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古本屋日誌
2026-07-24 12:50:00
井上章一が新潮選書から、『日本人はなぜ家で靴を脱ぐのか』を出した。
井上先生は天才であり、これまで様々な学恩に預かってきた。
桂離宮を、タウト以来ありがたがる心性を論じたり、宮型霊柩車の研究、キリスト教と天守閣を論じた『南蛮幻想』、美人の研究、そして京都研究など、他の追随を許さない独創的な思想家だと思う。
しかしお年を召されたせいか、昨今はよくわからない本を出すようになられた。
バカな女との対談本、ヤマトタケルと男色を論じた本なんだが、まるで感心しない内容だ。
今回、どうなのか❓とさっそく一読。
まずタイトルと内容が合っていない。
日本人が室内で靴を脱ぐ理由は、全く書かれていないのだ。
ただフロイスの『日本文化とヨーロッパ文化』の日本人は靴を脱ぐことで敬意を表すが、ヨーロッパ人は帽子を取ることでそれを表す、というのが引用されているだけ。確かに貴人に土下座する際は靴を脱ぐのが作法だが、家で方を脱ぐのとは別の話だ。
徳川時代末期にわが国に通商を求めてやってきたロシア、アメリカ、イギリスなどの人たちが、靴を三和土で脱ぐ習慣に戸惑い、反発もし、妥協していった話が、イラストや絵巻物、回想録などを幅広く引用しながら延々と論じてある。
それはそうなんだろうが、これも室内で靴を脱ぐ理由とは関係ない。