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古本屋日誌

2024-10-24 11:31:00

戦前に洪洋社が出した『建築写真類聚』から選んだ写真を集めた『幻景の東京』という本がある。

 

映画館、劇場、カフェー、飲み屋、民家など様々なジャンルの建築の外装、内装が大きなサイズで見られて魅力的だ。

 

 

写真に加えて、建築史家の藤森照信が解説を書いていて、そのうち劇場の分には徳川時代の芝居小屋の話がある。

 

藤森によれば、芝居見物は一日仕事で、お店をあげてまず芝居小屋に入り、服装も整えて、食事もしてから芝居を楽しみ、幕間にはまた芝居小屋に戻って飲食する。

 

 

終わってからは芝居小屋でご婦人方が役者を呼んで楽しむ。

 

 

要するに男には遊郭が用意されて、女には芝居小屋でしっぽりがあって、息抜きができる空間があったというのだ。

 

 

 

この話はよく言われていることで、別段新鮮味はないが、(役者評判記がたくさん出ていて、そこにはどこそこの茶屋でどの役者と出来るとか、細かく記されている)藤森が徳川時代を賛美するような書き方をしているのが気に食わない。

 

 

遊廓なぞ、女性の人権は蔑ろにされているし、芝居小屋で女が役者買いをするから男も女も息抜きができたと主張するなど言語道断。

 

 

芝居小屋での役者買いなど、大店のご婦人方にのみ許された話でしかなく、それを遊郭と並べて論じるなどとんでもないことだ。