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古本屋日誌
大阪の金持ちが住んでいる吹田市、箕面市、豊能町のあたりには、天牛書店、ブックオフ関大前店、田村書店といった古本屋がある。
天牛書店は北大阪急行の緑地公園駅から徒歩10分、ブックオフは阪急の関大前駅すぐ、田村書店は北大阪急行の千里中央駅すぐにある。要するに、それぞれ割と近くにあるのだ。
この地域には大阪大学や関西大学といったちゃんとした大学があるので、仕事絡みで本を買う人がかなり多いのは間違いない。つまり商品になりそうな本が容易に古本屋の手に入るということだ。
しかしこの3店舗の品揃えは全然違う。
天牛書店には文学書、写真集、図鑑、歴史書、和本、稀覯本、岩波文庫、ちくま文庫、講談社学術文庫、鉄道本、マンガ、哲学書、図録、音楽関係の本、手芸や料理の本がある。
その一方で、ほとんど全ての実用書、医学書、上に示した以外のほとんど全ての文庫本や、新書本、タレントの写真集、自己啓発ややる気を出すための本、ハーレクイーンロマンスの類、やおい本、BL、エロ本、ほとんど全てのジャンルの雑誌、映画のDVDやレコードは置いていない。
つまり一部の本好きをターゲットにした店なのだ。
これに対してブックオフは、全てのジャンルの本を取り揃えている上に、映画のDVDなんかも大量に置いている。
しかし、天牛書店とかぶっているジャンルの本なんだが、誰の目から見ても、圧倒的に天牛書店の在庫の方が優れている。
田村書店は時代小説の文庫本や実用書、自己啓発の類が大半だ。天牛書店と比較できる水準では全然ないし、ブックオフと比較してもひどく見劣りしている。
さて、おれが言いたいのは、吹田市や箕面市という、他の地域に比べたら圧倒的に、古本屋商売がやりやすい地域なのに、一部の古本屋にだけ本が集中してしまうということだ。
ブックオフはCMを打っているし、全国的にもよく知られている。またどんなジャンルの本でも基本的には(在庫が多いからと拒否されることはあるけど)引き取ってくれる。実にありがたい古本屋だ。
しかしそれにもかかわらず、いい本を十分には集められていない。
田村書店なんか、新刊の書店としては規模も大きく、いろんなジャンルの本を網羅的に集めている。小説も哲学書も、岩波文庫にしても、ちくま学芸文庫にしてもここで買う人は多いと思う。
そして読み終わったら、田村書店に売ることも出来るのだ。
しかしお客さんはそうしない、天牛書店に売るわけだ。
この古本屋は創業100年をこえる老舗で、おそらく何代にもわたって売ったり、こうたりしてる人がたくさんいて、そういう客は保守的で、別の古本屋を選択しないのだ。
天牛は昔の商店街の個人商店であり、ブックオフはイオンみたいなものだろう。
商店街には、それぞれ特色のある店があって、買い物を楽しめるが、やはり品揃えの面や値段では、イオンには太刀打ちできず、閑古鳥がなく状態のところが多い。
しかし、こと古本業界だけは、実に不思議なことに個人商店が勝ってしまっているのだ。