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古本屋日誌
今日からようやく、下鴨の糺の森で大規模な古本市。
雨の予報だが、京都古書研究会のXを見ると「お待たせしました、今日は開催します」とある。
土日祝日は出荷していないので、今日はかなりたくさんの注文品を郵便局まで運び込んで、その足で出町柳に向かい、9時半くらいに到着した。
まだ少し雨が降っていて、人出はあまり多くない。これまで11日の海の日が初日だったのでたくさんお客さんが来ていたが、今日はお盆とはいえ、平日だし雨降りだから仕方がない。
南の端にはテント懸けした売店があって、かき氷350円、ジュース150円などとなっている。
一通り北の端まで開店前に見て回ったが、雨が少し滴り落ちているし、大半の書店は平台などをブルーシートで覆っていて、どんな本があるのかわからない。
結局、全品300円均一、5冊なら800円というお馴染みの小町書店から始めることにして、講談社学術文庫、ちくま文庫、岩波文庫や保育社のカラーブックなんかにいい本があった。
しかしこの本屋さんは商売上手いな。
大体5冊も欲しい本はなかなかないので、ほとんどのお客さんは2、3冊を手にして思案投首。
2冊なら600円これでもいいのだが、あと3冊こうても800円だから、なんとか3冊選ぼうとするし、3冊の人は900円になってしまうから、当然あと二冊探すから滞在時間がすごく長引く。それで要らん本もこうてしまうわけだよ。
雨は10時前には上がって曇り空で、時折涼しい風が吹くコンディションで、これなら確かに「納涼古本まつり」の名前に恥じない。御手洗川も例年にない水量で、川幅いっぱいに音を立てて流れている。
三密堂書店は、いつも通り、珍しい文庫本、新書本、単行本がテント内に並んでいて、素晴らしい。(岩波書店が出した『日葡辞書、索引』が18000円)
また別にテント懸けして1冊150円、3冊なら400円の恒例のコーナーがあって、岩波文庫の『耳袋』、講談社学術文庫の『今鏡』『続日本紀』などもあった。
ぼあい書房は山田風太郎の角川文庫が1冊300円でたくさん並んでいた。佐伯俊男のカバーで、保存状態もよく、中には帯がついてる本も見られた。
赤尾照文堂はいつものように、とてもきれいな岩波文庫、講談社文芸文庫、ちくま文庫などを取り揃えていて、『現代民話考』(全12巻のうち11冊、12巻は欠が30000円)や『森有正エッセー集成、全5巻』なんかが目を引いた。
京都スターブックスはテント内の一角に珍しい講談社学術文庫を並べていて『徳島の盆踊り』『プリニウス書簡集』(1260円)なんかが目を引いた。
竹岡書店はいつも通り、たくさんの単行本を3冊500円で並べていて壮観だ。
欧文堂は1冊100円の文庫をたくさん並べていて中には中公文庫の『講和条約』全12巻、文春文庫の『平和の失速』全8巻なんかもあった。
トキシラズは岩波文庫、新潮文庫、中央公論社が出した日本の名著シリーズなんかがあって、新潮文庫の伊丹十三の『自分たちよ』なんかは珍しい。
ここは元々糺の森だったところで、(今も糺の森と言われているが、センターは通路になっていて、森とは言い難い)現在中央部は木が生えておらず、イベントスペースのようになっているが、元はちゃんとした森だった。
その後何故か、大型バスの駐車場となったのだが、ある時期から京都の人たちの商売気が発揮されていろいろ復古的な建物が作られるようになった。
御影通りの南側、下鴨神社への参道の東側には大きな武道場があって、時折古本市にも使っていたが、突然取り壊されて今は億ションとなっている。
しかしその過程でマンションと参道の間に小川が作られ、いろんな草花も植えてマンションを隠して、古い感じをうまいこと作り上げた。
糺の森にも、突然ラグビーの発祥の地だとして、ラグビーボールの像が作られて、さらにスポーツ全般にご利益があるとする神社まで併設された。
神域は大きめの玉砂利を敷き詰めてあって、もう苔むしていてあたかも悠久の昔から鎮座されている感が出てきているのはプラン通りなんだろう。
さらに万葉集の志貴皇子の石走る垂水の上の歌に、何故なのか、ちなんで、大きな岩から水が流れ出る施設が設けられて、これも既に風格が出てきている。
さらに明治の廃仏毀釈で取り壊された神宮寺を庭園を設けて一部復興した。
入園料を取って庭を見せるシステムになっている。神宮寺だから元は堂塔があったと思うのだが、それは復元しないようで、融通無碍なところも、京都らしい。
今日から16日まで、糺の森で大規模な古本市なのだが、秋雨前線の停滞で前日から雨が降り続いている。
Xには前日の森の中の写真がアップしてあるのだが、センターの通路には細いながら川といってもいいくらいの轍が刻まれて、足元も悪い。
主催の京都古書研究会のXを見ると、当日の朝8時に開催するかどうかを告知するとのことだった。
