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古本屋日誌
今朝は霧雨で油断するとびっしょり濡れそぼってしまいます。雄猫も勇んで外出した割には湿気をたっぷり含んでいるひめむかしよもぎに辟易したか、すぐに戻ってきました。
朝日選書の渡辺清「戦艦武蔵の最期」は吉田満のようなエリート士官ではない一兵卒が描いた作品で定評があります。以前阪本誠一の漫画「戦艦大和」にレイテ湾に向けて栗田艦隊が出撃する前、ブルネイ泊地で武蔵の外装をグレイにペンキで塗りかえたシーンが描いてあって将兵は口々に「縁起でもない、こりゃまるで死装束だ」とか「敵の攻撃を武蔵に集中させて任務遂行を図るゆうことや」などとありました。
確かに他の艦船が黒鉄色なのに一人グレイでは上空からも目立つでしょうし、いわば武蔵はおとりだったという話ですね。
渡辺清の本を見ると確かに灰色に塗り替えたとあり、ただ兵隊の間ではありったけのペンキを使って作業したことに「何も出港前の慌ただしい時にせんかてええやろ」という不満は語られていましたが、死装束とまではありません。でも結果的には米軍機は武蔵だけを狙って投弾しておとりの任務を十分に果たすことになりました。
でもなぜか栗田艦隊は臆病風に吹かれて引き返してきてしまうんですね。武蔵はおとりだから撃沈されるのは想定内だとたとえ思っていても目の前で1000人からの将兵が命を落としていくのを見たら絶望感に苛まれますよね。それに有名な話ですが大和の主砲は全然当たらない。
秦郁彦らの「連合艦隊12戦艦を探偵する」によるとレイテ湾に突入直前の、アメリカの護衛空母への砲撃では大和主砲は100発くらいは撃っているのだが、全く命中せず、それ以前に商戦を改装しただけの護衛空母を正規空母だと見誤って攻撃し、「まだまだレイテ湾には敵の正規空母がいるのでは」と疑心暗鬼になったりしていました。
呉の「大和ミュージアム」には戦艦大和に用いられた当時の技術の粋は戦後日本の高度成長を準備したものだとのキャプションがありましたが、全く賛同できませんな。