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古本屋日誌
2024-01-17 12:17:00
今日は芥川賞の発表だ。以前は発表されてから単行本化していたのだが、いつのまにか、候補作の段階で単行本になるようになった。
その中で九段理江の『東京都同情塔』は雑誌『新潮』の12月号に一挙掲載されたものだが、評判がいいのか、その『新潮』は売り切れている。
それで早速ジュンク堂で単行本を手に入れて一読してみた。
犯罪者は今は刑務所に収容されて、当たり前だが不自由な生活を送っている。
しかし犯罪を犯してしまうのは不幸な生い立ちに問題があったからで、犯罪を犯さない人たちは幸せな生い立ちを送っていたからに過ぎない。
その償いとして、東京の一等地に巨大なホテルのような収容施設を建てて、外出はできないものの、何不自由ない暮らしを送ってもらうことになった。
という書き出しなんだが、いやいや、少なくとも殺人を犯すような人物は先天的にそういう質があるんだよとか、いやそれはないだろうみたいな論争や議論とはこの小説は関係ないのだ。
「東京都同情塔」といわれるこの収容施設を設計した主人公は、もともと身の回りに美しいものだけを集めたい切実な慾求を抱く女性なのだ。
男関係も「ママ活」をしてかなり年下のイケメンと付き合っている。
彼女にとっては刑務所や犯罪者も美しく、調和のとれた存在としてあるべきだった。