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古本屋日誌

2025-08-15 19:54:00

8月13日の晩、NHKで伊藤清彦の『未来からの遺言』を元にしたドラマが放送された。

 

伊藤の作品は1980年に青木書店から発売されたもので、長崎の被爆者がその体験を捏造していたというものだ。

 

 

この本の中で、伊藤は、被爆者が持ち上げられる世相の中で、被爆者になりすますことで、生きがいを得ている構図があると指摘している。

 

 

またその一方でたとえ8月9日から5年後、10年後であっても長崎市内をおとずれ衝撃を受けて生き方を変えざるを得なかった人は、被爆者なのだという表現もしている。

 

 

伊藤は共産党の支持者で、なりすましていた吉田さんもそうであったし、原水爆禁止を訴えるデモにも参加していたので、彼に特別な親しみを感じていた。

 

 

伊藤の考えでは、アメリカは原爆を長崎に投下することで、赤ん坊から年寄りまで市民全員の殺害を意図したわけであって、被曝しながらも生き残った人間はそれだけでアメリカの目論見を打ち破って戦っているというのだ。

 

 

さらに吉田さんの場合は反戦運動に立ち上がってもいるわけだから、さらに高いレベルでアメリカの犯罪と戦っていることになると書いている。

 

さて今回のドラマだが、伊藤役で、被爆者を訪ね歩いて被曝体験を聞き取るのは本木雅弘、吉田さん役は阿部サダ夫だ。

 

本木は阿部の証言に不審なところがあると気づいて、本人にきつく問いただすシーンがあった。

 

これは元の作品にはまったく無いもので、伊藤としては自分が被爆者にそういうことを面と向かって問いただす資格もないし、相手を傷つけることになりかねないと考えていたからだ。

 

 

また被爆者が生きているだけでアメリカの目論見を打ち破っているんだという話も全然出て来ないし、ドラマは所詮この程度のものとしか言いようがない。