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古本屋日誌

2025-01-29 00:00:00

中学受験の進学塾の日能研関西の過労死の問題だ。

 

二つ目の問題は倒れるまでの健康状態のことだ。実は、ずっとすぐれない状態ではなかったのではなかろうか、と考えているという話なのだ。

 

算数課の課長であった酒井が2000年の1月末にくも膜下出血で亡くなった。

 

それも倒れてから一度も、意識が戻らなかったので、われわれも言葉を交わすこともできなかった。

 

 

これでは心残りでもあるし、本人もやりきれない思いがあると考えて、霊能者に頼んで降霊してもらうことにした。

 

 

降霊というのは、亡くなった人の魂を呼び戻し、よりましといわれる霊能者の口からその思いを伝えてもらう儀式だ。

 

 

日能研関西の理科の先生なんだが、日頃そういった方面に詳しい女性がいた。

 

 

ある時、日能研関西の講習会の打ち合わせ後、宴会があって、その2次会で三ノ宮の居酒屋に3人で行ったことがあった。

 

 

わしとその理科の先生、同じく日能研関西の算数の職員の東だった。

 

その時彼女は、東をしげしげと見て「後ろに上下(かみしも)を着たような、江戸時代の侍みたいな人がいてしきりに話しかけてきますね。『夫婦仲が悪くなっているから、そう伝えてくれ』と言ってます」などと言うのだ。

 

 

東はいつもの軽口はたたかず、神妙な面持ちで聞いていたが「それで、死んだ人が見えるゆうけど、それてどれくらいなん?❓密度ゆうのはどんなくらいなん❓」

 

「この雑踏くらい霊が溢れている感じの時があります」と言う。

 

この予言めいた背後霊の言葉なんだが、東はその後「家で嫁に確かめてみたけど、そんなことはなかった」と俺に報告してきたが、まもなく離婚することになったので、当たっていたといえる。

 

 

そういうこともあって、彼女に頼んで西宮北口校での授業が終わってから、夜の10時半くらいに、門戸厄神の酒井のマンションに来てもらい、その時はやはり日能研関西で社会の講師をしている竹安も一緒だった。

 

彼女は「よりましをするのは初めてなので、うまくいくかわからないですけど」と言いながらも「故人の身につけていた物を貸してください」というので、酒井が愛用していたカバンを渡すと、彼女は手を置いてしばらく反応を窺うような格好だった。

 

 

「今気になってるのは2人の妹さんがいて、それがねと言ってます。

発作が起こる1週間は食欲がなく食べ物を押し込んでいる感じだった。

また救急車で運ばれて手術されてからはずっと痛みが激しくて本当に大変だったと言ってますね」と言うのだ。

 

 

この、あの世からの酒井の言葉が、真実だとすれば、倒れる前の1週間は食欲がなく、食べる気力もなかったということになる。

 

 

彼女は酒井とは面識もなく、2人の妹がいることや手術を受けたことも知らないわけだから不思議な話ではあるのだ。

 

そういう意味から信憑性も感じて、われわれはこれまで四半世紀にわたって、酒井はずっとしんどかったと思ってきたから、それならなんで医者に行かなんだんやという疑問があったのだ。