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古本屋日誌
2016年に河出書房新社からでたアロンナ・カリンの「あなたの体は9割が細菌」がよく売れている。
すでに11刷、2200円と高額にもかかわらず大したものだよなあ。
このところのゼロリスク中毒の連中への筆誅として読まれているのではなかろうか。
人体は実は細菌やビールスとの共同体で、決して人間だけが独立して存在するわけでないことを説く。
これまでも猫の糞の中に含まれているヴィールスが糞しの片付けをする際、傷口から体内に侵入してネコ科の動物への警戒心を失わせるように作用することは知られていた。
つまり猫好きの人がサファリパークやンゴロンゴロ国立公園に出向いたら陶然として無警戒にライオンの群れにわれと我が身をさらすことになるわけだよ。
この本には肥満の話があって、ものすごく食べるのに太らないギャル曽根みたいな人もいれば、そんなに食べてないのにすぐお肉になってしまう人もいる謎のことだ。
食品にはカロリー表示がされていてどの人であれ食べれば同じだけのカロリーを摂取してしまうと考えがちだが、そうではなく大腸に住んでいる細菌のタイプによって食品から引き出されるカロリーは違うというのだ。
効率の良い細菌なら通常のに比べて2パーセントあまり多くのカロリーを提供できるそうで、たかが2%と侮るなかれ、これが1年続けば体重では10キロを越える差がついてしまう。
まああれですね、呼吸を司るミトコンドリアも太古の昔に取り付いた細菌であるし、光合成のクロロフィルもそうだというのは教科書で習いましたから調べが進めばさらにわれわれと細菌の共生ぶりは明らかになるんだろうなあ。
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寺町の「三月書房」がまもなく閉店するという。新刊の本屋なんだが、普通の本屋には置いてないようなちょっとマニアックな品揃えで面白かった。
編集工房ノアの本なんか店に入ってすぐ左の目につく棚に並べてあって、杉山平一、山田稔とか涸沢純平とか川崎彰彦とか三輪正道とか、まあ興味深いラインナップだよなあ。
他にも今はないペアトル工房の本や、身内でしか買いそうもない様々な歌集、青林工藝社のマンガ、花輪和一やら河井克夫やらが並んでいる。
店主は三代目なんだがもう歳で、後継もいないし余生をのんびり過ごしたいらしい。
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テレワークとかできるのは限られた労働者に過ぎず、飲食店や観光産業、旅行業、教育産業、娯楽産業などに従事する人は首にされたり、無給で待機させられたりしている。
ただ古本屋はこの間店舗での売り上げは振るわないものの、通販で減少を補える収益があったようだ。
うちの店でも普段は通販を利用しないだろうお客さんからの注文がある。
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淀川長治の「映画千夜一夜」上巻には悪女ものの映画の話がある。
コンラッドネーゲルの「愚か者の楽園」なんだが、ネーゲルが好きになったニューヨークのバレリーナはオリエントの王様のおめかけさんになってしまう。
女はタイに行き、その王さまと暮らしているのだが、ネーゲルはわざわざそこまで女を追いかけていく。女は来てくれた若い男にするか、それとも金のある王さまとを取るか、迷うんだが、自分の手袋をとって、ワニがいっぱいいる谷に投げてしまう。
「お取りになった人のほうに、わたしは行きますわ」
すると二人は谷に降りて行ってワニのそばで格闘を始めるのだが女はタバコをふかして笑いながら見下ろしている。
そのうち男たちも目覚めて上がってきて「お前みたいな女はいらん‼️」と言い出す。
おんなはちょっとびっくりするんだが、すぐに自分の部屋に入ってそこら中に香水やら花をまいてからあちこちに電話をかける。
「あんたといっしょになりたい❣️」「あんたといっしょになりたい‼️」するとみんなが
「ぼくのところへ来てくれ❣️」「きてくれ‼️‼️」とこうなる。
女はいそいそと踊りながら旅支度をして終わりとなる、とまあそういう面白い内容で、淀川長治によると「そういうのを昔のファンは喜んだのね」とのことだ。
そういえば畑中純にも「愚か者の楽園」というのがあったなあ。
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この本は1987年の刊行で、淀川は70近いわけなんだが、博覧強記何でもかんでもよく覚えていて、舌を噛みそうな昔の男優の名前を羅列していく。
映画は観てないと語ることは難しいですよね。淀川は何せ1909年、明治の生まれでその時から観まくっていたわけで、蓮見にしても山田にしても太刀打ちできるわけもなく、楽しいお話を拝聴させてもらってありがたいという姿勢で、これに気をよくした淀川が話まくるわけです。
たとえば、アイリーンダンの「裏町」の話をまくし立てる。
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