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古本屋日誌
中央公論から齋藤達史の『完全版 沖縄戦』が出た。
齋藤は、防衛研究所に勤める歴史家だ。この戦いについては大田昌秀による概説書もあるが、個々の戦闘について網羅されておらず全貌は明らかになっていなかった。
そういった意味で江湖の渇きを癒す一冊だ。
この本によれば、海軍はレイテなどで艦隊の大部分を失い、航空兵力を残すだけになっていたので、沖縄での決戦を考えていたが、陸軍は沖縄は本土決戦を控えての準備的な戦闘と捉えていて、決戦とは考えていなかったという。
また米軍の上陸に際して、飛行場を占領されたら、そこから機動部隊を守る戦闘機を離発着できるようになり、陸海軍の特攻攻撃に支障をきたすと考えられたため、水際で叩いて、釘付けにするプランであった。
しかし、実際には圧倒的な物量と戦闘力を前にして攻撃ができず、ほぼ無血上陸を許してしまった。
そのためなんとしても占領された本島の飛行場を使用不可能にしたいと考えて、薄暮に合わせて九州、台湾、石垣島の航空基地から爆撃機を発進させて、米軍の飛行場を攻撃し、さらに翌払暁、大規模攻撃をかける作戦に出たが、思うような戦果は上げられなかった。
陸海軍とも、特攻攻撃によって、敵機動部隊に多大な損害を与えたと確信しており(つまり、プロパガンダではないということだ)現状なら空挺部隊によって本島逆上陸が可能と考えていた。
などが明らかになった。なるほど興味深い話だな。
『小林一三日記』にも連日ラジオを通じて、敵機動部隊の大損害が報じられているのに、一向に空襲は止まない。
「これはアメリカ兵はやわで根性などないと思っていたが、これほどやられても、なおめげずに向かってくるとは、凄まじいスピリッツだと言わざるを得ない」と逆に戦意を喪失したような書き方をしていたのを思い出したな。