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古本屋日誌

2023-11-17 16:07:00

有馬頼義の『葉山一色海岸』がなかなか面白かったのでので、『二・二六暗殺の目撃者』も読んでみた。

 

 

有馬は当時の内務大臣、斎藤實の縁者で、事件当日は斎藤宅の真向かいで寝ていて、朝早く大騒ぎが起こったその現場に居合わせた。

 

 

斎藤は身体に40発を越える銃弾を撃ち込まれて死亡した。

 

有馬は渡辺錠太郎や高橋是清も同じように惨殺されたことを詳細に書いている。

 

 

興味深いのは首相の岡田啓介が助かった話だ。

 

岡田の妹の夫だった松尾大佐を岡田だと誤認して殺したのだが、首相官邸を襲った部隊はその後も引きあげず居座ったというのだ。

 

 

その間、岡田は女中部屋の押し入れに隠れていた。

 

 

なんとか岡田を救おうと秘書官が憲兵と連絡をとって、10人の老人(もちろん全員男)を焼香すると偽って、邸内に引き入れて岡田を脱出させた。

 

 

それにしても、暗殺しようとしている相手の顔を把握していないとは、陸軍の連中もバカだよな。そのへんのヤクザと変わらない杜撰さだ。

 

 

さて、2.26事件についての有馬の見解はこうなっている。「天皇制をくつがえし得ないものは、理論的に、革命とは云いがたい」

 

「くどいようだが、天皇制を動かさない限り、日本では、革命というものはあり得ない。更にくり返すが、彼等は兵隊や武器弾薬を天皇陛下の御命令と称して僭用している。」

 

 

有馬がこの事件を革命なんかではなく人殺しに過ぎないというのは理解できる。

 

しかし天皇制をくつがえすものが革命なんだという主張はちょっと突飛だな。