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古本屋日誌
2026-10-06 18:56:00
2001年にカモミール社から出た坂手洋二の戯曲『天皇と接吻』を入手して、一読。優れた作品だと思う。
読売演劇大賞三部門の受賞作であるにもかかわらず、あまり聞きなれない出版社からの刊行だ。
内容は、高校の映画部が文化祭で『天皇と接吻』と題した自主制作映画を上映しようとするが、学校から圧力がかかって上映は禁じられる。
天皇タブーに触れたくない大人の事なかれ主義が描かれているわけだ。
生徒たちはバリケードを作り、あくまで上映を目指すが、学校側は送電を止めて妨害する。(最終的には上映してしまうのだが。)
この話と同時に、敗戦直後、自由に映画を作れるようになり、ある映画会社が、原爆の実像を撮影した作品を製作した話もあって、こちらはGHQの検閲でやはり禁止されてしまう。
アメリカにとって住民のジェノサイドを狙った原爆は触れられたくないことなのだ。
この映画会社は同時に『日本の悲劇』というタイトルで、戦争にいたる天皇裕仁の責任を描く作品も製作していたが、予想どおり、こちらもGHQの検閲で上映できなくなってしまう。占領軍は天皇を日本占領に役立てようとしていたからだ。
天皇が直接戦争を発動したわけではないとの意見に対して、裏で糸を引いていたわけだから、つまり天皇は麻原とおんなじだ、反論されてしまう。
他にもアメリカ以外の連合国が、天皇を裁判にかけるべきだとか、皇室は廃止すべきだ、などの意見を述べていたことも描かれる。
なるほど、天皇タブーのためにこの戯曲はあまり取り上げられることはないんだな。
しかし2001年あたりはまだ、こういう面白い作品が曲がりなりにも刊行されて、賞も授けられているわけだから、今ほどのタブーではなかったのだろう。