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古本屋日誌

2025-02-28 00:12:00

2000年1月に起きた、中学受験の進学塾の日能研関西の過労死事件のことだ。

 

今回は酒井の仕事について考える。神戸地裁に提出した訴状には次のようにある。

 

「…日々の授業及びそれに向けた準備だけでなく、算数チームとして、算数入試問題の分析、日能研関西が算数の授業で使用するプリント・テスト類の作成業務、新たな生徒獲得のための父母説明会のスピーカー等の業務を行っていた。」

 

まず酒井の授業スタイルだが、あまり説明することはせず、自分でやらせないといけないと言っていた。これはそれなりに出来る子には必要だろう。

 

算数で難しいのは空間図形だ。

 

円柱、円錐なんかを切断してその断面図の面積や、切ってできた図形の体積を求めさせる。

 

俺なんかどういう図形になるのか、想像もつかない。

 

酒井は四角い消しゴムを用意させて鉛筆で切断面を書き込ませるところから、話を始めるという。以前は消しゴムをハサミなどで切り取らせて、イメージをつかませる授業をしていたと言っていた。

 

そういう工夫をあれこれやっていたわけだ。

 

1999年の上本町校の6年の1番上のクラスは、前年5年の前期に俺が国語を担当していたのだが、きちんと話を聞けない子どももいた。

 

進学塾の授業なので、入試で要求されるレベルの問題の説明をして、自分で解決できるようにしないといけないのだが、きちんと机に座れずに騒ぐわけだ。

 

俺はイライラして、怒鳴りつけたりしていたが、酒井はそのあたりも如才なくこなしていた。

 

彼のように長時間勤務が続き、おまけに休みも取れないとなると、授業がどうしても疎かになってくると思うのだが、彼に限ってはそれもなかった。

 

その年に星光に入った生徒の中には、四半世紀をけみしたいまも、毎年静岡県掛川にある酒井の墓に詣でている子がいる。

 

新幹線の掛川駅からお墓まで、てくてく歩いて行く(1時間半くらいかかる)こともあるというからびっくりする。

 

遺族に連絡したら、車で駅まで迎えに来てもらうことになって負担になると気を遣っているのだ。