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古本屋日誌
今日も朝から京阪特急の指定席を取って、みやこめっせの古本市に行ってみた。
風薫る陽気で、指定席は売り切れで、枚方市駅では「真ん中の車両は混んでいます、前と後ろの車両が比較的空いています。また乗れないことがあります、その場合は後の電車をご利用ください」とアナウンスしている。
三条京阪に9時40分くらいに着き、東山三条上ルの満足稲荷に参拝し、ててくてく歩いて岡崎公園。
10時少しに会場に到着。さすがに三日目とあって、初日に比べると本を読む探しやすい。
会場入って右手すぐの、京都スターブックスは映画のポスターをたくさん展示販売している。『ゴースト、ニューヨークの幽霊』とか『風と共に去りぬ』とかたくさんあるのだが、俺はポスターには何の興味もない。
少し進んで、三密堂書店のブースがあって仏教書、占いの本、文学書といろいろ並んでいるが、新潮文庫の谷内六郎展覧会6冊揃は保存状態もよく魅力的だった。
石川古本店のブースにはサイン本、稀覯のマンガとかがあって眼の保養にはなるが、俺はプレミアマンガには全く関心はない。
どんつきにはマヤルカ書店があって、いろんな文庫本がたくさん並んでいて、ちくま学芸文庫の『わが世界観」(シュレディンガー)は800円で安いが、かなり黒い線引きがあるコンディションだった。
真ん中のブースのどんつきは萩書房で、たくさんのマンガのセットや大きなポスターを展示販売していて、驚かされた。
さらに吉岡書店は一部の本は値付けの半額で販売していて、これはこの本屋はよくやっているのだが、人気を集めていた。
仏教書の其中堂は大きな平台にたくさんの文庫や新書をずらりと並べて壮観だ。
さらに赤尾照文堂は錦絵、一枚刷りが所狭しと並んでいるほか、講談社文芸文庫、ちくま文庫、岩波文庫などの珍しいところが揃っている。
これは大きなお世話で、どうでもいいことなんだが、ちくま文庫の『現代民話考』が3万で売っている。この本は全12巻なので最終の12がないのだ。3万は高くはないし、コンディションも悪くなさそうなんだが、去年の5月のこの古本市でも売っていた記憶がある。
玉城文庫には珍しい新書が置いてあったし、あがたのもり書房は徳川時代の巻物や古文書の類がきれいな状態で展示してあって心惹かれる。
進んでいくとindigo bookのブースがあっていろんな文庫本も並んでいる。
しかし、何と言っても今回、俺が驚いたのは奈良から来ている紀文堂書店で、何でも店舗はJR奈良駅近所にあって「夕方から22時まで」営業しているとのことなんだが、極めて興味深いたくさんの文庫本、新書、歴史書を展示販売している。
この古本市は最近は個別会計になっていて、紀文堂の会計ブースもコの字形に並んだ本棚の左側の空いたスペースに折りたたみ式の机を置いたもので、若い女と年嵩の店主が詰めている。
店主は本が売れて、本棚に隙間が出来ると見るや、そそくさと立ち上がって、どんどん本を補充していく。店主も楽しそうだが、見てるこっちも愉快になる。
だって普通の古本屋の店舗で、次々に本が売れていって、みるみる本棚に隙間が出来ていくことなんか無いからな。
竹岡書店も魅力的な文庫本を並べていて、その中には田辺元の『死の哲学』(岩波文庫、3000円くらい)もあった。
入り口入ってすぐ右手には吉村大観堂があって、さらに進むとマキムラ書店のブースがあって、平台にたくさんの文庫本、戦争関連のものを並べていた。
どんつきの、ぼあい書房は大型の美術書がたくさんあって素晴らしい。その奥、京都コーナーの隣には喫茶が設けてあって、一杯500円のホット、400円くらいの各種スコーンを楽しめる。
いろんな店の店主と話をしたのだが、「この頃な、次から次に亡くなってしまう古本屋が出てな、弱っとるんや。井上さんやろ、大書堂、それから吉岡の息子さんもな」
確かにまだ若いのに死んでしまうのは残念だよな。
どの業界でもそうなのかもしれないけど、息子や娘に店を任せてしまうと、自分はやることがなくなってしまうし、あんまりしゃしゃり出ると子どもから煙たがられる。
かといって趣味や道楽を持っているわけでも無い真面目な人が古本業界には多いから急にガタが来てしまうのかもしれない。
「どことはようゆわんけどな、店持ってへん大阪あたりの古本屋とかな、市にやってきてな、2万くらいで落として、それを中身を改めんと5万とかで売りよるんや。ようわからんやり方やな」
なるほどネットとか催事専門の古本屋に対して、本への愛情が足らんやろ、という指摘だな。
確かに個々の本については、お客さんの方が圧倒的に詳しいから、教えていただくことばかりなんだが、それでも自分の目の届く範囲ではプロなんちゃうの❓という話で、それは全くその通りだと思う。
帰りに三条駅ビルのブックオフに寄ってみた。今日から6日まで4日間、アプリを見せると本などが2割引になる。
去年の秋くらいからこの三条駅ビル店の品揃えは最悪で、同じタイトルの文庫本がずらりと本棚に並んでいて、まるでやる気が感じられなかった。
岩波文庫の『ブッダのことば』は8冊、講談社学術文庫の『日本書紀』は10冊以上、ちくま文庫の「大菩薩峠』は全巻がズラリ、中公文庫の『フロイス日本史』は数年間売れないまま本棚に場を占め続けている。また『レイテ戦記』もたくさんある。
普通は同じタイトルの本を並べても売れないから、ダブりはストックしておくのに、なぜこんな展示をするのか、実に不可解だ。
これまでは京都地区の旗艦店として、圧倒的な品揃えを誇っていたのに、今や1、2回生が授業で使った本を売りに来る程度の店になってしまっていて、とその変貌ぶりに驚かされていた。
さて、今日見ると岩波文庫やちくま文庫、ちくま学芸文庫、講談社文芸文庫の一部の棚は珍しい本が散見された。
ブックオフは、名実ともに日本一の古本屋なのだから、実力はこんなものであるわけがないと思う。
学生の頃にブックオフに毎日通って!広い店の中から、興味深い、面白い本を見つけては立ち読みをして、あれこれ吟味しては、こうていって、知識や教養を身につけた人はたくさんいる。
そういう経験は、ブックオフ以外の古本屋では絶対に出来ない素晴らしい事件なわけで、全国には何百万単位でファンがいることは間違いない。