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古本屋日誌
先日亡くなった、東アジア反日武装戦線の桐島聡を扱ったルポが出た。齊藤寅の『桐島聡逃げる』だ。
桐島は1975年あたりの連続企業爆破にかかわったとして指名手配されたが、以後ほぼ半世紀逃げおおせた人物だ。
公安警察のレベルがどの程度なのかよくわからないが、それにしても、津々浦々に桐島の顔写真が貼られている中で、神奈川の藤沢の工務店に逃げることもなくずっと勤務して、夜は居酒屋で遊んだりもしていた。
その秘密を、この本はある程度解明した労作だ。
なんでも彼は広島の福山の出で、明治学院大学の法学部に入ったのだが、当初付き合って同棲していた女がいて、そのつてで、右翼の活動家に匿われていたというのだ。
東京に住んでいて、公の場には姿を見せないで、企業のスキャンダルを暴いて金をせしめる手伝いをしていたが、次第に締め付けが厳しくなって、右翼の元を離れて、例の工務店に勤務するようになった。
しかしその後もずっと活動家の方から資金の援助があったというのだ。
なるほど、やはり身を隠し続けられるにはバックがあったのだな。
またこの本によれば反日武装戦線のメンバーで前がないのは桐島くらいで、指紋やら何やらの手がかりがまるでなかったこと、武装戦線は個人個人で行動する組織で、横のつながりが希薄だったことも捜索を困難にした原因だとある。
さらに本の巻末には桐島が残した50枚にも及ぶ原稿が収録してある。
内容は弁護士がいかに出鱈目な連中で、金を持っている連中にこびへつらい、貧乏人には鼻も引っ掛けない存在だということが繰り返し論じてある。
なるほど面白い本だったな。しかし例えば巻末の弁護士の話も一面的で、全面的に首肯するわけにはいかないよな。
確かに弁護士には出鱈目なやつもいることは間違いないし、真理や本質とはなんの関係もない日常の些事を扱う輩であることも間違いない。
でもわれわれの生活にはそういう存在も必要だし、弱者の立場に立って手弁当で活動している弁護士もいるわけだ。そこを見ないのは問題だと思う。