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古本屋日誌

2025-05-06 13:11:00

役割語で有名な金水敏が『大阪ことばの謎』を出した。

 

大阪弁関連の本はくだらないものが多い。

 

しかし金水は別だろうと思い早速読んでみた。

 

ドラマや映画のようなコテコテの大阪弁に関して金水は、それが大阪では使われていないことを踏まえて「バーチャル大阪弁」と名付けて論じている。

 

下品な人物、面白いキャラ、おしゃべりなやつなんかに大阪弁を話させるスレオタイプだ。

 

でもこれは現象の一面で、例えば『巨人の星』の花形満なんかどうなんだろう。

 

花形モータースの御曹司で、中学生でスポーツカーを乗り回す、2枚目で、タイガースに入団する。この頃までは、東京の連中が大阪に向ける視線は羨望の眼差しだったと思うけどね。

 

井上章一が指摘する通り、戦後大阪の大企業が揃って本社を東京に移転し、重役連中が東京本社に詰めるようになった。

 

 

そこで話される大阪弁は部下から見たら、憧れでもあるし、近寄りがたい恐ろしい言葉遣いにも思えたのだ。

 

 

また成瀬巳喜男の『めし』には大阪の天神の森の住宅街と東京の街並みが出てくるが、どう見ても東京は焼け跡からの復興途上で、荒れ果てた田舎街のイメージがする。

 

宗右衛門町の巨大キャバレー「メトロ」のシーンも出てくるのだが、上原謙は「今日はすごいとこ行ったよ」と嫁の原節子に、ホステスが1000人もいて圧倒されたことを語る。

というわけで、俺としては東京の人たちの大阪への対抗心、嫉妬心、やっかみなんかを取り上げてもらいたいところだ。

 

 

これも井上章一が指摘していることだが、古墳時代とか安土桃山時代などという時代呼称はどう見ても、東京の連中の見苦しい嫉妬心の表れだ。

 

古墳は墳墓であり、政治の中心などではない。本来は河内時代と称すべきだし、安土桃山時代は大坂をなんとかして外したいというイデオロギーの表れだと思う。