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古本屋日誌

2024-08-25 15:28:00

中公新書から藪本勝治の『吾妻鏡』が出た。シンプルなタイトルだが、われわれが幼い頃抱いていた源平合戦のイメージを大きく変える最新研究を踏まえた啓蒙書だ。

 

 

『吾妻鏡』そのものは1300年ごろに成立した鎌倉幕府の正史であり、執権である北条氏の立場を擁護するスタンスで書かれているというのはよくいわれてきた。

 

 

その上で、例えば、一の谷合戦は、後白河法皇が和平のとりもちをしている最中に、源氏方が平家を騙し討ちにしたものだとか、例の鵯越の逆落としは義経ではなく、多田行綱のやったことだとか、なかなか興味深い話が書いてある。

 

 

著者の薮本は灘中、高の教師だとある。神戸大の院を出ている。

 

学者ではないものの、最新の研究に目を通してわかりやすく伝えようとする姿勢は大したものだ。

 

 

それにしても灘とか西大和(ここは社会科に浮世博史がいて、興味深い日本史の概説書を何冊も出している)といった進学校の授業はどうなってるんだろう。

 

 

こういった、普通の教師のレベルをはるかに超える知的な連中に教わるのは、それなりに好奇心を満足させてもらえるだろうけど、大学入試とは全く関係ないよなあ。

 

 

生徒の間から「いくらなんでも、あの授業は問題です、入試とも関係ないどころか、そもそも教科書とも全然関係ないことをずっとやってるわけだから」てな不満が出て、授業ボイコットとかならないんだろうか。

 

 

 

俺は、1980年ごろ大阪府立天王寺高校に通っていたが、北野をはじめ大阪のトップ校もやはりテキストとは全く関係のない授業が続いていた覚えがある。

 

 

とくに国語、社会はその傾向が強かった。

 

古文、漢文はずっと教師の手作りの『論語』プリントをやっていたし、倫社は岩波文庫の『方法序説』や『ノヴムオルガヌム』角川文庫の『ソクラテスの弁明』をテキストにしていた。

 

英語もシェークスピアを教材にするのだが、その英語は16世紀のもので、今の英語とは単語がかなり違っていて、それを読ませるのだ。

 

 

天王寺高校では、一部の生徒は授業をボイコットして出席せず、公然と教師を批判する行動に打って出ていたが、俺はなかなか面白い学校だと思っていた。