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古本屋日誌
昨日NHKのBSの『スポーツヒューマン』でタイガースの近本の特集があった。
彼は去年のタイガースの日本一に絶大な貢献があり、とりわけバファローズとの日本シリーズでは打率5割に迫る活躍でMVPに輝いた。
彼はプロ入り5年目なんだが、その全ての打席で考えたことや、スィングの後の反省点をメモしてスマホに保存しており、これとタブレットの打席画像を合わせて研究を怠らない。
また試合のある日も、朝の9時にはジムに現れて、ストレッチのメニューをこなし、そのあとはホテルに戻りトレーナーと筋肉の捩れの矯正などに1時間以上の時間をかけ、3時過ぎには球場のバッティング練習場に来て、バッティングピッチャーの球を打つ。
その際もスィングのたびに時間をとって、自分の考えたこととその結果を比べて次に活かそうとするという。
試合ではまず投手の球種を投球後に判断して、その後もコースなども見てとってスィングを変えるのだとのことだ。
しかし例えば150キロの球ならホームベースまで来るのに0.4秒だ。
人間が目標を見て、脳で判断して身体が動くまでには、どんなに速くても0.3秒かかるのは昔からよく知られている。
だから近本のいうような「球種も球を見て判断」は無理であり、バッターは球を視認することなくバッティング動作に入っている。
もちろん球種、つまりストレートなのか、フォークなのか、カットなのかは事前に予測はしている。(してない選手もいるだろうが)
しかし、球速がどれくらいかや、コースまではなかなか予測しづらいので、後は無意識な身体の反応によるしかないのだ。
そもそも、大脳生理学の研究では、かなり前から人間の自由意志は否定されている。
人が何かしようと思うよりも先に、脳の中では運動野の反応が起こっている。
りんごをつかむといった、ごく日常の些細な仕草でもそうなのだから、いわんや視覚が利きようもない迅速な動作では、身体が意識を超越して反応しているのは間違いない。
番組では去年の8月のジャイアンツ戦で、向こうの田中というピッチャーと対戦した際、いつものように考えながらバッティングするのをやめてみたら、ストレートを打って、ライトスタンドへのホームランとなった。
これを「認知をこえて」と表現していた。
ジャイアンツの田中というのは今シーズン、大した活躍もしておらず、データがなかったので、近本も考えようにも材料がなかったんだろう。
もちろん予め球種は予想していただろう、ストレートが来ると、でもそれ以上はデータもないし無心でバットを振ったらホームランになったというわけだ。
本来、プロのバッティングはそうあるべきもので、そこに開眼した近本は今シーズンますます目が離せない。