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古本屋日誌
今日は9時40分に萱島駅に出向き、京橋、大阪と乗り継いで新快速で姫路駅に11時20分に到着、神姫バスで姫路城北側にある文学館に行った。
6月22日まで開催の、没後10年車谷長吉展を見るためだ。車谷は私小説の達人で、『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受けた。
俺は『忌中』という恋愛小説集が好きで、文庫本のほか、初版の単行本も持っている。
今年の4月に没後10年にあたり新書館から『車谷長吉全集 第4巻』も刊行され、再び車谷にスポットが当たりつつある。数日前の朝日新聞にも全集の広告が掲載してあった。
実は全集はこの4巻で終わりなんだが、版元では第2巻が品切れになっていて、手を尽くしてもなかなか入手できなくなっている。姫路文学館には置いてあるのではないかとの期待もあるのだ。
さて展示の方は北館の2階、3階を使っての大規模なもので、中学生時代の通知簿(中3の時のは体育以外はオール5)、東京に住んでいた片思いの女に宛てた80通にも及ぶ絵手紙(実際は100通くらいあったという、もらった女の方もよくとっておいたものだよね)、日常の出来事を細かくメモした20冊にも及ぶ手帳、小説の筋を細かく書き留めた創作ノート、編集者に宛てたたくさんの手紙などが並べてあった。
生原稿が置いてあるのはもちろんだが、プライベートや作家誕生の秘密、心のひだにわけいるような品品が惜しげもなく展開してあって圧倒された。
メモ類の中には、尾羽打ち枯らして、東京から自宅に戻っていたおりのものもあって、姫路駅近くの居酒屋によく出入りしていた。
そこで注文した料理もいちいち細かく記されているほか、酒量も書いてあるのだ。
酒四合とか三合とか書いてあるので、かなり行ける口だったことがわかるよなあ。俺なんか一合も呑めないのに。
新潮社から『塩壺の匙』初版の印税振込を知らせる手紙も展示してあったが、右側を丁寧に鋏か何かで切り取って開封してあるし、中身の通知書も折り目一つなくきれいな状態だ。彼の細やかで繊細な一面を窺い知ることができる。中学生時代の通知簿もきれいな、折り目もないコンディションで展示してある。
そんな大昔のものを後生大事に取っておくというのは、理解できないけれど、田舎の旧家はだだっ広い造りなので、納屋なんかに放り込んでおくだけなのかもしれない。
2階展示スペースからは、国宝姫路城の西の丸を望むこともできるほか、一階には姫路の歴史、ゆかりの文人の展示がある。
またスロープを歩いて、南館にはナポリタンが売りの喫茶店、柳田國男、司馬遼太郎らの著作、生原稿の展示エリアがある。
肝心のショップだが、展覧会の図録(1000円)はもちろん、予想通り『車谷長吉全集』全巻が販売中であったし、第一創作集『塩壺の匙』初版帯もあった。
注目すべきは、車谷直筆の色紙がたくさん並んでいたことで、俳句風の警句が、例の四角い几帳面な字体で書いてある。1枚25000円。
他には2008年に刊行されたシリアルナンバー、サイン入りの『隠国』という歴史小説が積んであって9000円くらいだった。