Welcome

古本屋日誌

2024-03-17 10:49:00

東野圭吾が1986年に乱歩賞を受賞した『放課後』の古書価が高騰している。

 

 

初版、帯付きはなかなか目にしないのだが、5000円以上するだろう。

 

 

東野は『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞したが、この小説はつまらない。

 

 

別れた夫の暴力に耐えかねて、嫁と娘が男を殺害するのだが、そこに隣に住んでいる数学教師がやってきて、アリバイ工作をするわけだ。

 

 

でも男は凶悪で、女を殺そうとしていたわけだから、普通に考えれば正当防衛が成り立つはずだろう。

 

だからすぐに警察に連絡すればいいものを、無理から隠蔽しようとするストーリーは問題だ。

 

 

また身代わりにホームレスを殺害して死体を用意するなど、極めて不自然だし、不愉快な展開だ。

 

 

しかし東野は例えば『白夜行』(さらにその続きの『幻夜』もいい)などの傑作を書いているわけだから、なんとかして直木賞をとらせてやりたい気持ちが選考委員に働いたのだろう。

 

 

『白夜行』は900ページに及ぶ長編で、20年近い年月に発生した様々な事件を複雑に絡ませながら組み立てており、構成力が素晴らしい。

 

がんぜない小学生の男の子が自分の父親を刺し殺す展開も、無理がなくよく考えられていて、心打たれた。