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古本屋日誌
今日から阪神百貨店の8階で、古本市。早速朝から行ってみた。
毎年恒例の催しなんだが、エスカレーターは一階に初めは固定されているようで、早く会場に行きたいなら、地下ではなく地上に並ぶべきだ。
しかし、JR側、阪急側の入り口とも直射日光が容赦なく照りつけるので、もちろん地下、阪神電車乗り場に降りる階段の近くに並ぶ。
9時40分くらいに入り口前に到着したが前には3人並んでいるだけ。
10時の開店と同時に、スタスタと店内に入り、御座候の店舗のすぐ裏にある中央エレベーターに到着して、上に上がるボタンを押したが、もちろんすぐにはやってこない。
しばらく待って降りてきたのに15人くらいが乗り込んだんだのだが、女が数人いたから、途中の階に降りるのかなと心配したけれど、無事全員が8階に向かった。
参加は大阪が11、京都は3、神戸7、滋賀1、三重1、岐阜1、愛知1、石川1、富山2と30店くらいに及んでいて、かなりの規模の古本市だ。
何より冷房の効いたゆったりしたスペースで本を選べるのが素晴らしい。くたびれたらすぐ上の「阪神大食堂」や地下二階の飲食店でくつろぐこともできるのだから、これほど理想的な古本市は滅多になかろう。
先の下鴨の古本市は規模は巨大で、集められた本は80万冊に達するとのことなんだが、雨にたたられるし、晴れたら晴れたでものすごく暑いし、なかなか納涼というわけにはいかなかった。
15日は8時半ごろ起きて、桃と食パン、コーヒーの朝食、注文品を郵便局に持って行ってから、嫁と枚方に行く。
ローンの返済分を銀行の口座に入れないといけないのだが、なんでも偶数月の15日は年金の支給日だそうで、郵便局でも暑い中たくさんATMに並んでいた。面倒なので、ネットから振り込むことにした。
枚方に着いて、封筒やポリ袋が少なくなってきているので、交野線の踏切近くにあるシモジマに出向いたが、今日までお盆休み。やむなく引き返してT-SITE。
3階の蔦屋でちくま文庫から宮本百合子の『伸子』が今月出たことを知って早速買う。(1400円くらい)
大正時代の末に雑誌『改造』連載された長編小説だが、あの天才作家宮本百合子の私小説の傑作。
金持ちの娘、伸子が年上の学者に惚れて結婚するのだが、ニューヨークから帰宅して、自分の実家に夫を住まわせて結婚生活を始める。
ところが古い人間関係のしがらみで、夫と義母の関係がしっこりこず、伸子には次第に夫が優柔不断に見えてしまう。2人はついには離婚してしまうのだ。
伸子は自分は何にも仕事もしておらず、親がかりなくせに、夫を責める困った女で、夫を親戚付き合いや義母との関係に引き込もうとするわけで、俺は旦那に同情を禁じ得ないね。
宮本百合子は、数年後日本共産党の委員長、宮本顕治と結婚して、顕治が12年にわたって網走刑務所に収監中も手紙を送り続けていた。
百合子はどう考えても極めて優秀な、近代日本を代表する作家であるにもかかわらず、正当に評価されていないのは不思議だ。
全集が新日本出版社から31巻で出ているが、古本市やブックオフでは220円で売られていたりするから、世間の連中のものを見る目は節穴であり、何にもわかっていないことがよく分かる。
11時に野村證券。予約してあって、NISAの説明を嫁が聞いていた。担当の方はのむラップという株や債券をミックスしたおまかせ運用を勧めていた。
わしも心動いたが、買い付け時に手数料が1%余りかかってくるのが少し気になった。
終わってから再びT-SITEの2階に出向いて、ねこのグッズをたくさん扱っている喫茶店で昼食。
広い店内に、時分どきなのに、客はわれわれしかおらず、すぐ上の3階にあるスタバはほぼ満杯なのに不思議だ。
俺は喫茶店はコーヒーの味も大事だとは思うけど、ゆったりしてくつろげることも、極めて大切だと思うので、混んでいるスタバに行きたいとは思わない。
8月13日の晩、NHKで伊藤清彦の『未来からの遺言』を元にしたドラマが放送された。
伊藤の作品は1980年に青木書店から発売されたもので、長崎の被爆者がその体験を捏造していたというものだ。
この本の中で、伊藤は、被爆者が持ち上げられる世相の中で、被爆者になりすますことで、生きがいを得ている構図があると指摘している。
またその一方でたとえ8月9日から5年後、10年後であっても長崎市内をおとずれ衝撃を受けて生き方を変えざるを得なかった人は、被爆者なのだという表現もしている。
伊藤は共産党の支持者で、なりすましていた吉田さんもそうであったし、原水爆禁止を訴えるデモにも参加していたので、彼に特別な親しみを感じていた。
