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古本屋日誌
2024-01-24 13:44:00
徳川時代の役者は、中には千両役者といわれて、とてつもない収入の人もいた。
ただ彼らがその収入の多さゆえ尊敬されていたわけではない。
大半の人々が農作業や手工業、流通の生産活動に就いている中、役者は何も作らない怠け者とみなされていた。
娯楽を提供しているだけの河原もんと差別されていた。
差別は問題なのかもしれないが、良い点もあったのだ。
河原もん風情がなんぼ千両稼ごうとも、その金にはなんの値打ちもない、紙切れ同然だ。
それに比べて自分が額に汗して田んぼや畑を耕して手にする僅かな報酬の価値は実に高いと考えられていた。
つまり金を金額だけで評価していなかったということであり、実に健全な価値観だろう。
その上で「役者評判記」の類いがたくさん出版されていて、そこには芝居での各役者の評価が細かく記されているのみならず、どこそこの茶屋に行ったら、その役者と逢える、つまりセックスできるのかが記されてもいるのだ。
金持ちのごりょんさんが金にあかして役者としっぽりという体なんだが、俺は逆もあると思っている。
つまり、役者の方が気に入りの女や娘を好きにできる場所でもあったと思うのだ。