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古本屋日誌
2023-11-21 21:17:00
京都は紅葉の真っ盛りで、人が押し寄せているだろうな。
こないだNHKで『2時間でまわる嵐山』というのをやっていた。
人でいっぱいの嵐山しか知らないけれど、番組によれば朝の8時に嵐電嵐山駅スタートくらいにすれば、人も少なくて問題なく回れるのだそうだ。
確かに寺社の開門は朝8時が多い。
あの渡月橋から嵐山を望むと、今の時期、紅葉が立体的に目に飛び込んでくる感じがする。その美しさは認めざるを得ない。
番組では「歴代の天皇や公家が吉野から桜を移植するなどして、今の嵐山の美しい紅葉空間を作り出した」といっていた。
しかし、幕末に刊行された『都百景』を見てみたら、まるで違う風景がある。
嵐山は秋ではなく春の桜のシーズンの絵だ。
渡月橋越しに見える嵐山は水際に満開の桜が並んでいるが、それ以外、大半の山塊には常緑樹、松やら柏やらが描いてある。
今あるような、楓、ぬるでといった赤や黄色に色づくような木々は全然ない。
徳川時代は、山に人がしばしば入って、燃料として松の木や柴やらを採集していた。
人工密集地である京都周辺の山は、だから松などが植えられていたのだ。
東山などは取り過ぎで、禿山になっていたことも知られている。
だから今のような嵐山の景観は明治以降に製造されたものなのだ。
松を伐採して代わりに紅葉、ぬるでなどをせっせと植林して、手早く紅葉の名所を作成したということなのだ。
京都の人たちが、歴史をうまく製造する手際のよさには、驚くべきことだ。