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古本屋日誌
2025-05-07 12:46:00
昨日もええ天気で、心斎橋のお客さんのところに朝から出かけてから、4時に近鉄八尾で友人と待ち合わせて今東光資料館に出向いた。
今東光は『お吟さま』で直木賞をとる一方、山本駅近くの天台院の住職として長く八尾に住んでいた。その間、全6巻にも及ぶ『小説 河内風土記』を書いていた。
また昭和11年には雑誌『日本評論』に延暦寺の稚児灌頂を題材にした『稚児』を掲載して、僧侶による男色の世界を具に描いた。
さて八尾駅から歩いている5分くらいの官庁街、市役所などがあるエリアに図書館もあって、その三階が資料館だ。
四時過ぎについたが、観覧者は、われわれだけでゆっくり資料を見ることができた。
中でも『お吟さま』の生原稿は白眉で、流麗な文字に朱で訂正が書き込まれている。もちろん各種出版物もたくさん展示してあったのだが、それらの中では昭和史22年に東郷青児の装丁、谷崎潤一郎の序文で出した『稚児』がひときわ目を引く。
それ以外には今と交友があった文人墨客の写真や、今東光へのそれぞれのメッセージも展示してあって興味深い。
ただ郷土史家の牧村史陽は今東光に大阪弁の指導をした人物だが、「もうあんさんには教えることないわ」と言わしめたほど、今の河内弁は達者だったのだが、その牧村の写真がないのは気になった。
牧村は講談社から浩瀚な『大阪ことば事典』を出し、またその前には雑誌『大阪弁』を杉本梁江堂から刊行していた人物で、言葉遣いにはことのほか厳しい人だったのに、今東光は認められていたわけだから、いかに熟達していたかわかろうというものだ。