだ』という本の書評を『週刊ポスト』に書いた話を続ける。

 

 

この本に収めてある『ある祝電』という作品は夭折した人権派弁護士多田謠子を回想したものだ。

 

 

坪内祐三は書評の最後を「29年の短い生涯であったればこそ、生の楽しさもまた一段と鮮烈であった。そう思うことで自らを慰めるより仕方ない」、と山田の作品を引用して終わっている。

 

坪内祐三の人生も同じようなもので、やはり「鮮烈であった」と思うしかないのだろう。


2026-09-04 11:27:00

今日は出荷を済ませてから、北浜に出て、堺筋線で堺筋本町。

 

船場センタービル3号館地下1階にあるシモジマに出向いて角7号封筒、シール剥がし、半透明の包装袋などを購入。

 

ここは購入金額に応じて会員のグレードが上がるようになっていて、うちはシルバー会員で2%引きとなるのだが、その上となると今月中に43000円余り買わないといけないからそれはないな。

 

 

傾斜の強いエスカレーターで1階に上がり、久しぶりに槇尾古書店を覗いた。

 

 

ここは3号館の西端、北側のエリアにあって、真ん中に通路を挟んでともに15坪くらいの2つの店舗がある。

 

 

元は、破産してしまった天牛堺書店だったところだ。

 

この古本屋は、置いている本のレパートリーが広い。

 

 

徳川時代の名所図会なんかがガラスケースに収まっているし、錦絵もある。郷土史の本棚があって箱入りの『百年の大阪』『大阪春秋』『伝説の河内』などがおいてある。

 

 

ものすごい量の人文書、文学関係、辞書、中国関連、占いの本、音楽本、別冊太陽、芸術新潮、図録、音楽CDなんかもある。

 

文庫は、レジのある通路南側のお店の真ん中に4段の本棚が2列組んであって、ちくま文庫、学芸文庫、講談社学術文庫、文芸文庫が整然と並んでいる。

 

 

学芸文庫の『ブリタニカ草稿』、学術文庫の『吉田茂、マッカーサー往復書簡』、文芸文庫の『木山捷平全詩集』(1600円くらい)は珍しい。

 

 

その前の、レジ寄りの本棚は中公文庫、岩波文庫、現代文庫、光文社古典新訳文庫だ。

 

 

岩波の『哲学ノート』全2巻揃(4000円くらい)『暴力論』全2巻揃なんかはなかなかない。

 

 

そして、この本屋の最大の特徴は、店頭に平台を並べて均一販売していることだ。今日は文庫本が180円、単行本が220円(3冊だと500円)と3冊1000円となっている。

 

文庫には新潮文庫の『本居宣長』、220円の単行本には『ブラックスワン』上、下などもあった。

 

 

また、通路を挟んで南側のお店には、新しい文庫本を集めた平台があるほか、漫画、漫画文庫、たくさんのフランス書院文庫、中公文庫の戦争関連コーナー、河出文庫の相対会関係本、SF文庫、落語、歌舞伎関係、落語のCD、囲碁、将棋、絵本、手芸、料理本、洋書、大型の図鑑、鉄道関連などが所狭しと並ぶ。

 

平台は2週間に一回くらい、総入れ替えがされて、新しい本を見ることもできて素晴らしい。

 

 


2026-09-03 23:13:00

今日は9時くらいに起きて、デニッシュ食パンとコーヒー、ヨーグルトで朝ごはん。出荷の準備をして、郵便局にお願いに行ってから、その足で淀屋橋。

 

 

ODONAでインデアンスパゲティを食べてから、御堂筋線で緑地公園。天気予報通り雨なので、歩いて天牛書店。

 

 

今朝の朝日新聞のテレビ欄に、天牛書店の広告が載っている。タイトルは「古書籍等買取いたします」となっていて、その下に『理趣経の研究』と『絵本 通俗三国志』が写真で掲載してある。後者は和本のようだ。

 

 

以前は古本屋の広告も新聞にあった記憶があるが、最近は天牛書店だけではないだろうか。

 

 

今更になるが、天牛はブックオフと並んで大阪を代表する古本屋であり、我々が読みたい普通の本がたくさん置いてある。

 

京都にも神戸にも、普通の本が天牛のようにたくさんある古本屋はないよね。

 

それはさておき、朝日に広告を打ったら、どれくらい反響があるのか、興味があったのだ。

 

 

お店には1時過ぎに着いたのだが、かなり頻繁に買取依頼の電話がかかってきていて、確かに効果があるんだなあと、他人事でしかいのだが、頼もしく感じたな。

 

 

電話が鳴るとまず2階の、係の人が出て、買取希望だとわかると、(多分わずらわしい営業の電話もかかってくるのだろう、それは取り継がないのではないか)1階の担当の方に内線で回すシステムになっているようで、聞き耳を立てていると楽しい。

 


2026-09-02 21:20:00

今日から三ノ宮の阪急百貨店9階で古本市。

 

さすがに三ノ宮は遠いので、7時ごろに起きて、大学芋とコーヒーで朝ごはん。出荷の準備を整えて8時過ぎに家を出た。

 

 

おりしも、暑い日射の中小学生が黄色い帽子をかぶり、付き添いの爺さんとともに登校中だ。

 

 

途中郵便局前にあるポストにクリックポストは投函して、萱島から混み合う通勤準急に乗る。京橋、大阪から新快速で9時半ごろさんちかに着いた。

 

 

阪急前にある、上島珈琲店で、ホットとピーナッツトーストを食べもって、地下街を歩く人たちを眺める。神戸は外人の観光客が大阪に比べると目立たない。

 

 

また俺はこのところずっとタイガースの、例の虎の絵柄の入ったTシャツを身につけているのだが、同じようなひとはいないかと、目を皿のようにしてチェックしてみたが、不思議なことに見当たらなかった。

 

 

また、歩きスマホをしているのは、女が多いという印象だったので、ためしに数えてみたら3分くらいで男22、女23と変わらなかった。

 

 

百貨店はずっとシャッターが降りた状態だったが、10時5分前にガードマンが店内から出てきて開けてくれて、その後、前に手を合わせて前屈みの、丁寧な店員さんが出てきて、丁度に開店。

 

 

すぐエレベーターで9階、今回もたくさんの人で賑わっている。この古本市は何年か前から行われているがメンバーがかなり入れ替わっている。神戸12、大阪1、京都3、滋賀1。以前は元町のサンコウとか大阪の杉本とかも参加していたのだが、今回はなし。

 


2026-09-01 21:04:00

水玉の芸術家、草間彌生が97で亡くなった。

 

彼女はかなり前に角川文庫から『マンハッタン自殺未遂常習犯』という自伝みたいな本が出していた。

 

 

麻薬でラリって創作活動に勤しむ様子が、よくわからない文体で克明に記された怪作なんだが、今は品切れでなかなか手に入らない。

 

 

 

新潮文庫からも1冊出ているが、これも品切れで、注目が集まるこの時期に手軽に親しめる本がないのは残念だ。


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