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古本屋日誌
2025-09-18 21:09:00
去年、中公新書で麻田雅文の『日ソ戦争』が出て、新書大賞の2位になっている。
敗戦前のどさくさに紛れて中立条約を破って攻め込んできて、挙句60万人からの将兵をシベリアに誘拐、連行したソ連の話だ。これまで類書がなかったので、新鮮味がある。
ドイツはベルリン陥落に至るまで、なんだかんだいっても国軍が奮戦して、市民を守ろうとした、その点が評価されて戦後も軍隊への嫌悪感は日本に比して少なかったとの見解がある。
それに対して、関東軍は入植者らを見捨てて敗走し、大衆を守ろうとしなかったから、それが引いては戦後の軍隊アレルギーに結びついているのではないかというわけだ。
それで麻田の本を読んでみたのだが、南樺太や占守島での奮戦の他に、満州でも一方的に敗走したのではないことはわかった。
しかし関東軍が大衆を守ることなく、撤退したり、高級な将校の家族を真っ先に逃したりしたことも確認できて、これまでの通史が裏付けられた。
しかし、我が国の戦後の、戦力を持つことへの嫌悪感との関連は触れられておらず、満足できる本ではなかった。
ソ連はシベリアに帝国陸軍の将兵60万以上を連行して、強制労働させたが、同じことはドイツに対しても行っていて、その規模は300万に迫るものだ。
我が国の場合その10%にあたる6万人以上が命を失っている。
しかしドイツの場合は100万を超えている。その点でいえば、ソ連は連行した将兵の取り扱いに配慮したとはいえるだろう。この辺りの話にも触れてほしかった。