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古本屋日誌
かなり前の話だが結核だと判明して寝屋川市の大阪病院に40日あまり入院したことがある。
半年あまり病名が判明せず「風邪ですな」とか「手首に細菌性の出来物がありますな、夏休み明けにでも切って確かめましょう」などというヤブ医者のオンパレードで、入院するときには病状がかなり悪化していた。
大阪病院で担当した医者はこれは結核だからと診断したあと表情を改めて「入院は残念なことだろうけど、将来のことがあるからね、思い切って治さなあきませんやろ」
「この病気は自宅でどうのこうのなるもんと違うよってな」ともいう。私は「はあ、はあ」と書き置くだけでなんとも返事のしようもない。
「お仕事は何をされてますか?」その頃は予備校や塾で仕事をしていたからそう答えると
「それは休むのは確かに悔しいでしょうけど、いま治しとかんとこれからの人生にかかわってくるさかいな」という。
この真剣さがよくわからなかった。
こっちはヤブ医者をたらい回しにされて(もうどうなとしてくださいよ)とまな板の上の鯉の心境なのに何を今更わかり切ったことをくどくどいうんだろう。
さて6人部屋に入り、すぐ横がまだ20代の若い兄ちゃんで、会社の定期検診で肺に影があって痰の検査で感染が判明したという。
「ただあれですねん、別段身体がきついこともあらへんし、熱も出てへん、咳もでーへんし、ほんまに病気なんやろか思てます」とのことだ。
俺なんかしんどうてかなわんよって、入院は「あ〜よかった、安心安心」てな感じなのだが、特に症状もないのに長期にわたって監禁されて、しかも相部屋で周りには本格的な結核患者がいて、夜中でもずっと咳き込む人もいる、中さぞストレスがたまることだろう。
ただこの兄ちゃんは奥さんが妊娠中で、やはり家にいたりすると問題だろうからというのが心の支えにはなっていたようだった。
この時初診時の医者のやけに真剣な説得の意味がようやくわかった。
結核でもあんまり症状がなくで定期検診で送り込まれてくる人がかなりいるんだろう。そういう人は「え〜そらないで、明日得意先と商談があるよって、どないしても抜けられまへんねん」とか言って抵抗する患者がたくさんいるのだろうよ。
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