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古本屋日誌
今日は体調もだいぶ良くなり、ぐっすり眠れたし、階段を上る時の息切れもマシになった。
そこで嫁と阪神百貨店の地下のバルに出向いて地ビールをいただき、同じ階にある「551」で揚げそばとチャーハンをしめに食べた。
そのあとジュンク堂大阪本店まで歩いて、ミネルヴァ書房から出たばかりの日本評伝選貝塚茂樹の『吉田満』をこうた。
吉田は帝国海軍の予備学生で、戦艦大和に電探担当、つまりレーダー操作の係として乗り組み、九死に一生を得て、例の『戦艦大和の最期」を書いた人物だ。
この本には、出撃前夜の宴会で、なにゆえ撃沈されることがわかっているのに、わざわざ沖縄に出撃するのかを、乗組員があれこれ議論するくだりがあって心打たれる。
また出撃して、沖縄に向かっている最中、艦内に「今晩のメニューは……です」と陽気なアナウンスが流れるところもドキドキする。そんなもんあるわけないからね。
その上で撃沈された大和から放り出されて、洋上を漂う乗組員を僚艦がボートを出して救助するシーンがある。
たくさんの兵隊が手をボートにかけて助かろうとするので、窮した下士官は日本刀で、救助を求める兵隊の手首を切り落としたというのだ。
これに関して「海軍の士官は日本刀を携帯してない」とか「救助活動に対して米軍機の攻撃はなく、整然と行われた」、つまり手首切りなどということはなかったとの反論が加えられた。
この論争の顛末が知りたかった。
貝塚のこの本では、丁寧に論争の過程を振り返り、吉田は自ら目撃したことを書いたのではなく、伝聞でこのくだりを書いていたことや、手首切りについて問われた吉田が「わたしはどこにも、ノンフィクションだとは書いていない」と答えたことがわかった。
つまり手首切りは、事実ではなかったようなのだ。