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古本屋日誌

2025-01-15 13:34:00

先日NHKでドキュメント20min『ふたりの、終われない夜』の放送があった。

 

 

ロックバンドの伊藤雄和が師匠と仰いでいた西村賢太の思い出をかたる番組だ。

 

俺は音楽にはほぼ何の関心もないので、伊藤なんたらがどういう人なのか全く知らない。

 

ただ番組の中で彼のライブの模様が映っていたのだが、かなり小さい箱でやっているように見えたし、命綱をつけてビルの外壁の清掃作業をしているシーンも挟み込まれていたから、ひょっとしたらマイナーなアーティストなのかもしれない。

 

 

西村とはライブの推薦文を依頼したところから付き合いが始まり、互いに「ちゃん付」で呼び合う仲になったが、ある時仲違いをして、以後関係修復には至らなかったという。

 

ケンカの理由は、俺には理解できないようなもので、ある時伊藤の携帯に非通知の着信があって、出たら「大声で喚いてる人がいた、それが西村さんだったようだ」という。

 

「なんで俺だとわかんねえ‼️」「そんなもの、非通知でわかるわけないです」というわけだ。

 

才能のある人はえてして、周りにいる人を振り回して迷惑をかけることが多いよね。

 

また番組には西村がそこから『藤澤清造全集』を刊行すると内容見本まで作成していた古本屋、朝日書林の荒川義雄も出演して、西村が30歳くらい、まだ芥川賞を取るだいぶ前の電話の録音を流してくれた。まだ何者にもなれず、鬱屈していたであろう西村はあれこれ本音のようなことを話していた。

 

それは、自分は太宰治の気持ちがわかるという話なのだ。

 

彼は幼い頃神童といわれて、みんなからちやほやされたが、長じてからは芽が出ない日々の中みんなを見返してやろうと思っていたはずだ。

 

 

俺も(西村賢太自身のことだ)神童と呼ばれていたのに、いまだにうまくいかない、だから同じように見返してやろうと思っているんだ、という話がえんえん録音されている。

 

なるほど西村はずっと藤澤清造の没後弟子であり、その祖述者でありたいと語っていたが、それは自分を売り込む戦略みたいなもので、本心は作家として有名になりたいというものだったわけだ。

 

 

これはクリエーターとして当然のことで、有名になったら藤澤清造全集にこだわる理由も無くなったと考えられるよね。

 

 

それにしても西村が「神童」と呼ばれていたとは初耳だな。本当なんだろうか❓小説を読む限りはパッとしない、どこにでもいそうな子どもという感じなんだけどね。