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古本屋日誌

2024-08-02 09:07:00

単行本で出た時も評判が高かった『三体』だが、今年ハヤカワ文庫で3まで出た。

 

 

早速読んでみたが、圧倒的な面白さにびっくりした。

 

 

地球の遥か彼方にある三体文明が地球制服を狙って宇宙艦隊を送り込むSFなんだが、細部の作りの精緻さ、ストーリーの奇抜さは他の追随を許さない。

 

 

三体文明は地球よりもはるかに進んだ文明を持ってはいるのだが、それでも遥か遠くにあって、ワープなどは出来ないから(SF御用達のワープ航法が物理学的に不可能であることは既に実証されている)光速に近いスピードで地球に向かってはいるものの、到着までに400年くらいかかる。

 

 

 

われわれはその間に科学文明を発達させて、三体艦隊に対抗しようとする。

 

 

しかし一部には、勝つことを諦めて、金にあかして地球から脱出しようとすると連中も出てくる。

 

 

さらには人類に愛想を尽かして、むしろ征服されることを乞い願う人たちもいるのだ。

 

 

自暴自棄のように思えるが、そうではなく、毛沢東が発動した例の文化大革命で吊し上げられ惨殺されたインテリの親族の怒りがそこにはあるという説得力ある展開になっている。

 

 

一方、侵略者の三体の方にも弱みがある。

 

 

彼らは、他人が頭で考えていることをそのまま知ることができ、地球人のように思いと言葉が裏腹ということはない。

 

 

そのため地球人が知恵を絞って三体に対抗しょうと、頭の中でめぐらしている作戦を知ることができないのだ。

 

 

地球ではそれを利用して、誰ともコンタクトせず、自分の思いを自由に頭の中だけで立案でき、実行にうつせるスペシャリストを養成することになる。

 

 

三体側はスペシャリストを暗殺しようとするほか、400年の間に地球文明が進歩して、脅威となるのを防ぐために、科学を無力化する試みを仕掛けてくる、というような展開なのだ。

 

 

こういう面白いストーリーに加えて、文体や描写力も大したもので、著者の劉慈欣は天才だ。

 

こういう作品を読むと、確かに才能はあるとわかるのだが、本屋に並んでいるくだらないSFの山を読むと、「この程度でメシが食えるんだから、世の中は甘いよな」との実感も抱く。