伊藤の考えでは、アメリカは原爆を長崎に投下することで、赤ん坊から年寄りまで市民全員の殺害を意図したわけであって、被曝しながらも生き残った人間はそれだけでアメリカの目論見を打ち破って戦っているというのだ。
さらに吉田さんの場合は反戦運動に立ち上がってもいるわけだから、さらに高いレベルでアメリカの犯罪と戦っていることになると書いている。
さて今回のドラマだが、伊藤役で、被爆者を訪ね歩いて被曝体験を聞き取るのは本木雅弘、吉田さん役は阿部サダ夫だ。
本木は阿部の証言に不審なところがあると気づいて、本人にきつく問いただすシーンがあった。
これは元の作品にはまったく無いもので、伊藤としては自分が被爆者にそういうことを面と向かって問いただす資格もないし、相手を傷つけることになりかねないと考えていたからだ。
また被爆者が生きているだけでアメリカの目論見を打ち破っているんだという話も全然出て来ないし、ドラマは所詮この程度のものとしか言いようがない。
今日は9時くらいまで寝て、ヨーグルトと食パン、コーヒーで朝食をいただきながら、昨日のカープ戦の録画を見た。
高橋が150キロを超えるストレートにスライダー、カットボールなどを駆使してカープ打線を料理して素晴らしい。タイガースは2安打ながら、カープのエラーに付け込んで2点を先取して、及川、石井で逃げ切り、優勝へひた走っている。
カープの選手は全員86の背番号をつけて試合前には黙祷も行われた。
俺はアメリカを批判しない鎮魂などあり得ないと思うけどね。まるで自然災害が起こったかのようなお話ばかりで、殺された人は浮かばれはしないね。
いつも通り郵便局に注文のあった本を持って行って、京阪電車で今日も下鴨に来てみた。
さすがに今日は雨は落ちてはこないが、夏空ではなく曇っていて、萱島よりずっと過ごしよい環境だ。
三密堂書店は定期的に蔵書目録を出していて、下鴨でも貰える。その中に松田元の『祇園祭細見』改訂版も掲載してある。
この本は最初1977年に出て長らく品切れだったもので、祇園祭の山鉾を魅力的なイラストと詳細な解説で説明したもので、写真で見るよりわかりやすい。
去年、その後の変遷や復活した山鉾の説明なども加えて改訂版が出たのだ。
1977年の本と比べてみるとかなり異同がある。岩戸山の説明では古事記などにある天地開闢神話や天の岩戸の説明が新版ではカットされている。
また伊弉諾尊が陣羽織姿だったり、天照大神が男姿になっていることに関しての著者のコメント「時代考証などを全く無視した江戸時代の人々のおおらかさ、祭りを文句なしに楽しんでいた雰囲気がそのまま形となって残っているようで、理屈っぽい現代人は少し見習うべきではないかとさえ感じる」が省かれている。
2冊を比べて読むとなかなか面白い。
今日は昨日暑い中、重たい本を運んだせいで、肩や腕痛い。日能研関西に勤めていた先輩にこのところずっと手伝ってもらっているので、だいぶマシではあるが、寄る年波には勝てない。
8時半ごろ起きて、パンと冷やしてあった桃の朝食、注文のあった本を梱包し郵便局まで持って行ってゆっくりしてから、1時過ぎに下鴨に到着。
雨は降ってないが、地面はびしびしょで、のんびり歩いて糺の森に着いた。
森の中にはいく筋も川が流れていて、花森書林のマスターの話では、少し前に猛烈な雨に見舞われて、「ひどい目に遭いましたわ」とのことだ。
確かに急な雨でブルーシートをかけるのが遅れたのか、文庫本や新書本の置いてある100円均一の平台がぐっしょり濡れて、本もかなりダメージを受けている古本屋もあった。
糺の森の入り口近く、億ションの南側に数年前に鴨社資料館「秀穂舎」というのが出来た。古い民家風の建築でいかにも古そうに見せる京都の人たちの得意技が存分に発揮された建物だ。
ここと糺の森の中に新しく作った神宮寺復興の庭園、さらに下鴨神社の本殿(国宝)と大炊殿(重文)の3箇所に入れて800円という有料参拝券を販売している。
しかしこれは下鴨神社の歴史を学べるし、糺の森を散歩して、池亭庭園も見れるし、さらにてくてく歩いて国宝や重要文化財の建築物を目にすることもできるわけだから、値打ちもあるし安い。
国宝と最近の建築物を抱き合わせにし、新しい方もそれらしく装うことで古風な感じが醸し出されて、実に京都的な金儲けの手法だと感心する。
実はもう少し南側、もともと民家が立っていた、50坪はゆうにある正方形の区画が数年前から更地になっていた。
今年は、その一角に赤い、神社の神域を示す木の板が張り巡らされて、その奥には木製の小さなお社が建てられていて、参拝できるようにしてある。
由緒を書いた立札、賽銭箱もあって、それによればこの場所にはもと「天神宮社」というのがあった、この近くには学問所の先生たちがするでいたのだそうだで、令和18年に予定される遷宮の際にこの社も復興されるのだという。