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古本屋日誌
今日から阪神百貨店で古本市。朝から早速行ってみた。
去年は阪神百貨店では4回も古本市があったのだが、今年からは夏と冬の2回にもどしたようだ。
やはり百貨店の催しは涼しい。蚊も襲ってこない。湿度もコントロールされていて身体がべちゃべちゃすることもない。
台と台の間隔もゆったりしているし、台に設けた本棚も業者が納入しているせいで、おしゃれだし、きしんだり、へしゃげたりしてない。
本に、あいたら、すぐ上の9階に上がれば「阪神大食堂」で食事が楽しめるし、スタバなどのサテンもある。
参加は22店舗で、大阪が中心だが、神戸や京都、石川、愛知、三重などからも参加している。
目立ったのは「モズブックス』で地図、チラシ、カストリ雑誌、古いパンフレット(戦前の「大阪の三越』なんかがたくさんあった)観光地案内などが整然と並んでいて、たくさんの客を集めていた。かなり前にでた「大阪今昔図絵、1と2」も8000円で売っていた。
これは少し大きめの写真集でキャバレー(メトロのもある)や飲食店の内部の写真がたくさん載っていて魅力的なのだ。
雑誌「文藝倶楽部」は明治時代にたくさん出ていた雑誌で、明治35年の4月号は「京都と奈良」の特集号だ。
この中に祇園祭の話がある。
「然かも宵山とて、祭りの前夜の賑はひ類なく、大路小路の別なく、家々の檐には一様に神燈を掲け、青簾掛け、美しき敷物敷き詰め、金屏風、銀屏風、狩野の墨絵もあれば、四条派、円山派の彩画もあり、中京のこと、相競うて、秘蔵の屏風競進会。」とある。
最後の「競進会」とは耳なれぬ言葉遣いなんだが、「競って展示する」という意味の当時はよく使われていたことばだ。
祇園祭は各町内会対抗の、美や絢爛豪華さ、金のかけ方を競うレースであることがよくわかる。
一見鉾の方が山より大型だし目立つようだが、実は〇〇山の装飾はすごいんだとか、山や鉾には搭載していないんだが、宵山で展示している〇〇は大変な美術品だということがいくらもありそうだ。
突然閉店してしまった、上六にあった「一色文庫」のマスターと坪内祐三の話をしたことがある。
古本屋で、ある著者の話をするのは、客が好きな作家だということだし、そのことはマスターもわかっている。
だが彼としてはどうしても容認できない思いが強かったのだろう、かなり強い口調で坪内の振る舞いを批判した。
「あの人ね、古本屋仲間のところへ来て、何人かの古本屋とテーブルにつく段になって、いきなりですよ、いきなり、横にいた、まるっきり見ず知らずの古本屋の親父をつかまえて『はい、これ』てコートを差し出したんですよ。信じられます❓」という。
確かに初対面の、しかも歳上の人間にいきなりコートを渡して、かけて来いというのは礼を失しているだろう。
そうなんだけど、古本屋にとっても、尊敬する評論家のことだし、また作家というのはどこか気難しく、非常識なところも備えているものだろうから、俺はそんなに不思議なことには思わなかったな。
一色さんにはそういう繊細なところがあって、客でも、尊敬する作家でもやはり気になっていたんだろう。