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古本屋日誌

2024-12-04 11:03:00

並木書房から『特攻作戦全史』(リエリー著、小田部哲哉訳)が出た。大東亜戦争末期に、帝国海軍や陸軍が行った特攻を被ったアメリカの艦船の被害の全貌を日を追って詳細に記した本だ。

 

 

翻訳者の小田部がアメリカ側の戦闘記録に加えて、日本側のそれにもあたり、比較することで攻撃に参加した部隊名や、搭乗員の氏名、機種なども脚注で書いている労作だ。

 

大東亜戦争の体験を記した本は汗牛充棟で、何かとんでもないことが起こったかのような印象があるが、降伏せずに自殺したり、敵陣に無茶な突撃をして全滅したりすることはこれまでの様々な戦争でしばしば見られた現象である。

 

だから特段日本的な特質があるわけでもなく、さして異常な事態が起こったわけでもない。

 

 

例えばナポレオンのロシア遠征では80万の兵士のうち半数が死亡している。これは大半は餓死、凍死によるもので、指揮官が撤退を拒んだからに他ならない。

 

第一次世界大戦の『西部戦線異常なし』は3年以上にわたって、ドイツとフランスが塹壕戦を繰り広げ機関銃で薙ぎ倒されるにもかかわらず突撃を繰り返した記録だ。

 

アメリカの南北戦争では60万からの死者が出ているが、これも包囲されたのに降伏せずに全滅したからだ。

 

それにしても航空機、魚雷、ボートなど様々な形で行われた特攻作戦の全貌を明らかにした本はなかったので、今回の出版は貴重だ。

 

 

今まで知らなかった話も多い。

 

航空機による特攻については、当初は急降下して体当たりしていたが、これでは撃墜される確率も高いのでやがて海面ギリギリに飛んで体当たりするようになった。

 

このやり方だと対空砲火を水平方向に打たなければならないため、僚船に命中してしまう危険があるので、撃つのが及び腰になるメリットもあった。

 

戦艦大和を沈めた空母バンカーヒルは特攻機の攻撃で大損害を出したが、それも海面ギリギリに飛んで突入したものだ。

 

また爆弾を抱えたまま突入するスタイルではなく、直前に投下して命中させてから突っ込むようになった。これはより損害を与えられるからだという。

 

沖縄戦ではアメリカはレーダー網を張り巡らすために洋上に網の目状にレーダー駆逐艦を配備していたが、もちろん帝国陸海軍の知るところとなり、敵艦艇の所在がはっきりわかっているものだから、連日特攻攻撃をくらい大きな損害が出た。

 

また夜間の攻撃もしばしば行われている。