結局8時前にホームページに「今日の開催はやめる」旨の表示が出て初日は中止となった。
去年と比べると、古書研究会の会員ではシルヴァン書房が参加しない。店主が高齢なためかもしれない。
それ以外では丸太町のマキムラ書店、大阪の汎書店、稲野書店も名前がない。代わりに京大前の吉岡、兵庫のトキシラズ、さつき書房が参加する。
大阪の古本屋は都合4なのに、兵庫は5店となっているのが目を引く。
岩波現代文庫の『未来からの遺言』が今月重版となった。10年以上前に出て、品切れがずっと続いていて、今回2刷。
現代文庫の帯には8月13日にNHKがもっくん主演でこの作品をドラマ化して放送する旨の宣伝が載っていた。なかなかNHKも思い切ったことをするものだ。
というのも、この作品は被曝者神話を解体する側面を持っているからだ。
元々1980年に青木書店から単行本が出たのだが、すぐ品切れとなって古書価も5000円くらいしていた。
内容は長崎で8月9日に被爆した吉田さんから聞き取った話で、彼は当時小学生だったが、防空壕から出たところ強い光を浴びて被曝し、両親や兄妹は姉一人を除いて亡くなった。
被爆した二人は、入退院を繰り返して、苦しい中姉が仕事をして吉田さんの面倒を見てくれていたが、その姉も間も無く亡くなってしまう。
吉田さんは一人頑張って働く中、原水爆禁止運動に目覚めて、人々に被爆の恐ろしさを伝える活動もしている。
こういうものなんだが、原爆という赤ん坊も老人も含めて全員を抹殺しようとする兵器に対して、生き残ることはそれ自体が原爆への抵抗だろう。吉田さんの場合はさらに、原水爆禁止の活動に目覚めているわけだ。
しかし、後からそれは作り話で、吉田さんはそもそも被曝しているのかどうかも疑わしいとわかってくる。
被爆者となって、求められるままに話していくと、世間の注目も浴びることになって、一種の張り合いのようなものも生まれるのではないか、と著者の伊藤清彦は記している。
ここまでの話なら、かなりとんでもない偽装であって、批判されるべきだとも感じる。
しかし伊藤はそうは言わない。
長崎を訪れて、原爆の恐ろしさに心底ショックを受けた人は、たとえその体験が5年後、10年後であろうとも、その人は被爆者と呼んでいいのではないかというのだ。
全国の球場で、タイガースが勝ちそうな時つまり9回ツーアウトになると「あと一人‼️」とファンがコールし、さらにツーストライクになると「あと一球‼️」となる。
くだらないし、意味がない。
俺は井川が甲子園で投げていて、3-0でリードしているドラゴンズ戦で、ツーアウト一二塁、代打高橋という場面に遭遇し、「あと一球‼️」コールの直後、レフトスタンドに放り込まれた試合を目撃した。
かなり前はタイガースだけでなく、いろんな球団が同じコールをしていた記憶があるのだが、このところやっているのは一部のタイガースファンだけだ。
これについて、天下の碩学、井上章一は2003年に「あと一球っ!の精神史』というムック本を太田出版から出した。
その中で井上はタイガースファンはチームに実力がないことはよくわかっているから、球場に出向いてタイガースが勝つように祈りを捧げているのだという。
確かに祈りとまで言えるのかは微妙だが、その当時なら(ウッズが凡退してくれ‼️)とか(井川、頑張ってくれ‼️)との思いはあるだろう。
それが最後の場面で、とうとう辛抱しきれなくなって声になったものが「あと一人‼️」や「あと一球‼️」コールなんだというのだ。
つまり井上章一によれば、これらのコールは宗教におけるお題目「南無阿弥陀仏」や「南妙法蓮華経」と同じものなのだということなのだ。
先月の31日から三ノ宮のさんちかホールで古本市。
出荷して、お昼前までゆっくりしてから行ってみた。連日38度とかいう猛暑で大変だ。しかし地下二階にあるイベントホールは快適だ。
元々地下一階にはジュンク堂が入っていたが、撤退してしまった。しかし、ここには大きな「モロゾフ」があって美味しいレーコーやプリンを楽しむことができる。
神戸のあかつき書房、清泉堂、勉強堂、ワールドエンズガーデン、ノーボ、サンコウなどの他に、赤穂市や相生市なんかの古本屋も参加している。
上にあげた古本屋は店舗を構えた立派なお店ばかりで、サンコウは大量の野球関係の雑誌を出品していて、その量に驚いた。
ここは集合レジで5000円以上ならクレジットも使える。
全ての本に値段が記してある紙片が挟んであるので、それを抜き取って値段を読み上げて合算していく方式で、割とスピーディーにレジが進む。
大阪の谷町の古本市では、値段とともに出品している古本屋の名前も読み上げてレジ打ちをするので、時間がかかる。
これは本に紙片を挟み込む方式をとらず、単に値段を記したシールを貼ってあるだけの古本屋もあるからだ。
確かに全ての本に値段の紙片を挟むのは大変だろうから、仕方ないことだろうけれど、その点さんちかの古本市はスマートだ。