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古本屋日誌
2024-01-01 11:48:00
金子拓が中公新書から『長篠合戦』を出した。
われわれの教わった長篠合戦は信長、家康連合軍が3000挺の鉄砲で武田の騎馬軍団を打ち破った、陣の前に防御柵をめぐらし、三段構えにした鉄砲で迎えうったというものだ。
しかしすでに1975年には藤本正行がこれに異を唱え、長篠はせばい谷地で、騎馬の突撃は不可能、三段構えといっても距離が短いので、弾込めしている間に突撃されてしまうことなどを指摘していた。
今回の金子の本はこれまでの研究を大成したものだ。
それによれば、戦場である長篠は狭い湿地帯で、騎馬が集団で突撃して出来る環境ではないこと、織田徳川連合軍は陣の前に強固な防御柵を巡らしていて、近づく武田の部隊を鉄砲で攻撃して退けたとのことが書いてある。
つまり野戦というより、城攻めに近かったということで、勝頼は不用意に堅牢な城郭に攻めかかってしまったということのようだ。
金子によれば同時代の記録では、織田方の鉄砲への言及は少ない、それが勝敗を決したとの話はないのに、時代が経つうちに3000挺だの三段構え、騎馬隊だのになってしまったとのことだ。
これは信長が革新的な変革者であったとする価値観の広まりによるものだろうという。